アカデミー賞受賞作品

ザ・フライ(1986)

原題は「The Fly」(ハエ) 言わずと知れたデヴィッド・クローネンバーグの代表作 原作はジョルジュ・ランジュランの「蝿」(La Mouche, 1957)で 1958年に映画化された「蝿男の恐怖」のリメイク 原作とオリジナル版があることは知りませんでした(笑) 物質…

イル・ポスティーノ(1994) 4Kデジタル・リマスター版

原題は「Il Postino」(郵便配達人) 原作はアントニオ・スカルメタが1985年に発表した小説 「アルディエンテ・パシエンシア」(燃える忍耐) 1971年にノーベル文学賞受賞した共産党員の詩人 パブロ・ネルーダ(1904-1973)が 祖国チリを追われナポリ湾にある…

今さら2025年アカデミー賞を考察してみた・・話

2025年3月2日ハリウッドのドルビー・シアターで授賞式が行われた 第97回アカデミー賞(2024年公開映画を対象) 作品賞ノミネート全10作品をやっと見終えることができました そこで「もし私が映画芸術科学アカデミーの会員だったら」 実際の受賞作と、自分が投…

アイム・スティル・ヒア(2024)

原題は「Ainda Estou Aqui」(私はまだここにいる) ブラジル軍事独裁政権中に行方不明になった人々とその家族のため また先住民族の人権(不当な暴力や土地を奪われている)のため行動し ブラジル連邦政府、世界銀行、国連の顧問を務めた弁護士 エウニセ・…

愛してるって言っておくね(2020)

原題は「If Anything Happens I Love You 」(何が起きても愛している) ほぼモノクロのアニメーション映画ですが そのなかでひときわ異彩を放っているのが 学校の入り口に掲げられた(カラーの)星条旗 それだけで、このわずか12分間の映画の意味しているこ…

Flow(2024)

Flowは猫の名前だと思ったのですが(笑) 原題は「Straume」(ラトビア語で(川や潮流などの)流れ) 私が動物好き、猫も飼っているせいかも知れませんが(笑) 素晴らしい映画でした 人間がいなくなったアポカリプス(キリスト教における黙示)の世界で 地…

ウィキッド ふたりの魔女(2024)

原題は「Wicked」 このてのミュージカルは大概私の好みではないのですが 意外と面白かったです(笑) 特にアリアナ・グランデちゃんがいい 「キューティ・ブロンド」のリース・ウィザースプーンを さらにお間抜けにした感じ(褒めています) 最後までシリア…

サブスタンス(2024)

原題は「The Substance」(物質) 「アノーラ」を見た時も思いましたが、こういう映画が ゴールデンラズベリーではない映画賞の最有力候補になるとは 時代は変わったものです 女優が「脱いでなんぼ」=「体当たりの演技」と評価されるのは 昔も今も同じです…

ロスト・イン・トランスレーション(2003)

原題の「Lost in Translation」とは 翻訳によって本来の意味(原文のニュアンスや文化的背景)が 失われる、ということ ソフィア・コッポラは20代前半で大学を中退した後 たびたび大好きな日本に訪れ 当時何をすべきかわからなかった彼女は 自分の将来を考え…

教皇選挙(2024)

「戦争は心の中でのみ行うべきものだ」 原題は「Conclave」 (鍵をかけた、という意) 原作はロバート・ハリスが2016年に発表した同名小説 監督はドイツ出身のエドワード・バーガー 「西部戦線異状なし」(2022) も素晴らしかったですが アカデミー賞では両作…

エミリア・ペレス(2024)

原題は「Emilia Pérez」 メキシコの麻薬王が、チャンスに恵まれない女性弁護士リタに 性別適合手術を受ける協力をしてもらい エミリアという名前の女性になり かってのカルテルの富と人脈を利用して 行方不明になったカルテルの犠牲者(パラ)を見つける 非営…

ザ・レディ・イン・オーケストラ:NYフィルを変えた風(2023)

「サポート役は音を響かせない」 原題は「The Only Girl in the Orchestra」(オーケストラで唯一の少女) オーケストラに参加した最初の女性で、コントラバス奏者の オリン・ブライエン(1935年生)が 55年間在籍したN.Y.フィルを2021年に87歳で退団するとこ…

ザ・ホエール(2022)

原題は「The Whale」(鯨)で ハーマン・メルヴィルの小説「白鯨」にちなんでいる 「ハムナプトラ」シリーズなどで人気だったブレンダン・フレイザーが 2003年ゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)の 元会長フィリップ・バー…

シベールの日曜日(1962)

ALWAYS四丁目 ギドラのお城 の ギドラ伯爵より 映画史に残る貴重な名作DVDをいただきました 「シベールの日曜日」「鏡」「ストーカー」の3本 中でも「シベールの日曜日」は日本語字幕付きソフトが廃版で配信もなく 今や特に見るのが難しい1本(フラ…

ANORA アノーラ(2024)

原題は「Anora」 R指定(日本では18歳未満入場禁止、米国では17歳未満は要保護者の同伴) にもかかわらず、2025年第97回アカデミー賞で 作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞編集賞の最多5冠を獲得 30年前ならば「脱いでなんぼ」のゴールデンラズベリー賞(褒…

ミザリー(1990)

原題は「Misery」 原作はスティーブン・キングが1987年に発表した同名小説 今見ると、ストーカーvs頭脳派という古典的な正統派サイコサスペンスで わかり易く手堅い作りで、特別驚くようなストーリーではありませんが 当時は女サイコというのがまだ珍しく キ…

エターナル・サンシャイン(2004)

「人に関心を示されるとすぐに恋をしてしまう」 原題の「Eternal Sunshine of the Spotless Mind」は アレクサンダー・ポープの詩「エロイーザからアベラールへ」(1717)からの引用 How happy is the blameless vestal's lot! 幸せは無垢な心に宿るThe worl…

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2024)

原題は「The Holdovers」(残留者たち) すでに副題とキャッチコピーでネタバレしていますが(笑) この映画を公開年のクリスマス・シーズンに上映しなかった 配給会社はバカだ ひさびさに劇場で「ミラマックス」のロゴを見ましたね(笑) アメリカン・ニュ…

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020)

原題は「Promising Young Woman」(将来有望な若い女性) これは、若いころやんちゃしていた男性が見たら 背筋が凍りつくような映画でしょうね(笑) なので殿方が読むには「取扱い注意」なレビューになっておりますので ご用心を(笑) 派手な銃撃戦や暴力…

関心領域(2024)

原題は「The Zone of Interest」 300万人のユダヤ人を虐殺した(現在ではおよそ100万人強というのが通説) アウシュビッツの所長で戦犯、ルドルフ・ヘスとその家族がモデル ここでの「関心領域」とはアウシュビッツを隔てている壁のこと そして壁1枚隔てたヘ…

バービー(2023)

「マーゴット・ロビーが言っても説得力ゼロ」(笑) (Margot Robbie is not the actress to get this point across.) 原題は「Barbie」 「バービー」の世界観を忠実に再現したと評価が高く ワーナー・ブラザースの長い歴史の中で最も稼いだということです…

オッペンハイマー(2023)

「物理学300年の成果が大量破壊兵器か?」 「ノーベルもダイナマイトを発明した」 原題は「Oppenheimer」 原作はピュリッツァー賞受賞の 「オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇」 (American Prometheus: The Triumph and Tragedy of J. R…

君たちはどう生きるか(2023)

第96回アカデミー賞長編アニメーション賞を獲得し 日本語字幕付き(英語吹替版)が公開されたので 今更ですが鑑賞してきました 受賞の結果を受けた鈴木敏夫プロデューサー氏によると 「旧約聖書のような物語ですので、もともと アメリカのお客様のほうが受け…

6才のボクが、大人になるまで。(2014)

「それで要点は?」 「要点なんかないよ」 原題は「Boyhood」(少年時代) まるでどこかの家庭のドキュメンタリーを見せられているようですが(笑) れっきとしたフィクション 12年もの間、毎年同じスタッフ同じキャストが集まり 脚本にミーティングで出た…

哀れなるものたち(2023)

原題は「Poor thing」(かわいそうなもの) 原作はスコットランドの小説家アラスター・グレイの1992年に発表した代表作で 自ら命を絶った妊婦に、胎児の脳を移植して生き返らせ 理想の女性に育てあげようとした天才外科医の物語 原作はもちろん未読ですが 映…

ノマドランド(2021)

「家」は心の中にある 原題は「Nomadland」 ノマドとは英語で「遊牧民」転じて放浪者のことで 原作はジェシカ・ブルーダーが2017年に発表した ノンフィクション「ノマド: 漂流する高齢労働者たち」 国際的にも高い評価を受けた映画で ひさびさに凄い才能を見…

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022)

「幸福だった だからこんなに悲しいんだ」 原題も「Guillermo del Toro's Pinocchio」 ピノ(Pino)とは松の木のこと 原作はイタリアのカルロ・コッローディの児童文学 「Storia di un burattino」(あやつり人形の物語) みんなが知ってる「ピノッキオ(ピノ…

モスクワは涙を信じない(1979)

「ずっと待っていた」「たった8日間じゃないか」「いえ、ずっと待っていたのよ」 原題も「МОСКВА СЛЕЗ АЛ НЕ ВЕРИТ」(モスクワは涙を信じない) 1985年、レーガン大統領がゴルバチョフ大統領と初めて会う前に 「ロシアの魂」を理解しようと、この作品を少な…

ニコライとアレクサンドラ(1971)

原題も「Nicholas and Alexandra」 (ロシア皇帝ニコライ2世と、皇后アレクサンドラ) ロマノフ王朝の滅亡を描いた歴史大作 どこまでが史実で、どこからが脚色かはわかりませんが 3時間超もあるわりには見やすく、わかりやすい フランクリン・J・シャフナー…

別離 (2011)

原題は「جدایی نادر از سیمین (英:Nader and Simin, A Separation)」(ネーダーとシミン、分離)ネーダーとシミンという夫婦の離婚問題と平行に介護や経済格差、宗教や女性差別という社会問題が描かれていきますそこに妊婦の転落事件にまつわるミステリーが加…