原題も「HEAVEN CAN WAIT 」
エルンスト・ルビッチ初のテクニカラー作品のファンタジー・コメディ
生涯女好きだった男が、閻魔大王に地獄の受付で
自分の人生を語って聞かせる話
セリフのやり取りがお洒落で(英語が理解できたらもっと面白いのだろう)
ルビッチらしいというよりフランク・キャプラ 風
閻魔大王は「君は女性を幸せにしてきた」と男を天国に送ったけど
昔は脚線美が自慢だった老婦人が脚を見せようとしただけで
地獄へ落とされたり
年増の看護師に検温させないのに、若い看護師にはさせたり
(金髪美女が現れてあの世行きはルビッチのこの先を予言しているみたい)
この男ら、美人には親切だが年増のブスには見向きもしない
実際に身近にいたら女性を幸せにするどころか
多くの女性を嫌な気分にさせるタイプで
アメリカお得意のご都合主義なのですが(笑)
それなりに楽しく、よくできています
物心ついたときから女好きで遊び好きな金持ちのボンボン、ヘンリー
26歳のとき従弟の婚約者マーサに一目惚れしてしまい、略奪婚
妻を誰より愛し、ひとり息子に恵まれるも浮気は続く(笑)
ある時女性への高価なプレゼントがばれ、妻は実家へ帰ってしまう
生まれながらの嘘つき、うまいこと言って妻を呼び戻し
仲睦まじく暮らしますが(といっても息子の恋人にまで下心を抱く)
銀婚式を迎えたあと妻は死んでしまいます
その後も若い女好きは治らず、隠居後も息子に金を無心する
息子に咎められると、今度は穏やかな日々を送るために朗読係を雇うという
相手は24歳の女性だという
そのとき偶然手にした本が「夫を幸せにする方法」
妻と出会ったときの本でした
彼女は夫の浮気を知りながら何度も許してきたのでしょう
(だから早死にしたのよ)
ちょっとしんみりしてしまうヘンリー
だけど結局死ぬまで若い美人が大好き(笑)
それがたとえお金にものをいわせた一時のお遊びでも
彼にとってはかまわない
女性問題で地獄に落ちるなら、それこそ本望
その潔さはすがすがしい(笑)
戦争中にアメリカではこんなコメディ作って、庶民が見ていたんですね
しかもバリバリのユダヤ人のルビッチが(笑)
エンディングに「戦時公債を買いましょう、この劇場でも売ってます」
という字幕が入るのには時代を感じます
【解説】allcinema より
年老いて死んだ主人公が地獄の王に、自分の生涯を回想形式で語るファンタジー・コメディ。生前の行いが元で地獄に落とされた男ヘンリー。マーサという愛妻がいるにも関わらず、多情な彼は数々の女性遍歴を経ていたのだった。やがてサタンの前に引き出された彼は、安らかな表情で自分の犯してきた過ちを語り始めるが……。