希望の灯り(2018)

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原題は「In den Gängen 」(通路にて)

ざっくりとしたあらすじは巨大スーパーマーケットに入った新人従業員が

周りのスタッフと触れ合いながら、一人前になる話

 

アキ・カウリスマキジム・ジャームッシュ作品のような

繰り返す日常を淡々と描いていて

そんな中でも小さな事件が起こりますが

何もなかったように再びもとの生活に戻るというもの

(だからといってカウリスマキをパクったこの邦題はいただけない)

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だだ東西ドイツ統一後の旧東ドイツ人の

かっての東ドイツを懐かしむノスタルジーや負け犬感が

カウリスマキジャームッシュより哀愁を感じる

 

映画は三人の主人公にちなんだ、大きく3つの章に分かれています

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第一章クリスティアン

旧東ドイツの僻地にある西ドイツ資本で建てられた

倉庫型の巨大スーパーマーケット

コストコ」のような、といえばわかりやすい

 

そこに建設現場をクビになった全身刺青の青年

クリスティアンが面接にきます

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上司は刺青を隠すように指示し(でも見えている 笑)

彼を飲料売り場のブルーノに預けます

ブルーノはクリスティアンに職場のいろいろなことを教え

クリスティアンは黙々と、時には失敗しそうになりながら仕事をこなします

 

隣の通路は菓子部門で、フォークリフトの運転をこなしている年上の女性

マリオンに一惹かれてしまいます

彼女のフォークリフトから小さなヘアゴムを見つけ

寂しいひとり暮らしのアパートに持ち帰る

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第二章 マリオン

クリスティアンの気持ちに気付いているのか

マリオンはコーヒーマシンの前のクリスチャンを「新入クン」と呼び

「コーヒーを奢ってくれないの?」と声を掛けます

そして作業服の下に隠された彼の腕の入れ墨を賞賛するのです


クリスティアンフォークリフトの講習を受け

(授業で見るビデオがギャグホラー 笑)免許を所得

ブルーノの指導の下、高度な技も身につけていきます

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マリオンの誕生日には(処分する予定の賞味期限切れの)

エストーティ(ネスレのチョコ菓子)に

ろうそくを灯し、ふたりで楽しく食べます

やがて同僚たちもクリスティアンとマリオンが

お互い好意をもっていると感付いてくるわけですが

そこでクリスティアンはマリオンが結婚していることを

初めて聞かされるのです


シフトのせいでマリオンとなかなか会えませんでしたが

会社のクリスマスパーティーでマリオンを見つけたクリスティアン

建設現場で働いていた頃の話などして再びふたりの距離は縮まります

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しかし年が明けるとマリオンはクリスティアンを避けるようになります

彼が理由を聞くと、彼女は泣いてクリスティアンのせいではないと言う

そして突然、病気休暇で会社にこなくなります


ショックを受けたクリスティアンは昔の悪い仲間に会って酔っ払い

翌日の仕事を遅刻してしまい、上司から警告を受けます

ブルーノはクリスティアンに、マリオンの夫は「ろくでなし」で

マリオンはDVを受けている

彼女が好きなら付き合うべきではないと教えます

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クリスティアンは花束を持ってマリオンの家を訪問します

ドアは開いていて家に入ると、マリオンがお風呂に入るところを見てしまう

そして彼女に気づかれ、花束を置いて逃げ出し

自分のしたことを後悔したのか、バーに行って酒を飲む

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第三章 ブルーノ

ブルーノは東ドイツ時代はトラックの運転手をしていてました

昔の仕事や、社会主義政権を懐かしんでいて

それを隠そうとしません


西ドイツは世界中に高級車や電化製品を売る

資本主義経済体制で成功した代表のような国
東ドイツ国営のトラック会社など利益にもならない

そこに巨大スーパーマーケットを建て

元の従業員たちに西側的な教育をして再就職させたのです

だから従業員たちは、お互い助け合い慰め合う

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しかし新しいスタートは、彼らにとって得るべきものより

多くのものを失いました

 

ブルーノはクリスティアンがかって刑務所にいたと知っても

咎めることはありませんでした

ここではみんなが負け組なのです

(マリオンの家が豪邸なのは、夫が西ドイツの人間だと思う)


マリオンが仕事に戻ることになりクリスティアンに花束のお礼を言います

クリスティアンはマリオンにエスキモーの挨拶の話をし

ふたりは冷凍庫でお互いの鼻をこすりあわせる

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ささやかな幸せもつかの間、ブルーノが自殺したという知らせが入ります

彼に家族がいるというのは嘘で、ひとり暮らしの家は荒れていました

従業員たちは彼の死を哀しみ葬儀に出席します


クリスティアン飲料部門でブルーノの代わりを務めることになりました

そこでマリオンはかつてブルーノから学んだ

フォークリフトテクニッククリスティアンに披露しています

空のフォークリフト上昇させ再びゆっくり下降させると

フォークリフトの油圧海の騒音のような音がする

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右袖、左袖、手首の刺青を隠す

フォークリフト、煙草、食品ロス、バス停、自宅

毎日同じ繰り返し

 

ブルーノが死んでも何も起こらない

昔の不良仲間とも何も起こらない

マリオンとも何も起こらない

結局何も起こらない

 

ただ東ドイツにも、東ドイツの幸せがあったということ

 

 

【解説】allcinema より

 東西統一後のドイツを舞台に、“負け組”とされた旧東ドイツ出身の人々のままならない日常と小さな幸せを綴ったクレメンス・マイヤーの短編『通路にて』を映画化したヒューマン・ドラマ。主演は「ハッピーエンド」「未来を乗り換えた男」のフランツ・ロゴフスキ、共演にザンドラ・ヒュラー、ペーター・クルト。監督は長編2作目のトーマス・ステューバー。
 深夜の巨大スーパーマーケット。内気な青年クリスティアンは、ここで在庫管理担当として働き始める。未知の世界に戸惑うクリスティアンに、上司の中年男ブルーノは父親のような包容力で接し、仕事のイロハを教えていく。そんな頼りがいのあるブルーノだったが、東ドイツ時代への郷愁に囚われている。ある時クリスティアンは、菓子部門で働く年上の女性マリオンと出会い、心惹かれていくのだったが…。

希望のかなた(2017)

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原題は「TOIVON TUOLLA PUOLEN」(希望の向こう側)

カウリスマキが欧州の社会問題を描くとこうなる(笑)

シリアからの難民を取り上げたデッドパン(無表情)でシュールなコメディ

そして人々の善意こそが希望であるというメッセージ

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洋品店にシャツを卸売りするのを商売にしている

ヴィクストロム(サカリ・クオスマネン)

酒浸りの妻に別れを告げ、店を畳み、そのお金を元手にポーカーで賭け

念願のレストラン経営に乗り出します

 

しかしそこはランチに缶詰を出すような店

3人いる従業員も個性的で癖のある人物ばかり

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その頃、貨物船に隠れたひとりの青年がヘルシンキの港にたどりつきます

簡易のシャワールームで身体の汚れを落とす

こういうワンコインでタオルと石鹸を供給するシャワールームがあるということは

それだけフィンランドには難民やホームレスが多いのかも知れません

 

そのあと青年は警察に向かい、難民申請をします

カーリド(シェルワン・ハジ)と名乗り

シリアのアレッポから戦火を逃れ、あちこちの国をめぐり

ネオナチから逃げて貨物船に乗ったら偶然この街にたどり着いたといいます

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故郷で家は爆撃され両親も弟も婚約者も亡くしてしまい

唯一生き残った妹と逃れたものの、ハンガリーの国境で生き別れ

フィンランドは誰にでも平等な国だと聞き

ここで妹を探したいというのが彼の希望でした

 

しかし難民認定されず、強制送還されることになってしまいます

カーリド施設を脱走し、ヴィクストロムのレストランのゴミ置き場に

ホームレス同然に隠れていました

ヴィクストロムに見つかったカーリド「出て行け」「いやだ」言い合

殴り合いになってしまいますが

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次のカットでは、食事を与えられるカーリドと

事情を知り「ここで働きたいか?」と尋ねヴィクストロム

 

警察が来れば匿い、小遣いをあげ寝泊まりする場所を提供する

挙句の果てには身分証明書まで偽造し

難民キャンプで見つかった妹を、国際運送のトラックの運転手を雇い入国させる

だけど運ちゃんは「こんな素晴らしい荷物を運べたんだ、金は要らない」

粋なはからい

 

従業員には給料を前払いしたり、ヴィクストロムは手元に残ったお金を

よくも知らない他人のために、ほとんど使ってしまうのです

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そしてカーリド(難民)と対比させているのが

従業員が拾ってきた捨て犬カウリスマキの愛犬)

犬と人間を比較するなんて、と批判する人もいるかも知れませんが

どちらも大切な命、誰かが守ってあげないと生きていけない

 

ヴィクストロムは従業員に「明日まで捨ててこい」と言いながら

結局飼うのを見逃してしまう(笑)

別れた妻にも会いに行ってしまう


ヴィクストロムもレストランの従業員たちも

難民センターで知り合ったイラク人の青年マズダック

自分たちも貧乏なのにもかかわらず、親切な人ばかり

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ヴィクストロムは金策のために

フィンランドでは今、寿司が人気らしいと聞き

書店で日本食のレシピ本や時代小説を買いスシ・レストランに改装

 

そこにイキナリ日本人の団体客がやって来て

食材は足りないわ、みそ汁は出来ていないわ

ワサビどっさりのなんちゃって握りを作ってみたものの

もちろん食べられるような品物ではない

なのに客は文句も言わず静かに帰っていきます(笑)

 

カウリスマキ親日家でも有名ということ

会話のシーンや、小物の使い方(センスは微妙)

バスショット(胸から上を撮影すること)には小津的なものを感じます

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だけれど誰もがヴィクストロムやマズダックのように

無償で親切にしてくれる人間ばかりではない

差別や迫害を超えて、難民を見つけては本当に殺そうとするネオナチ

 

妹を女性従業員の家に預かってもらい帰宅する途中

カーリドはネオナチに腹を刺されてしまいます

ヴィクストロムがカーリドの部屋に寄るとそこにカーリドはいなく

血痕だけが残っていました

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翌朝、難民申請する妹を警察に送り届ると

カーリドは荷物を枕に(公園のような場所で)横になる

刺された箇所にはガーゼが貼られ、どうやら治療したようす

(ヴィクストロムが見つけて病院に運んだのかな)


カウリスマキ曰く
「私がこの映画で目指したのは、難民のことを哀れな犠牲者

さもなければ社会に侵入して仕事や妻や車をかすめ取る

ずうずうしい経済移民だと決めつけるヨーロッパの風潮を打ち砕くこと」

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現代のユーロ脆弱もろくて弱いことな体制と

難民を迎える官僚制のひっ迫、財政難、それに対する国民の不満

解決の難しい社会問題を、人道的で誠実

しかもちょっとふざけて描いている(笑)

 

家族と離れ、お金もなく、言葉も通じない苦労

いつかすべての国の内戦が終わり、経済が復興し

難民たちが自分の国に帰れるよう祈るばかりです

 

 

 

【解説】allcinema より

フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ監督が難民問題をテーマに贈るハートウォーミング・ドラマ。2017ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)受賞作。フィンランドの首都ヘルシンキを舞台に、妹の行方を捜すシリア難民の青年が、非情な現実に希望を打ち砕かれそうになるさまと、そんな彼に優しく手を差しのべる市井の人々の小さな善意が織りなす心温まる人情ドラマをユーモラスに綴る。主演はシリア人俳優のシェルワン・ハジとカウリスマキ作品の常連サカリ・クオスマネン。
 内戦が激化するシリアを逃れ、フィンランドの首都ヘルシンキに流れ着いた青年カーリド。過酷な長旅の中で混乱に巻き込まれ、今やたった一人の家族である妹ミリアムと離ればなれになってしまった。彼の唯一の望みは、その妹を見つけ出し、フィンランドに呼び寄せることだった。しかしカーリドの難民申請は無情にも却下されてしまい、彼は収容施設から脱走する。ヨーロッパ全土を揺るがす難民問題が暗い影を落とす中、容赦ない差別や暴力に晒され、行き場を失うカーリド。そんな時、レストラン・オーナーのヴィクストロムという男と出会い、彼の店で働かせてもらえることになったカーリドだったが…。

特捜部Q カルテ番号64(2018)

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原題は「Expediente 64」(ファイル64

過去の未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の

「特捜部Q」シリーズ待望の4作目

 

1961年にスプロー島にあった女子収容所と

「特捜部Q」でアサドが異動になるまでの1週間

アパートの解体中に見つかった3体のミイラ化した遺体の捜査が

並行して描かれます

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デンマークでは、従兄弟と関係すると近親相姦になるのでしょうか

ニーデは従弟のテーイと愛し合っていましたが

父親に見つかり更生施設に入れられてしまいます

 

ニーデと同じ部屋のリタは漁師に

お金がなくても女の子ができること”をして欲しいものを手に入れたり

看護婦のギテと”ヒヨス”と幻覚作用のある草の(マリファナのようなもの)

お茶を飲み淫らな行為をしていました

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テーイの子を妊娠しているニーデは、リタに脱走させてあげると騙され

漁師にレイプされそうになったうえ、収容所に連れ戻され

クアト医師に中絶され、不妊手術まで行われます

(手術シーンがリアルすぎてヤバイ)

 

1960年頃までにデンマークで行われていた
強制不妊手術はわかっているだけで約11,000

しかも「優生思想」や移民に対するヘイトクライムにより

病気や移民女性の強制不妊手術を医師や官僚や警察が

組織的に施していたというのです

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もちろん私は差別や、強制的な不妊手術には反対ですが

北欧の国々のように社会保障の高い国の国民ほど

実は移民や障害者に対する不満が大きいのではないかと思います

自分たちの払っている高額な税金が、移民や仕事のできない人間に使われ

物価は上がり、教育の質は下がり、治安は悪化

将来が不安になる

 

スプロー島の収容所を出所したニーデは

リタと、看護師のギデと、クアト医師を訴えますが

フィリップ弁護士によって裁判は却下され

3人と弁護士に復讐する決意をします

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カール警部補(ニコライ・リー・コス)とアサド(ファレス・ファレス)

紅一点のローセ(ヨハン・ルイズ・シュミット)は

スプロー島の管理人や、遺体で見つかった弁護士の妻から証拠を集めますが

 

管理人は殺され、ローセは襲われ

カールとアサドが乗った車は火が放たれ証拠の書類が燃えてしまう

ただひとつ残ったのが「ファイル64

ニーデのカルテでした

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カールがニーデに会いに行ってる頃

アサドはスーパーを営む友人の娘、マールが行方不明になり

マールが父親に内緒で中絶手術をしたクアト医師の病院に探しにいきます

 

しかし同僚の警官がクアト医師の仲間で

アサドは腹を撃たれて倒れてしまいます

そこに気を失っていたマールが目を覚まし、クアト医師を殴り

危篤のアサドに駆け付けたカールが救急車を呼びます

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クアト医師は「優秀な者だけが子孫を残す資格がある」

という考えを信奉する「寒い冬」の代表でした

それは寒冷地に住む白人種こそ優生種と信じる団体で

クアト医師らは社会的弱者を強制断種するための不妊手術を現在でも続けていて

一方では白人種の高齢女性や不妊女性には高度な不妊治療をしていたのです

 

日本でも女性の強制不妊手術を訴える動きが出てきていますが

その背景にある社会問題もしっかり追及するべきでしょう

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3作に比べるとサスペンス性は薄れ、残忍さも欠けて

犯人もオチも予想がついてしまいますが()

カールとアサドとローセのトリオはやっぱりいい

 

病院で目が覚めたアサドに「特捜部に残ってくれ」と頼むカール

アサドを抱きしめるローセ

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原作はシリーズ8作目まで発表されているんだから

まだまだこのトリオで続けてもらわなきゃ困るよ(笑)


【解説】映画.comより

累計1000万部以上を売り上げるデンマークの大ヒットミステリー小説「特捜部Q」の映画化第4作。過去の未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の新部署「特捜部Q」。今回彼らが挑むのは、1980年代に起きたナイトクラブのマダム失踪事件。調査によると、ほぼ同時に5人の行方不明者が出ているという。やがて、壮絶な過去を抱える老女と、新進政党の関係者が捜査線上に浮上する。キャストにはカール役のニコライ・リー・カース、アサド役のファレス・ファレスらおなじみのメンバーが続投。「恋に落ちる確率」のクリストファー・ボー監督がメガホンをとり、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のニコライ・アーセルが脚本を手がけた。ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2019」上映作品。

花のあと(2009)

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テレビドラマの延長といった感じで

映画としての出来はそれほどではないのですが(笑)


まずヒロインを演じた北川景子の顔が時代劇に合わない

(でも袴姿の女剣士はほれぼれするくらい美麗)

ヒロインが思いを寄せる宮尾俊太郎のあまりの棒読み台詞

(なぜ俳優でなくバレエダンサーを起用した 笑)


でもストーリーそのものは悪くない

下級武士の悲哀や、好きな人と決して結ばれない恋心

腹黒い上司の悪、復讐・・

藤沢周平は日本人の心に響くツボを押さえている(笑)

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海坂藩の寺井家のひとり娘以登(北川景子)

幼い時から親の甚左衛門(國村隼)から剣の手ほどきを受け

藩一番の剣術道場の強者を破るほどの剣豪でした

花見の日、以登は道場の筆頭剣士江口孫四郎(宮尾俊太郎)に声をかけられ

寺井家の屋敷で試合をすることになります


自分より強い男との初めての出会い

唯一「おなご」と侮らず本気でぶつかってきてくれた男

しかも礼儀正しく、紳士でやさしく、イケメンだ(笑)

惚れないわけがない

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お互い好意を寄せるものの、以登には江戸に許嫁がおり

孫四郎奏者番の娘加世と結婚し、奏者見習いとして働きだします

しかし加世は御用人、藤井勘解由市川亀次郎)の愛人で

結婚後も不倫関係を続けていました

しかも孫四郎が初めて幕府に対する使者として江戸に向かうとき

藤井勘解由は「江戸のしきたりは違う」と孫四郎に嘘の手順を教えます

そのため返答書が突き返されてしまい、孫四郎は責任をとって切腹してしまう


言葉がなくても、娘の心情を察する國村隼がいい(出た!枯れ専 笑)

そして江戸から帰ってきた以登の許嫁、片桐才助(甲本雅裕) がいい

孫四郎とは違い、風采の上がらない容姿なうえ

下品で、がさつで、大飯ぐらいで、酒のみで、しかもスケベ

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しかし父親の甚左衛門はいたく彼を気に入っていて

来年の春には祝儀をあげようとしている

その理由が徐々にわかってきます


以登は藩一番の剣士で、礼儀も作法もわかっているはずの孫四郎が

なぜ仕事でミスをしたのかどうしても知りたい

その理由を探るよう才助に頼むのです

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するとこの才助、ヘラヘラしているわりには意外と頼りになる男で(笑)

孫四郎の江戸行きのいきさつを調べます

藤井勘解由と加世の不倫は城内でも噂になっていて

孫四郎もそのことを知っていたといいます

藤井勘解由は孫四郎に間違った手順を教え

孫四郎の死後も加世と不倫を続けている

しかも城下の豪商から多額の賄賂を受け取り、家老たちにも配分して

自分の地位を安泰なものにしているというのです

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以登には淡い恋心もあったのでしょうが

孫四郎と同じ剣士として藤井勘解由の卑劣さが許せなかった

藤井勘解由に果たし状を送ります


そこでも才助は余計な詮索はせず、何も言わず

ただそっと以登を支える、なんともいえない男らし

見た目とのギャップの差にヤラレル度は100点満点(笑)

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そして果し合いの日、相変わらず卑怯な男藤井勘解由は

3人の剣の達人を使って以登を暗殺しようとします


さすがザ・歌舞伎で半沢直樹市川亀治郎(笑)

わかりやすい憎たらしさが半端ありません

北川景子ちゃんはまるで”バーチャ・ファイター”のキャラの如し

殺陣はイマイチだけど(笑)ビジュアル的には最高


3人の剣士を倒し、懐剣で藤井勘解由にトドメを刺す

そこに才助がやって来て

藤井勘解由の死は、彼が賄賂を受け取っていること知る

何者かの強請り(ゆすり)によるものだろうと片付けるのです

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そうして才助は以登の家に婿入りし、7人の子を儲け

甚左衛門の名を継ぐと、昼行灯と呼ばれながらも中老、家老と出世し

筆頭家老として、長い間勤めを果たしたということ


冒頭でも言った通り、映画としての出来はそれほどでもない

だけど重松清原作の「青い鳥」(2008)もそうだったけど

この監督は原作者の訴えたいテーマをきちんと理解している

だから原作小説を読み終えた時と同じように

小さな感動と余韻が残るのです

 

 

【解説】allcinema より

架空の小藩“海坂藩”を舞台にした藤沢周平の短編時代小説を北川景子主演で映画化。女でありながら剣の道を愛し、武士の家に生まれた女としての運命を受入れながらも、決して心の芯を曲げることなく凛として生きた一人の女性の姿を描く。共演に甲本雅裕宮尾俊太郎市川亀治郎。監督は「青い鳥」の中西健二
 江戸時代、東北の小藩、海坂藩。組頭・寺井甚左衛門の一人娘、以登は、男にも劣らぬ剣の使い手。ある日彼女は、下級武士ながら藩随一の剣士、江口孫四郎と出会う。一度でいいから孫四郎と剣を交えてみたいとの想いが高まる以登。父はその願いを聞き入れ、竹刀での立ち合いが実現する。結果は完敗だったが、真摯に向き合ってくれた孫四郎に対し憧れ以上の感情が湧いていた。しかし、以登は婿を迎えなければならぬ身。すでに片桐才助という許嫁がいた。以登は孫四郎への想いを静かに断ち切る。ところが数ヵ月後、孫四郎が大事なお役目で失態を演じ切腹したとの報せが届く。やがてそれは、藩の重臣、藤井勘解由による陰謀だったと知る以登だが…。

0.5ミリ(2014)

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「極限に追い込まれたヒトの輝きは

極限状態を凌駕し自己の実存として覚醒され、それは山をも動かすこととなる
その山とは一人ひとりの心、0.5ミリ程度のことかもしれないが

その数ミリが集結し同じ方角に動いた時こそが、革命の始まりである
今日的日本人にその魂は残されているのだろうか 」


静電気が起こるくらい近い、人と人との距離感が0.5ミリ”

ケアヘルパーの4つのオムニバスのような映画

高齢者の遺産を狙う”後妻業”のような

女性介護師の話かと思ったらそうではなく

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ホームレスの女の子が町で見かけたおじいちゃんの弱みに付け込んで

家に住まわせてもらうものの、料理上手で(笑)

頑固で孤独でふてくされているおじいちゃんの心を癒すというもの


そこに、自殺、詐欺、ジェンダー、近親相姦という

社会問題や重いテーマが加わってきます 

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片岡家で(住み込みで?)おじいちゃんの面倒を見ている

ケアヘルパーのサワ(安藤サクラ)は、娘の雪子(木内みどり)から

「おじいちゃんの冥土の土産に寝てくれない?お金は弾むから」

と頼まれてしまいます


ほとんど寝たきりで自分のことは何も出来ないおじいちゃん

当然ただの添い寝だと思っていたら

なんとこのじいさん、かなりのイロ呆けだった

サワは襲われそうになり、その騒動でストーブの火が

おじいちゃんの身体に燃え移ってしまう


おじいちゃんから逃げなきゃいけないわ

おじいちゃんの火は消さなきゃいけないわ

しかも2階の部屋から階段を駆け下りると

そこには雪子の首つり死体と

それを見つめる自閉症気味で言葉を話さない、雪子の息子のマコトの姿

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警察の事情徴収が終わり、ATMで雪子から振り込まれた現金を降ろす

ところが現金をポケットに入れたコートを電車に忘れてしまう

そこでカラオケボックスをホテルと間違えているおじいちゃんを見つけ

無理やり一緒にカラオケ、食べ物と飲み物を奢ってもらいます

夜明けにはおじいちゃんから「楽しかった」と

コートと一万円札を貰います


次にサワが見つけたのは、自転車の窃盗癖のある坂田利夫

警察に届けると脅し、勝手にアホの坂田の家に上がり込み料理する

そしてアホの坂田が、コツコツと貯めた1千万円を

ビジネスヤクザの投資詐欺に預けようとしていることを知ります

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サワはヤクザと戦い、アホの坂田は高級介護施設に入居

     長年大切にしていた名車「いすゞ117クーペ」をサワにプレゼントします


ここからちょっと日本版「グラントリノ(2008)(笑)


だけど金もなければ宿もない、クーペで寝泊まりし

ショッピングモールのトイレで身体を洗いサンプル品の香水で体臭を消す

そこで見つけたのが、おひとり様で時間を潰す真壁(津川雅彦

本屋でエロ本を上着に隠した真壁を捕らえ、家まで送り

認知症の妻(草笛光子)のホームヘルパー浜田(角替 和枝)に

新しいヘルパーだと自己紹介

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最初は上手くいっていたものの

自分より仕事が出来るサワに浜田は嫉妬し

真壁の姪の久子(浅田美代子)に連絡をして来てもらいます

すると久子は介護は自分がするからとサワをクビにしてしまう

お別れの日、真壁は自分の戦争体験を吹き込んだ

カセットテープをサワに渡します


そこに録音されているセリフは、監督であり原作者の安藤桃子

戦争体験者から実際に聞いた話ということ

(だからといって反戦映画ではない)

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再び行く当てもなく、再彷徨うサワの目の前に現れたのが

駄菓子屋で万引きしていた片岡家のマコト

マコトはかって「海の家」だった建物で、父親(柄本明)と暮らしていて

サワはマコトの部屋に泊めてもらうことにします

そこでもサワは働き者で(笑)ごみ屋敷を掃除し、料理を作る


父親は海岸で空き缶などを集め収入を得ているようですが

サワにはセクハラ、マコトにはDVというトンデモとうちゃん

旦那(柄本佑)の父親とここまで絡む安藤サクラの凄まじさ(笑)

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とうちゃんの発言から、マコトがイロ呆け爺の子であること

マコトの脚に血が流れたことで、実はマコトが女の子であること

そして本当は自閉症ではなく、言葉を話せることを知ります


マコトが近親相姦の子と知って、とうちゃんは自暴自棄になったのだろう

離婚した雪子は実家に帰り、マコトがイロ呆け爺にレイプされないよう

男の子として育て、学校にも行かせなかったのかも知れない

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雪子の残した赤いワンピースを抱えて泣くマコト

そうしてもうひとつ、トランクから出てきたのは

「サワちゃんありがとう」と書かれた封筒に入った100万円


サワとマコトはふたり、クーペに乗って旅に出る

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三時間強という長尺だし、明るい話ではないし

結局サワが何者なのかわからないし(笑)

でもお金は必要だけれど、お金に執着しないことが

この作品を爽やかにしている


とにかく最初から最後まで、安藤サクラのパワーと才能を感じる

今一番スゴイ女優かも知れないですね




【解説】ウィキペディアより

介護ヘルパーの山岸サワは、ある日派遣先で寝たきり老人の娘から唐突に「冥途の土産におじいちゃんと寝てほしい。」と依頼される。サワは添い寝するだけとの条件で引き受けるが、その日のうちに大事件に巻き込まれ、職場も住居も失ってしまう。

住み慣れた街を離れたサワは、見知らぬ土地土地で見つけたワケありの老人につけこみ、彼らの生活に入り込むおしかけヘルパーを始める。

監督・脚本は作者である安藤が担当し、主役には実妹安藤サクラを迎え、エグゼクティブプロデューサーは実父の奥田瑛二、フードスタイリストは実母の安藤和津が務めた。

ロケは20133月から4月にかけて高知県で行われ、同年10月の四万十おきゃく映画祭で初上映。201410月に高知市の城西公園に設置した仮設劇場で先行上映したのち、118日より全国公開が開始された。

キューポラのある街(1962)

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「貧しいから弱くなるのか、弱いから貧しくなるのか」


舞台は鋳物の工場が立ち並ぶ埼玉県川口市

キューポラcupola furnaceは、鋳物を作る溶解炉のことで

独特の形をした煙突が特徴


かっては戦争で需要があった鋳物工場は経営困難に陥り

大企業に買収され、近代化やオートメ化が進み

古い職人はリストラされる運命にありました

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身体の悪い辰五郎(東野英治郎)も、長年勤めていた工場をクビになります

しかも家では妻のトミ杉山徳子)に赤ちゃんが産まれ

長女のジュン吉永小百合)は県立の名門高校を目指す受験生でした


同じ工場で鋳造工をしていた塚本克巳(いつもの浜田光夫)は

辰五郎を心配し退職金をもらえるよう組合に掛け合ったり

再就職先を探してくれるのですが

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このクソ親父、プライドだけは高い

酒を飲んで暴言さえ吐けば自分の意見が全て通ると思ってる

俺は職人だ、組合がなんだと克巳の提案を拒否し

手元に残ったなけなしのお金まで、すべて博打ですってしまうのです

 

ジュンの親友のお父さんが紹介してくれた条件のいい仕事にも

(当時の日立の最新工場らしい)

頭よさげな若者に仕事を教えてもらうのが気に入らず辞めてしまう


かあちゃんの内職だけで生活できるはずもなく

ジュンは高校進学のためパチンコ屋でアルバイトをし

かあちゃんは飲み屋に働きに行くとこにします

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だけどクソ親父が仕事を辞めてしまったことで

ジュンは親友と顔を合わせられず

おまけにかあちゃんが飲み屋で酔っ払いの客と戯れているのを見てしまう

 

修学旅行をボイコットし、朝鮮人のリスちゃんと夜遊び

そこで朝鮮人の不良グループにレイプされそうになるのですが

いつもの浜田光夫が警察を連れてやってきて、ジュンは助かりますが

それから「勉強などしてもムダ」と学校をサボるようになります

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1960年代、高度経済成長と労働組合の誕生で

貧富の差で抑圧され続けていた労働者階級の人々の意識の高まり


そこに弟のタカユキと在日朝鮮人の少年サンキチとの友情や

バリバリの日教組(といっても今のように”なあなあ”ではない)の

担任教師、加藤武やクラスメイトとの心温まるエピソードが加わります

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日本人も在日朝鮮人もお互い貧しく、子ども達まで生きる手段を選ばない

ある日、いつも通り牛乳を盗んだタカユキとサンキチは

牛乳配達の少年に見つかってしまう

 

川の小舟に乗り、少年から逃げて誇らしげに牛乳を飲むふたり

そんなタカユキとサンキチに転んで泥だらけになった少年は

オマエたちのせいで給料は差し引かれ

病気の親の薬が買えないと泣き叫ぶ


自分は貧乏で苦しいから、金のあるところから盗んで当然と思っていた

生きるためなら何をしてもいいと信じていた

だけど真面目に働いて給料をもらっている人間も

自分たちと同じ苦しみを抱えていることを

その時はじめて知るのです

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在日朝鮮人が「楽園」だと信じている故郷北朝鮮

バンザイの声に送られて帰還していく情景と

社会主義共産主義への幻影

親に頼らず働きながら学ぶという、女性の自立


若い女性や少年たちの心情を見事に描いた

今村昌平の脚本が素晴らしい

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なんでも今村の奥さんが近所の主婦を集め

あしたのジョー」など人気アニメのセル画の採色した収入で

苦しい時代の今村を助けたのだとか(笑)

 

吉永小百合といつも浜田光夫の日活にしては、思った以上に傑作で(笑)

私が見た小百合ちゃん主演の中でも上位ランキング

当時の世相を知る意味でも貴重な映画でしょう

 

 

【解説】allcinema より

鋳物の町として有名な埼玉県川口市。この街にはキューポラという煙突が立ち並ぶ。昔カタギの職人の町にも時代の波が押し寄せる。旧来型の鋳物職人であるジュンの父は、働いていた工場が大工場に買収されたことからクビになってしまう。困窮に苦しむ一家だったが、ジュンはそんな境遇の中でも、自分の進路について一生懸命考え、パチンコ屋でバイトしながらも高校進学の学費を稼ごうとがんばる……。吉永小百合主演で、高度経済成長期の庶民の暮らしを温かなまなざしで描いた青春ドラマ。

家族ゲーム(1983)

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公開された年の映画賞を総なめ

今でも名作だとか、森田芳光監督の最高傑作と称えられている怪作

 

ストーリーそのものは成績の振るわない中学三年生の息子のため

両親が大学生の家庭教師を雇い、見事進学校に合格するという単純なもの

ですが、サクセス感は全くありません(笑)

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モデルは受験戦争、父や兄への劣等感と学歴コンプレックス

家庭内でのコミュニケーション不足が原因と言われた

「神奈川金属バット両親殺害事件」(1980

 

事件はうろ覚えだし、原作も読んでいないし

森田監督の意向もわかりませんが

大人になって私が見た感想は”発達障害”を描いた映画

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テスト中に騒いだり、仮病を使ったり、なにかと問題行動を起こし

クラスでは虐められ、意味もなくニヤニヤ笑い

ジェットコースターに執着している主人公

 

成績優秀で有名高校に進学したもののボりがちで

タロットにハマり黙々とひとりで占いをする兄

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常に植物図鑑を持ち歩き、喧嘩が強い

三流大学7年生(ほとんど大学には行っていない)の家庭教師

 

それに兄弟の両親含め、登場人物は全員何かしらの「こだわり」を持つ

変わり者ばかりなのですが

そんな「こだわり」の強い発達障害者に

特に顕著に表れるのが「食へのこだわり」

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横一列に並んだ食卓、食器がぶつかる音、咀嚼(そしゃく)音

目玉焼きは半熟、黄身をチューチュー吸うのが日課の父親

結婚して何年にもなるのに、そのことに気付いていない母親

その母親は、おかずは必ず一度ご飯の上に乗せてから食べる

飲み物は一気に飲み干さずにいられない、だけど豆乳だけはストローな家庭教師

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それぞれが理性を保つために持つ「こだわり」

そのバランスが万が一壊れてしまったら

何が起こるかわからない緊張感

 

そして、こういう言い方をしたら人権保護団体や

発達障害者のいる家族からお叱りを受けてしょうがないけれど

この”しつこさ”は正直「気持ち悪い」

少年が学校で虐められてしまうのもしょうがない

一歩下がって客観的に鑑賞しなければいけません

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唯一の救いは少年が精神的に強いこと

いくら虐められて酷い目にあっても

それをバネにしてきっちり仕返しします

勉強も頑張って、晴れて兄と同じ進学校にも合格(知能は高い)

一方のいじめっ子は不合格、私立に進学することになり万々

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しかし合格祝いの食事の席で、学歴志向の父親の発言にキレてしまう家庭教師

野菜サラダをばらまき、マヨネーズを絞って振り回す

発達障害者は生野菜が得意でない人が多い)

やがて乱闘になり食卓はメチャクチャ

そうして家庭教師は家族ひとりひとりに断罪(有罪判決)を下します

(そういう家庭教師も何様なんだか)

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ラストはヘリコプターの騒音の中、睡魔に襲われ

昼寝してしまう兄弟と母親

 

たぶん騒音は報道ヘリコプターで、近所で大きな事件があったということ

それは将来、このエゴイズムな家族にも

降りかかるかも知れない暗雲だけど、どうでもいい

自分が興味のある音以外は、耳に入ってこないのだから(または音に敏感)

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たとえ問題行動や、障害があったとしても

誰にでも本来持っている何かしらの才能があるのだから

それを親の見栄とか願望で潰しちゃいかんよ

どうして10代で結果を求める

大器晩成と思えばいい

 

なぜ私がここまで言うのか

それは私も相当な変わり者だから

(大器晩成ではなかったがな 笑)

 

 

【解説】allcinema より

息子の高校受験のためにと雇った風変わりな家庭教師がやって来たことで一家に巻き起こる騒動を描いた傑作ホーム・コメディ。「の・ようなもの」の森田芳光監督が、現代家庭の抱える問題をシュールなタッチでユーモラスに描く。横一列に並んでの食事シーンなど斬新な表現手法が話題を呼んだ。出来のいい兄とは反対に、問題児の中学3年の弟・沼田茂之。高校受験を控えて、家庭教師としてやって来たのは三流大学の7年生でなぜか植物図鑑を持ち歩く吉本勝という奇妙な男だった……。