
「私がいないところで、私のことを思い出してほしかっただけ」
原作はコント芸人「ジャルジャル」の福徳秀介が2020年に発表した恋愛小説
舞台は福徳の出身校でもある関西大学

序盤は普通の恋愛映画
大学に馴染めない小西徹(萩原利久)は
ある授業でドアの「押す」と「引く」を間違えてひとりで笑ったり
学食ではひとりでざる蕎麦を食べている
お団子頭の桜田さん(河合優実)に一目惚れ

彼女にの隣の席に座り出席票を提出してもらうことで知り合いになり
同じ価値観をもつ桜田さんのことをどんどん好きになっていきます
でも変な名前ばかりのメニューの喫茶店に
「オムライス」だけが普通な謎を解きに行こうと約束した放課後
桜田さんは現れず、その日以来授業にも来なくなってしまいます

もしかしたら桜田さんは自分のことになど全く興味はなく
何度も偶然会ったのは、ストーカーに付け回されていると思っていたのだろうか
たったひとりの親友で、いつも風変わりな服を着ている
お人好しの山根(黒崎煌代)に八つ当たりしてしまいます
(そしてプチ反戦)

でも見せ場はここじゃなかった
この映画が今までの恋愛映画と全く違うのは
小西の銭湯のバイト仲間のさっちゃん(伊東蒼)が
小西に好きな女性がいることに気付き、小西に遅すぎた告白をする
超超超長回しのシーン
こんなに長いセリフだと
見ているほうも集中力が切れそうになると思うんですけど
そうはならないんですね
アレ、”このき”、どうしても好きと言う言葉が出てこない
好きと言ってしまったら、この関係が壊れてしまうかも知れないから
だからスピッツの「初恋クレイジー」に気持ちを託してみた
でも伝わらなかった
片思いの気持ちが全部詰まってる

小西がバイトを欠勤したときには、いつもさっちゃんが仕事を肩代わり
小西はさっちゃんにごはんをおごることを約束し
「そういえば俺たち、外で会ったことないよね?なんか照れるね」
なんて小西の何気ない言葉に、さっちゃんはキュンとなってしまいます
でもすぐにただの口約束だとわかる
今までもずっとそうだった
♪忘れられたアイスのように溶けた♪

小西に伝える「私のようにならないで」
”このき”の人だから、幸せになってほしいというメッセージ
このさっちゃんの独白が、ラストでまた泣かせます
桜田さんが消え、さっちゃんがバイト先に来なくなってから1カ月半
小西はひとり喫茶店にオムライスを食べに行けるようになったり
山根にも謝り(大人の対応をする山根)少しづつ回復

そんなときバイト先の銭湯の主人の佐々木(古田新太)から
さっちゃんが交通事故で死んでいたことを知らされます
しかも小西が佐々木とさっちゃんの家に線香をあげにいくと
玄関で出迎えたのは桜田さんでした
桜田さんはさっちゃんのお姉さんだったのです

でもさっちゃんが死んだのは、小西にフラれたからでも
小西の好きだった女性が姉だったことでもありませんでした
さっちゃんは常に前向きで、強い心の持ち主(本当は強くない)
小西にフラれた次の朝も、ベランダでハンモックで寝て朝日で目覚めます
今日も大学にサークルにバンド活動にバイトと忙しい
だけど横断歩道を歩行中、トラックの後輪に巻き込まれてしまう
あんなにも宝のようないい子が・・

恋の喪失以上の喪失
さっちゃんの名前は咲だった
小西が、お父さんが咲が結婚したとき読むよう託した手紙を読む
お父さんっ子で、音楽マニアもお父さん譲り
明るくて誰からも好かれ、花はちょっと妬いていた
だけど死んでしまうなんて
咲だけがお父さんに可愛がられていると、嫉妬した自分が悪かった?
小西も思っていた、さっちゃんの気持ちに答えなかった自分が悪かった?
泣いて泣いて、嗚咽して泣きまくるふたり

そして小西は思いだす、桜田さんと行った喫茶店と
さっちゃんのあの夜の言葉
幸せは”さちせ”で、好きは”このき”
すべてはお父さんが娘に残した言葉だったことを
桜田さんに「初恋クレイジー」を最大ボリュームで聞くことを提案する小西
♪言葉に出来ない気持ち
♪ひたすら伝える力
♪表の意味を超えてやる

大音量のなか、桜田さんに本当の声が届いているかどうかはわからない
しかも亡くなったさっちゃんの仏壇の前で不謹慎なこともわかってる
だけどこれが自分にとって、さっちゃんの遺言だから
たとえ軽蔑されても、侮辱されてもいい
桜田さんのことを”このき”で
”さちせ”にしたいと伝えたのでした

たとえこのふたりが結ばれたとしても、うまくいくかどうかははからない
この悲しみから永遠に抜け出せるとも思えない
それでも小西が、桜田さんに告白した理由は
さっちゃんが”このき”な人と”さちせ”になってほしいと願っていたはずだから
でも本当は
2番目じゃダメだったんだよね・・
【解説】映画.COMより
お笑いコンビ「ジャルジャル」の福徳秀介が2020年に発表した恋愛小説「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」を、「勝手にふるえてろ」「私をくいとめて」の大九明子監督が映画化。
大学生の小西徹は、思い描いていたキャンパスライフとはほど遠い、冴えない毎日を送っていた。そんなある日、お団子頭の女子大生・桜田花の凛々しい姿に目を奪われた小西は、思い切って彼女に声をかける。いろいろな偶然も重なり、またたく間に意気投合する2人。会話が尽きないなか、「毎日楽しいって思いたい。今日の空が一番好きって思いたい」と桜田が何気なく口にした言葉が、小西の胸を刺す。その言葉は、小西が大好きだった、いまは亡き祖母の言葉と同じだった。桜田と出会えたことに喜ぶ小西だったが、そんな矢先にある出来事が2人を襲う。
主人公の小西徹を演じるのは、映画化もされたドラマ「美しい彼」シリーズなどで人気を集める萩原利久。ドラマ「不適切にもほどがある!」や映画「ナミビアの砂漠」などで若手実力派としてブレイクした河合優実が、ヒロインの桜田花に扮した。2024年・第37回東京国際映画祭コンペティション部門出品。
2024年製作/127分/G/日本
配給:日活






































































羊たちにとって死はミステリーのようなフィクションで

























