夕陽のガンマン(1965)4K復元版

原題は「Per qualche dollaro in piùもう数ドルのために

セルジオ・レオーネ監督作品の中で、本作が一番好き

というオールドファンも多いのではないでしょうか

顔のクローズアップを多用し、目で演技させる巧みな演出

イタリア映画の伝統を感じさせるネオレアリズモに

緻密に考えられたファッション

衣装デザインは舞台美術も兼ねているカルロ・シミ

レオーネは彼をよほど気に入ったのか

同じ衣装とセットを使いまわし(笑)

 エル・パソ銀行の支店長として出演させ

プロデューサーのアルベルト・グリマルディために設計した別荘は

レオーネの終の棲家となります

実質的な主人公は賞金稼ぎのモーティマー大佐を演じる

リー・ヴァン・クリーフ

冒頭からクールな立ち振る舞いに痺れます

遅れてやって来たクリント・イーストウッド

あだ名はモンコ(Manco)スペイン語で「片腕」

銃を撃つときと馬に乗るとき以外決して右腕を使わない

「荒野の用心棒」の続編を思わせるシークエンス

小僧に駄賃をねだられ、宿屋の女将は色目を使う

登場人物たちに直接的なセリフはあまりありません

雰囲気だけで魅せてくれます

帽子の撃ち合いで射撃の腕を見せつけあう

モーティマー大佐のほうが上をいくっていうのがまたいい(笑)

 

ふたりは賞金頭のインディオ(ジャン・マリア・ボロンテ)を捕えるため

協力することになります

刑務所を脱走したインディオは、ムショで同室だった元家具屋の男から

エルパソの隠し金庫の場所を聞いていて、襲撃に備えることにします

しかし自由の身になったにもかかわらず、インディオの目は虚ろ

手にはいつもオルゴール時計が握りしめられていました

モーティマー大佐は銀行襲撃の情報を聞き出すため

モンコにインディオ一味に潜入するよう命じ

モンコはインディオの親友をムショから脱出させると

インディオの仲間に入ることに成功します

インディオの計画は、まずエルパソとは別の銀行を襲い

保安官や自警団たちがそちらに向かった隙に

エルパソの銀行から金庫を盗もうというもので

4人の手下とともにモンコを別の銀行の襲撃に行かせます

途中で手下を倒したモンコは無線所のじいさんに

「銀行が襲われた」と嘘の無線を流させます

保安官たちが銀行に向かうと、インディオ一味はエルパソに向かいます

そこではモーティマー大佐が待機していました

 

しかしインディオのほうが一枚上手

入り口から入り銃を突きつけて金を奪う方法ではでなく

ダイナマイトで壁をぶっ壊し、隠し金庫ごと奪ったのでした

モーティマー大佐はモンコにリオグランデの北に一味を誘い込み

挟み撃ちにしようと持ちかけますが

モンコはインディオにモーティマー大佐と待ち合わせたのとは逆の方向を伝え

インディオは「ならば東だ」と砦に向かいます

 

そこで待っていたのはモーティマー大佐でした

裏の裏の裏をかく面白さ

モーティマー大佐は、ダイナマイトで吹っ飛ばしたら紙幣も灰になる

自分なら金庫を開けれるとインディオに持ち掛け、見事金を取り出します

インディオは分け前は後払いだとし

その夜宴が始まると、モンコは酔いつぶれたふりをして金を隠した小屋に行くと

そこにいたのはモーティマー大佐でした

モーティマー大佐はモンコに金を持って逃げるよう言いますが

インディオは最初からふたりが賞金稼ぎだと気付いていました

ふたりは一味に捕りリンチされます

しかしインディオの側近が銃を与えふたりを逃がします

インディオはふたりが部下たちと殺し合いになれば

分け前が増えると計算したのです

インディオの計画通りモンコとモーティマー大佐は部下たちを皆殺しにしますが

金はすでにモーティマー大佐が別の場所に隠していました

モーティマー大佐との決闘に挑むインディオ

銃を抜くのは時計のオルゴールが鳴りやんだ時

そして、なぜインディオが虚無感露わだったのか

オルゴール時計を大切に身に着けていたのかがわかります

 

インディオはかって夫のある女性に横恋慕していました

その女性を手に入れるため、夫を殺し屈辱しようとすると

女性はインディオの銃で自殺してしまったのです

その女性こそモーティマー大佐の妹でした

良家に育った軍隊の英雄が、賞金稼ぎになったのもインディオを殺すため

妹の復讐をするためだったのです

時計のメロディが鳴り止むと同時に、もうひとつの時計のメロディ

モーティマー大佐の時計を持ったモンコが現れます

クライマックスでも決して焦りは見せない

遠景を巧みに織り込んだ、ダイナミックで余裕の長回し

この脳裏に焼き付くようなワンシーンワンシーンを決して忘れない

役目を果たし去っていくモーティマー大佐

ひとり馬車の荷台に死体を担ぎ込むモンコ

勘定が足りないことに気付くと、死にきれてなかった奴がひとり

男を倒すと「これで計算があう」と馬車を走らせたのでした



 

【解説】映画.COMより

「荒野の用心棒」で世界中に“マカロニ・ウエスタン”ブームを巻き起こしたセルジオ・レオーネ監督と主演のクリント・イーストウッド、音楽のエンニオ・モリコーネが再結集し、2人の賞金稼ぎの共闘と友情をスタイリッシュに活写した西部劇アクション。
凶悪犯エル・インディオが刑務所から脱獄し、1万ドルの賞金が懸けられた。インディオ一味を追う若き賞金稼ぎ・モンコと商売敵のモーティマー大佐は、一味全員の賞金を山分けすることを条件に手を組むことに。2人は反発し合いながらも次第に絆を深め、インディオを追い詰めていくが、大佐にはある別の目的があった。
「真昼の決闘」のリー・バン・クリーフがモーティマー大佐を存在感たっぷりに演じた。同じくレオーネ監督とイーストウッドモリコーネがタッグを組んだ「荒野の用心棒」「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」とあわせて「ドル3部作」と呼ばれる。1966年製作/132分/イタリア・スペイン・西ドイツ合作
原題:Per qualche dollaro in meno
配給:アーク・フィルムズ