カンヌ国際映画祭受賞作品

「死刑台のメロディ(1971)4Kリマスター英語版

「無名で一生を終えたであろう自分たちが アナーキストとして後世に名を残すことができたことを 検事と裁判官に感謝する」 原題は「Sacco e Vanzetti」(サッコとバンゼッティ) 「エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2」 にて鑑賞 …

落下の解剖学(2023)

原題は「Anatomie d'une chute 」(落下(転落)の解剖) 第76回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドール 第81回ゴールデングローブ賞で脚本賞と非英語作品賞を受賞 第96回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネート 人里離れた雪山に立つフランスの山荘…

ロブスター(2015)

原題は「The Lobster」 冒頭、雨の中車が牧場に着くと女が降りて一頭のロバを撃ち殺します その後この「ロバを撃った女」は一度も登場しません 場面は切り替わり、主人公デヴィッド(コリン・ファレル)の面接シーン デヴィッドは妻が別の男と出て行ったため…

聖なる鹿殺し/キリング・オブ・ア・セイクリッドディア(2017)

原題は「The Killing of a Sacred Deer」(神聖な鹿の殺害) ミヒャエル・ハネケのような不気味で居心地の悪さ でもハネケの「本当に怖いのは人間」とは違って 神がかっている これは映画の終盤で娘が学校のレポートで「A」をもらったという ギリシャ神話の…

時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!(1993)

原題は「In weiter Ferne,so nah!」(遠くて、とても近い) 「ベルリン・天使の詩」(1987)の続編で (ヴェンダースは続編というより、統一後のベルリンを探索したかったらしい) 第46回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞 主題歌はU2の名曲「en:S…

アンダーグラウンド(1995)

「むかし、あるところに国があった」 原題は「Подземље(セルビア語)」 (地下) 1941年セルビアの首都ベオグラードをナチスが爆撃 それから50年もの間戦争が続いていると嘘をつき 人々を地下に閉じ込め、武器を作らせ 地上で金儲けした男の物語 それはかっ…

太陽に灼かれて(1994)

原題は「Утомлённые солнцем」(”疲れた太陽”という意味もある)で 1930年代にソ連で流行した、ポーランドのタンゴに由来 (原曲はポーランド語で「最後の日曜日(To ostatnia niedziela)」) 公開当時はスターリン時代の共産主義者(正しくは社会主義)に…

大人は判ってくれない(1959)

原題は「Les Quatre Cents Coups」 直訳は「400回の攻撃」転じて「無分別な行動」や「若気の至り」という意味で 1621年、20歳そこそこだったルイ13世が フランス西南部のモントーバン市のプロテスタント系住民を弾圧するため 大砲400発を発砲したものの失…

白いリボン(2009)

原題は「Das weiße Band」 ここでの「白いリボン」とは ”純潔に育つように”と願いをこめて(間違いを犯した)子どもに 親が結ぶもので、一方で子どもにとっては ひとめでそれとわかる屈辱的なもの 1913年、ドイツ北部のプロテスタントの村 小学校の教師(の…

ぼくの伯父さんの休暇(1953)

原題は「Les Vacances de Monsieur Hulot」 (ユロさんの休暇) コメディアンでもあるジャック・タチの当たり役「ユロさん」を 自作自演したシリーズの第1作目 「ミスター・ビーン」の ローワン・アトキンソンは この作品の影響を受けているそうです 特に話…

過去のない男(2002)

原題は「Mies vailla menneisyyttä」(過去のない男) 暴漢に襲われ記憶喪失になった男が、親切な人々に助けられ 救世軍の女性と恋に落ちる 最後ふたりは結ばれ、暴漢たちも成敗を受けるという 難しいところはひとつもない(笑)ハッピーエンドもの 舞台はヘ…

ワイルド・アット・ハート(1990)

原題も「Wild at Heart」(真の野生) 原作はバリー・ギフォードの「ワイルド・アット・ハート: セーラーとルーラの物語」 リンチはこの映画のテーマのひとつは「地獄で愛を見つける」ことで 結末は「幸せな」と述べたそうですが 最初の脚本は、セイラーがル…

ピアニスト(2001)

原題は「La Pianiste」 原作は「ポルノ作家」などとして非難されたオーストリアの エルフリーデ・イェリネク(2004年ノーベル文学賞受賞)の 「Die Klavierspielerin」(ピアニスト 1983) 賛否両論も当然の作品とは思いますが いままでにないマゾヒズムの解…

ベイビー・ブローカー(2022)

「育てられないなら産むなよ」 「母親だけが責められて父親の責任は?」 原題は「브로커;」英題は「Broker」(仲買人) いかにも是枝裕和です!という感じの物語でした(笑) 正直、是枝の犯罪をファンタジー化する作風は 私好みでないのですけど(それはオ…

クラッシュ(1996)

オープニングのクレジットがカッコいい 原題も「Crash」 お互いの浮気を認めている倦怠期の夫婦が 交通事故をきっかけに性的興奮を覚えるようになり 同じ嗜好を持つ仲間とアンモラルなセックスに目覚めていくというもの 運転中の車の中、事故車の中、愛や性…

ぼくの伯父さん(1958)

原題も「Mon Oncle」(私の叔父) オープニングクレジットから飛び切りお洒落 なんという映像センスの素晴らしさ 音楽の使い方も上手いし (主題歌は世界各国で訳詞されて歌われ、ヒットしたそうです) 雑音まで独特のリズムを刻み心地よい 次に残飯を漁る野…

上海ルージュ(1995)

原題は「揺啊揺、揺到外婆橋」(おばあちゃんの橋へ舟を漕いで漕いで行く)で 旧社会の上海方言の童謡 中盤でヒロインと孤島に母親とふたりで住んでいる少女が ともに「おばあちゃんから教わった」と歌います 搖啊搖 (舟の櫂を)こいで、こいで搖到外婆橋 …

マルホランド・ドライブ(2001)

原題も「Mulholland Drive」 マルホランド・ドライブとは ハリウッドの有名人が住んでいる高級住宅街を見下ろす丘を走る 全長21マイル (約34 km) の道路のこと デヴィッド・リンチ作品のほとんどが 初見で理解するのは難しい、というより無理 「なんじゃこり…

みじかくも美しく燃え(1967)

原題は「Elvira Madigan」(エルヴィラ・マディガン) 1889年に実際に起きたスウェーデンのシクステン・スパーレ中尉(34歳)と サーカスの綱渡りダンサー、エルヴィラ・マディガン(21歳)の心中事件を ボー・ヴィーデルベリ監督が映画化 ただただ美しい、…

逆転のトライアングル(2022)

「ありがとう ごちそうさま」 原題は「Triangle of Sadness」 (悲しみの三角)で 美容用語で「眉間に出来る皺」のこと 予告編で無人島に座礁したクルーズ船の乗客と乗組員の立場が逆転・・ おおよその筋はネタバレしていますが 胸スッキリの下剋上ものでは…

アトランティックス(2019)

原題も「Atlantique/Atlantics」(大西洋) 監督のマティ・ディオプはフランス系セネガル人 2019年カンヌ映画祭グランプリ(パルムドールに次ぐ賞)を獲得 パルムドール争う史上初の黒人女性監督になりました ぜネガル映画は初めて しかも純愛ものかと思っ…

忘れられた人々(1950)

原題は「Los olvidados」 (忘れられたもの) ルイス・ブニュエルの作品の中でも評価の高い映画 メキシコでは公開時3日で打ち切りになったそうですが 第4回カンヌ国際映画祭では監督賞を受賞 2003年にはユネスコの「世界の記憶」に登録 舞台はメキシコシテ…

ドライブ・マイ・カー(2021)

村上春樹の短編小説「女のいない男たち」の中から 「ドライブ・マイ・カー」「シェエラザード」「木野」 3つの物語から構成されたドラマ テーマは男が過去を見つめ直し、強さや威厳より 自分の弱さを認めて再生していくもの(たぶん 笑) 各賞を総なめにし、…

桜桃の味(1997)

「不幸な人間はそれだけで人を傷つけてしまう」 原題は「طعم گيلاس 」(さくらんぼの味) でも作中に出てくるのは桑の実(笑) (日本語訳が違うのかな) そして突然のメイキング映像で終わるラスト 最初見た時は訳がわからなかったけど(笑) アッバス・キ…

タクシードライバー(1976)

「You talkin' to me?」(俺に向かって話しているんだろう)は 「アメリカ映画の名セリフベスト100」で常に上位にランクイン 原題も「TAXI DRIVER」 どうしても気になって再見してみました やはり名作ですね メロウな音楽に映像もスタイリッシュ ストーリー…

灼熱(2016)

原題は「Zvizdn」(クロアチア語で真昼) ユーゴスラビアの分離独立に伴っての クロアチア人と、セルビア人(とスロベニア人)の 旧ユーゴスラビアからの分離と民族対立をめぐった紛争の 前とその後を描いた3つのオムニバス(ラブ・ストリー) クロアチア、…

セックスと嘘とビデオテープ(1989)

「恋をすると 男は女の望む男になろうと努力するが 女はより魅力的な女になろうとする」 原題も「SEX, LIES AND VIDEOTAPE」 当時26歳だったスティーブン・ソダーバーグの(監督/脚本)デビュー作にして カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞(ジェームズ・スペ…

Z(1969)

高知のチャールストン・ヘストン(のほうが嬉しいと本人からリクエスト 笑) ギドラさんからのプレゼント第一弾レビュー 原題も「Z」 1963年5月22日にギリシャで起きた 左派平和主義者グリゴリス・ランブラキス(Grigoris Lambrakis)暗殺事件が題材 「Z」とは…

ボーダー 二つの世界(2018)

原題は「Grän」(英語の "border"=国境、境目、境界 ) 脚本は「ぼくのエリ 200歳の少女」(2008)の原作者 ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストと イラン系デンマーク人のアリ・アッバシ監督の共同 スウェーデンのファンタジー映画ということで 見る前からグ…

昔々、アナトリアで (2011)

「昔々、アナトリアで・・・と始まるお伽話みたいだ」 原題も「Bir Zamanlar Anadolu'da」(英題Once Upon a Time in Anatolia) 第64回カンヌグランプリ受賞のトルコ /ボスニア・ヘルツェゴヴィナ作品 トルコ人監督のヌリ・ビルゲ・ジェイラン曰く 「僕の作…