「裏切ったら殺す 裏切らなくても殺す」
原題は「Una Pistola per Ringo」(リンゴのための拳銃)
「続・荒野の1ドル銀貨」”Il ritorno di Ringo 1965”(リンゴの帰還)は
「荒野の1ドル銀貨」”Un dollaro bucato 1965”(ランドリー・ドル)
とは関係ない本作の正式な続編だそうです
1958年にデビューして、それまでエキストラや端役だった
ジュリアーノ・ジェンマを世界的に有名にした作品ということ
セルジオ・レオーネ(「荒野の用心棒1964」「夕陽のガンマン1965」)
が火付け役となったマカロニ・ウエスタン・ブームに
便乗したというところでしょうか
(日本では未公開、邦題もくっつけただけ 笑)
フェルナンド・サンチョのほうが、この作品で自身の悪役のスタイルを確立し
その後200以上の映画に主演したという
実はジェンマよりスゴい俳優(笑)
でも、おっさんばかりが主人公の西部劇界で
若くて可愛いくてアクションもできるジェンマ(元体操選手)が
人気を呼んだのは当然といえば当然かもな
日本ではスクーターまで発売されたんだから(笑)
クリスマス間近で浮かれるテキサスの町
メキシコ人の強盗団サンチョ(フェルナンド・サンチョ)一味は
銀行から10万ドルを強奪し、町外れにある農場主の屋敷に立てこもります
そこで保安官は留置場に入れられている早撃ちのガンマン
(人を殺しているが本人は正当防衛と主張)
エンジェル・フェイス(リンゴのあだ名 ジュリアーノ・ジェンマ)に
奪われた10万ドルを取り戻すためと人質を救うため
成功したら3割を報酬として渡すという条件で協力を依頼します
農場主の娘ルビーは保安官の婚約者だったのです
残虐なサンチョは農場の農民たちを人質にとり
毎日2人づつ殺すと宣言し実行していました
なのに農場主のクライドも娘のルビーにも深刻さはなく
クリスマスツリーの飾り付けをしたり(笑)
強盗団に高級な酒を振舞ったりします
しかも老紳士クライドは、サンチョの情婦ドロレスをレディとして扱い
その美貌を褒めて褒めて褒めまくる(イタリア男の鏡 笑)
それにはドロレスもまんざらじゃない
ふたりはだんだんと親しい間柄になっていきます
保安官事務所から脱走したと嘘をつき、農場に乗り込んだリンゴは
サンチョの傷の手当てをすることで信頼させ
騎兵隊がやってくることを教えます
そして銀行でせしめた10万ドルの4割を払うなら
メキシコに逃がすと持ちかけるのです
一方でリンゴはルビーだけは保安官に雇われたことを打ち明け
ルビーは一味から逃れられると希望を持ちますが
(父親とドロレスのイチャイチャも気に入らない)
リンゴはサンチョにも保安官に雇われていることを伝え
報酬として銀行から3割もらえることを打ち明けます
そこでサンチョはリンゴに4割払って一緒に逃亡することを承諾します
そのことを知ったルビーは、リンゴを裏切り者のユダだと
激しく非難するのでした
そのわりには知略や策謀があるわけでなく、行き当たりばったり
(退路を確保しないで強盗する一味も間抜けだがな 笑)
クリスマスの夜で警備が薄くなっている
(保安官らが監視している)風車小屋を襲撃するため
サンチョの部下たちと小屋に向かうと
リンゴは後ろから発砲しサンチョの部下たちを殺し
逃げ道を奪うため谷に爆薬を設置
ベンと打ち合わせした後、農場に戻ります
すると以前からルビーを気に入っていたペドロが
ルビーを襲おうとしていました
リンゴはルビーを救おうとペドロは殴り合いになり
ナイフでペドロを倒すと、サンチョには正当防衛だったと主張します
(風車小屋の部下たちは背中から撃ったがな)
が、サンチョもリンゴのことを
頭から信頼していたわけではありませんでした
風車小屋からリンゴに(保安官から)送られた鏡の光の合図を見た瞬間
サンチョの部下にリンゴは縛り付けられ殴られます
サンチョは部下たちに、リンゴに教えたのとは
違う合図を送るように指示していたのです
しかしリンゴは、更に金を要求し(笑)
もうひとつ逃げ出す方法があるといいます
それは人質を乗せた馬車に隠れて脱出するというものでした
翌朝リンゴが馬車の準備をしていると
ドロレスはクライドと農園に残ると言います
しかしドロレスの裏切りをサンチョは許さず殺してしまいます
そのときリンゴの仕掛けた爆弾が爆発し馬車が暴走、谷も爆発
屋敷に残った一味とリンゴは撃ち合いになり
次々と倒れていくサンチョの部下たち
そして最後にひとり、物陰に隠れたサンチョを(鐘の反射を使って)倒す
保安官と騎兵隊が屋敷に到着すると、すでにリンゴの姿はなく
残された鞄からはきっちり3割の現金が抜かれていました
辻褄なんてどうでもよく、だだ誰も彼も殺してしまえなんですが(笑)
真夏の夜にビール片手に見るのには
濃い濃いマカロニはぴったりかもね
(それも寂しい女だなとは言わないで 笑)
【解説】KINENOTEより
当時はモンゴメリー・ウッドという役者名であったジュリアーノ・ジェンマを、一躍スターダムへと押し上げた記念すべきマカロニウエスタンの傑作。銀行を襲った山賊・サンチョが農場に立てこもり、早撃ちの流れ者・リンゴが派遣されるが…。【スタッフ&キャスト】監督・脚本:ドゥチオ・テッサリ 撮影:フランチェスコ・マリン 編集:リチア・クアーリャ 音楽:エンニオ・モリコーネ 出演:モンゴメリー・ウッド(ジュリアーノ・ジェンマ)/フェルナンド・サンチョ/ジョージ・マーティン/アントニオ・カサス