続・夕陽のガンマン 地獄の決斗(1967)4K復元版

原題は「Il buono, il brutto, il cattivo」(善玉、卑劣漢、悪玉)

邦題は「墓場の決斗」でよかったと思う

(夕陽が出てくるシーンもいっこもない 笑)

 

南北戦争の時代、墓地に隠された金貨を3人の男が奪いにいくという

至ってシンプルなストーリーですが

過去2作品に比べ予算も規模も大幅にアップ

1500人のエキストラに、60トンの爆薬を使用

伝説のクライマックス決闘シーンで使われた「サッドヒル墓地」も

映画のために作られたセットということ

3時間という長さにする必要はあったのかと思えば微妙ですが(笑)

それぞれのシーンは見ごたえあります

 

クリント・イーストウッドリー・ヴァン・クリーフ

イーライ・ウォラック演じるそれぞれの賞金稼ぎを

「善玉」「悪玉」「卑劣漢」と区別するニクイ演出ですが

イーストウッドとクリーフには、ほぼセリフさえありません(笑)

メインは泣いて笑って喧嘩して、ほぼウォラック

それがまたいい(笑)

冒頭、3人の賞金稼ぎが酒場に入るとひとりの男が店の窓を破って脱出

男の名前はテュコ(卑劣漢)

数々の悪事を積み重ねていて、2000ドルの賞金がかかっていました

 

次に黒い衣装に身を包んだ殺し屋が

荒野の一軒家にジャクソンという男を訪ねてきます

家の主人は殺し屋から家族を守るため

ジャクソンはビル・カーソンという名に変名していること

ジャクソンを探している依頼主の倍の金を払うから、依頼主を殺してくれと頼みます

殺し屋は構わないと金を受け取ると、主人とその息子を射殺

主人からの依頼通り雇い主も殺し

20万ドルを持ち逃げしたというビル・カーソンを探しに行きます

殺し屋の名前はエンジェル(悪玉)

金髪で長身のガンマンに捕まったテュコ

金髪の男は賞金を受け取り、テュコは縛首の縄を付けられますが

吊るされる寸前、金髪は狙撃で縄を切断

ふたりは2000ドルを山分けします

男の名前はブロンディ(善玉)

しかしブロンディはテュコの賞金が3000ドルを上回らないことに見限りをつけ

彼を町から100キロ以上離れた荒野に置き去りにします

荒野を脱出しものの、テュコの怒りは凄まじく

すぐさま銃砲店を目指します

 

この銃砲店の店主が、赤ら顔でまたいい顔をしているんですよね(笑)

テュコが選んだのはコルトM1851ネ−ビ−のコンバ−ジョンモデルという

部品が分解出来て、シリンダ−と銃身をそれぞれ選び組み立てるもの

その様子を見て得意げな表情を見せる店主

だけどテュコに銃は奪われ、売上金まで持っていかれます(笑)

そうしてブロンディを追うテュコ

その頃ブロンディは違う相棒を見つけ

同じく縛首の縄を切って賞金を稼いでいましたが

テュコに銃を突き付けられている間に相棒はお陀仏

ブロンディは水も帽子もないまま、灼熱の砂漠を歩かされます

一方、ビル・カーソンの愛人マリアを見つけたエンジェルは

ビル・カーソンが南軍に参加したことを聞き出し

さらに情報屋の負傷兵からビル・カーソンの所属する部隊と

彼が独眼だと教えられます

ついに火傷と脱水で倒れてしまうブロンディ

そこに暴走する荷馬車が現われ、テュコは馬を停めると

死んだ南軍兵士から貴重品を奪います

すると瀕死の独眼の兵士が「水をくれ」と

水をくれたら20万ドルの金貨のありかを教えるというのです

教えたら水を飲ませるというテュコ

男は「サッドヒル墓地」と答えますが、そこは5000以上墓標がある巨大な墓地

どの墓標に金が隠したのか聞き出そうにも男は今にも死にそう

慌てて水を取りに行き、戻った時に男は死に傍らにはブロンディの姿

墓標の名前はブロンディが聞いていました

テュコは「死ぬな、死ぬなよ」とブロンディを馬車に乗せ

南軍兵のふりをして(ビル・カーソンの軍服と身分証明書を盗む)

負傷兵を治療している教会に向かいます

僧侶のベッドを奪い、特別扱いでブロンディを療養させる

この教会のパブロ・ラミレス神父は、テュコの兄だったのです

兄は犯罪者になった弟に冷たい

しかも9年間実家に帰らず、その間に両親は死んでしまったと

だけどテュコは貧しい一家で、優秀な兄は神学校へ

残された自分は家族を養うため泥棒になったと兄を責めます

 

ブロンディが回復し、テュコが教会を後にしたとき

兄は弟を思って泣き

テュコは、いかに兄さんが歓迎しててくれて

もてなしてくれたかをブロンディに話します

何も言わず、微笑むだけのブロンディの粋さよ

 

が、埃にまみれた北軍の軍服を南軍と勘違い

北軍の捕虜となってしまったテュコとブロンディ

しかも収容所には軍曹になったエンジェルがいました

収容所の責任者ハーパー大尉(重度の壊疽で歩けない)は

捕虜の拷問を禁止していましたが

エンジェルはビル・カーソンを名乗るテュコを食事に誘うと

(音楽隊の演奏で大尉にバレないよう)部下のウォレス伍長に拷問させ

金の隠し場所が「サッドヒル墓地」で

墓標の名前を知っているのはブロンディだと聞き出します

そこでエンジェルはブロンディと組むことにし

テュコはウォレス伍長に手錠で繋がれ(裁判を受けるため)列車に乗せられます

そこでテュコはウォレス伍長ともども列車から飛び降り、ウォレス伍長は死に

手錠の鎖を線路に置き、次の列車で鎖を切ることに成功します

そこから北軍の砲撃された町に到着すると風呂を発見

あれもこれも石鹸を入れて(笑)バブルバスに浸かっている頃

 

エンジェルとブロンディも町に到着していて

テュコを見つけたエンジェルの部下が襲撃してきますが

テュコは風呂の中に隠していた銃で反撃します(かっこいい)

テュコが生きていることを確信した(銃声で誰が撃ったかわかる)ブロンディは

エンジェルのもとを去り、再びテュコとペアを組みます

しかし「サッドヒル墓地」に向かうには、北軍と南軍が激戦している

「ラングストーン橋」を渡らなければなりません

 

テュコとブロンディは北軍に志願兵だと嘘をつき

(常に酒を飲み酔っぱらってる)クリントン大尉から

「ラングストーン橋」を守れという命令のせいで、多くの人命を奪ってる

両軍が無駄な戦いをやめる解決策はこの橋を破壊すること

でもそうすると反逆罪になってしまうと教えられます

橋の向こう側に行きたいテュコとブロンディ

しかし橋を渡ったら南軍に殺されてしまう

そこでふたりは北軍からダイナマイトを盗み橋仕掛け

南軍が責めてきたときに爆破する計画を立てます

そして爆破や戦闘に巻き込まれてどちらかが死んだときに備えて

テュコは「サッドヒル墓地」という場所を

ブロンディは「アーチ・スタントン」という名前を告白します

 

橋の爆破は成功し、両軍は戦場を放棄

ふたりは(致命傷を負った)大尉に別れを告げますが

トゥコはブロンディを裏切り、南軍の馬を盗むとひとり墓地に急行

ついに「アーチ・スタントン」の墓を見つけ、素手で掘りはじめます

そこにスコップが投げ出され、振り向くと

「このほうが早い」と銃を構えるブロンディの姿

 

さらにもう一本スコップが投げ出され

「ふたりのほうがもっと早い」とエンジェル

しかし「アーチ・スタントン」の墓には遺骨しかなく

ブロンディは石を拾い、そこに本当の名前を書くと言います

決闘で勝ったものがその名前を知ることができる

 

三つ巴でにらみ合いのなか

ブロンディの銃口が火を吹き、墓穴の中に倒れるエンジェル

テュコのリボルバーからは弾丸を抜かれ

しかも石には何も書かれていない

ブロンディに踊らされていたことに気付くテュコ

金の在りかは(「アーチ・スタントン」の隣の)「名無し」の墓

だから石にも名前がないのさと

テュコの首に縄をかけると、墓標の上に立たせるブロンディ

半分の金貨を馬に乗せ立ち去ります

 

ついにテュコの首が吊られようとしたとき

遠くから銃弾でテュコの縄を切るブロンディ

墓場を走り回り「おまえは善玉じゃねえ」とブロンディ罵るテュコ

ごもっともでございます

あんたら全員悪玉だから(笑)

 

【解説】映画.COMより

名匠セルジオ・レオーネクリント・イーストウッドが「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」に続いてタッグを組み、3人の流れ者が大金を巡って繰り広げる熾烈な争奪戦を描いた大作マカロニ・ウェスタン
南北戦争末期のアメリカ西部。“善玉”ブロンディと“卑劣漢”テュコはコンビを組み、詐欺まがいの手口で賞金を荒稼ぎしていた。ある日、彼らは瀕死に陥った兵士から、巷で噂されていた20万ドルの金貨の隠し場所を聞く。ブロンディとテュコは互いを出し抜く機会を狙いながら大金の行方を追うが、そこへ以前からその大金を探していた“悪玉”エンジェルも加わり、三つどもえの戦いが幕を開ける。
ブロンディをイーストウッド、エンジェルを「夕陽のガンマン」のリー・バン・クリーフ、テュコを「荒野の七人」のイーライ・ウォラックがそれぞれ演じた。エンニオ・モリコーネによる音楽も印象を残した。

1967年製作/178分/イタリア・スペイン・西ドイツ合作
原題:I due magnifici straccioni
配給:アーク・フィルムズ