2020-01-01から1年間の記事一覧

ユリシーズ(1954)

原題は「ULISSE」( 英題Ulysses ) 「トロイの木馬」の後日譜 原作はホメロスの叙事詩「オデュッセイア」 ギリシャ語がラテン語を経由し英語で「ユリシーズ」と呼ばれるようになり イギリスの作家チャールズ・ラムの子ども向けの再話 「ユリシーズの冒険」(…

コン・エアー (1997)

原題も「Con Air」 「コン・エアー」とはアメリカ連邦保安局の空輸隊のことで 出廷や医療緊急事態に出動したり、実際に囚人輸送も行っているそうです 第18回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)で 「Worst Reckless Disregard for Human Life and Public Pro…

ロスト・バケーション(2016)

原題は「The Shallows 」(浅瀬 ) 「ジョーズ」(1975~)シリーズの二番煎じか 「トゥームレイダー2」(2003)のような B級サバイバルパニックだろうと 期待しないで見たのがよかったのか(笑) 思った以上に楽しめました サメに襲われ負傷を負った女性が 海岸…

太陽の中の対決(1967)

原題は「Hombre」(スペイン語で男) 西部劇ではよくあるネイティブアメリカンに育てられた白人の話なのですが マーティン・リットの人種差別に対する怒りや 裕福な白人アメリカンへの反骨心が垣間見えるポストウエスタン 高低差と奥行きを活かした演出も逸品…

天国は待ってくれる(1943)

原題も「HEAVEN CAN WAIT 」 エルンスト・ルビッチ初のテクニカラー作品のファンタジー・コメディ 生涯女好きだった男が、閻魔大王に地獄の受付で 自分の人生を語って聞かせる話 セリフのやり取りがお洒落で(英語が理解できたらもっと面白いのだろう) ルビ…

アルカトラズからの脱出(1979)

原題も「Escape From Alcatraz 」 脱獄不可能とされたアルカトラズ連邦刑務所から2人の囚人とともに脱出した フランク・リー・モリス(1926年-1962年6月11日失踪)がモデル IQは133 約2年間に渡りモリスとエングリン兄弟は独房内の換気口の格子に 仕事場から…

運び屋(2018)

原題は「THE MULE 」「MULE」とは荷物を運ぶ「ラバ」のこと 第二次世界大戦でブロンズ・スター・メダルを授与された軍人で 退役後はデイリリー栽培の達人として知られる園芸家 2009年から2011年までシナロア・カルテルの運び屋を務めた レオ・シャープ(Leo …

本当の目的(2015)

「この国自体が売春婦みたいなもの」 原題は「Три дена во септември」 英題は「Three Days in September 」( 9月の3日間) マケドニア(正式国名「北マケドニア」独立は1991年)と コソボ(独立は2008年)合作のマケドニア語映画 マケドニア語は北マケドニ…

華氏119(2019)

原題は「Fahrenheit 11/9 」 「119」はドナルド・トランプが第45代大統領が勝利宣言をした 「2016年11月9日」の意味 トランプ大統領に対する批判だけを描いているのではなく (でも愛娘イヴァンカへの近親愛はムーアが言う通りキモチワルイ) アメリカの大統…

ボウリング・フォー・コロンバイン(2002)

原題も「BOWLING FOR COLUMBINE 」 アカデミー賞長編、ドキュメンタリー映画賞 フランスのセザール賞、最優秀外国映画賞 カンヌ映画祭では特別賞ほか多くの賞を受賞し マイケル・ムーアを一躍有名にした作品 監督自らのインタビュー式のドキュメンタリー映画…

ローズの秘密の頁(2016)

原題は「The Secret Scripture」 (秘密の聖書) 原作はセバスチャン・バリーの同名小説(2008) 私的には予想外の結末で面白かったのですが(笑) 批評家からはかなりの酷評と低評価だったそうです 原作のほうがあまりに素晴らしいのか 南北アイルランド人の描…

女と男の観覧車(2017)

原題は「WONDER WHEEL」 (コニーアイランドにある観覧車のこと) 「女と男の観覧車」というより「疲れた女の観覧車」(笑) しかもジム・ベルーシは回転木馬の操縦士だし(笑) ウディにしてはコメディ要素が少なく モテ男が恋人の娘を好きになってしまうと…

プリズナーズ(2013)

原題も「Prisoners 」(囚人や捕虜のこと) 林で鹿を撃つオープニングの映像美 屋外の景観はもちろん、室内の撮影にも手抜きをすることはありません 暗くよどんだサウンドも雰囲気があり 本作でもヴィルヌーヴのセンスが光ります カメラはロジャー・ディーキ…

複製された男(2013)

原題は「Enemy」(敵) これがヴィルヌーヴが描くドッペルゲンガー 原作はポルトガルのノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの 「The Double」(二重や生き写し、コピーの意) ドッペルゲンガーとは、自分の姿をもうひとりの自分で描く幻覚の一種 本人に関係の…

湿地(2006)

原題も「Mýrin」 (アイスランド語ミリン=ボグー酸性の泥炭が蓄積する湿原のこと ) 長ったらしい副題の付いたタイトルにはうんざりする こういうシンプルな邦題がいい 製作が2006年にもかかわらず、日本公開が2015年というのも 北欧ミステリーブームに乗っ…

これが私の人生設計(2014)

原題は「Scusate se esisto! 」(申し訳ありませんが私は存在します!) イタリア映画がジェンダー差別を描くとこうなる 実在するイタリアの女性建築家、グエンダリーナ・サリメイの ローマにあるコルビエール(長さ1キロの住宅団地)の 再開発のためのプロ…

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(2018)

原題は「Maudie」(モード=ヒロインの名前) モード・ルイス(1903年-1970年)はカナダの フォークアート(土地固有の文化を描いたアート) 画家 カナダの田舎の風景、動物や草花をモチーフ絵を描き カナダで最も愛されている画家のひとり 身体障害者に対…

希望の灯り(2018)

原題は「In den Gängen 」(通路にて) ざっくりとしたあらすじは巨大スーパーマーケットに入った新人従業員が 周りのスタッフと触れ合いながら、一人前になる話 アキ・カウリスマキやジム・ジャームッシュ作品のような 繰り返す日常を淡々と描いていて そん…

希望のかなた(2017)

原題は「TOIVON TUOLLA PUOLEN」(希望の向こう側) カウリスマキが欧州の社会問題を描くとこうなる(笑) シリアからの難民を取り上げたデッドパン(無表情)でシュールなコメディ そして人々の善意こそが希望であるというメッセージ 洋品店にシャツを卸売り…

特捜部Q カルテ番号64(2018)

原題は「Expediente 64」(ファイル64) 過去の未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の 「特捜部Q」シリーズ待望の4作目 1961年にスプロー島にあった女子収容所と 「特捜部Q」でアサドが異動になるまでの1週間 アパートの解体中に見つかった3体のミイラ…

花のあと(2009)

テレビドラマの延長といった感じで 映画としての出来はそれほどではないのですが(笑) まずヒロインを演じた北川景子の顔が時代劇に合わない (でも袴姿の女剣士はほれぼれするくらい美麗) ヒロインが思いを寄せる宮尾俊太郎のあまりの棒読み台詞 (なぜ俳…

0.5ミリ(2014)

「極限に追い込まれたヒトの輝きは 極限状態を凌駕し自己の実存として覚醒され、それは山をも動かすこととなるその山とは一人ひとりの心、0.5ミリ程度のことかもしれないが その数ミリが集結し同じ方角に動いた時こそが、革命の始まりである今日的日本人にそ…

キューポラのある街(1962)

「貧しいから弱くなるのか、弱いから貧しくなるのか」 舞台は鋳物の工場が立ち並ぶ埼玉県川口市 キューポラ(cupola furnace)とは、鋳物を作る溶解炉のことで 独特の形をした煙突が特徴 かっては戦争で需要があった鋳物工場は経営困難に陥り 大企業に買収さ…

家族ゲーム(1983)

公開された年の映画賞を総なめ 今でも名作だとか、森田芳光監督の最高傑作と称えられている怪作 ストーリーそのものは成績の振るわない中学三年生の息子のため 両親が大学生の家庭教師を雇い、見事進学校に合格するという単純なもの ですが、サクセス感は全…

ホワイトラブ(1979)

百恵&友和第10作目の記念映画のオリジナル・ストーリーを一般公募し 受賞作を藤田敏八と小林竜雄が脚色 今までの文芸的な作風とはうってかわって 外国語教室、品川ナンバーのオープンカー 業界でスタイリスト、商社勤務、シングルマザー インスタント食品、…

風立ちぬ(1976)

堀辰雄の同名小説の映画化 作中にある「風立ちぬ、いざ生きめやも」(風が渡っていく、さあ生きていこう) という詩句、はポール・ヴァレリーの詩『海辺の墓地』の一節 「Le vent se lève, il faut tenter de vivre.」を堀本人が訳したもの 「私」の婚約者、…

若い人(1962)

「ああいう苦しみを持った子に弱いんです」 原作は石坂洋次郎の同名小説 原作では高校教師の主人公は偽善性や卑怯さを持った 典型的な日本人男性の心情が描かれているそうですが 裕次郎にドロドロ感はなく、あくまで爽やか(笑) 女子生徒からの愛情を受け止…

「アラン・ドロン生誕85年記念祭 シネマ・ライブVOL.8」(2020)

去る11月8日(日) チェイサーさん主催、銀座タクトで行われた 「アラン・ドロン生誕85年記念祭 シネマ・ライブVOL.8」に行ってきました コロナ渦中での開催ではありましたが チェイサーさんの「ドロンさんに対して何らかの方法で 日本のファンの方々からの…

太陽の季節(1956)

原作は石原慎太郎原作の同名小説 文壇的には反対派が多かったものの芥川賞受賞、翌年には映画化され その後「処刑の部屋」「狂った果実」も映画化され大ヒット 「太陽族」という流行語が生まれ、活字メディアより 映像メディアによって作家が有名なった最初…

西鶴一代女(1952)

溝口健二は今では小津安二郎や黒沢明と並ぶ 巨匠という評価が定着しているものの この「西鶴一代女」でヴェネツィアで国際賞を獲得する以前は 好不調の波が激しく失敗作も多く、特にこの作品を発表するまでは 長いスランプに喘いでいたそうです しかし時代が…