9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019)

原題は「Les traducteurs」(翻訳家たち)

原作はダン・ブラウン小説ロバート・ラングドンシリーズ4作目

 

フランスの大ベストセラー作家、オスカル・ブラックの

「デュダリス」の最新作を翻訳するため

イギリス、ドイツ、ロシア、ポルトガルデンマーク、中国

スペイン、ギリシャ、イタリアから呼ばれた9人の翻訳家

彼らは原稿の内容が外部に漏れないように

シークレットサービス並の警備つきの地下のバンカー(掩体壕)に監禁されます

敵の攻撃から守るために、コンクリートなどで造られた横穴状の施設のこと

ところが3週間後のクリスマスの日

小説の最初の10ページがにインターネット上で公開され

小説の残りの部分を明かされたくなかったら巨額の身代金を払うよう

出版社の社長エリックのもとに謎のハッカーから脅迫が届きます

犯人は9人の翻訳家の中にいると疑うエリック

しかし外部から一切遮断されたバンカーから

いったいどうやって原稿を持ち出した?

その謎を探るため、エリックの翻訳家たちに対する態度は

異常なものになっていき、ついにはデンマーク人の女性翻訳家が自殺

「デュダリス」のヒロインが憑依したロシア人翻訳家

カテリーナが撃たれてしまいます

そこからイギリス人翻訳家アレックスによって

原稿を盗んだ(かなり無理のある 笑)経緯が解き明かされていくのですが

そのときすでにエリックは刑務所にいて

(いいように使われていることに気付いた秘書のローズマリーに裏切られる)

アレックスは面会人というかたちでした

なぜアレックスは逮捕されたエリックに

ドイツ・中国・ポルトガル人翻訳家たちとともに

バンカーに監禁される前、原稿を盗んだことを

わざわざ打ち明けなければいけなかったのか

 

アレックスの全ての行動の理由はただひとつ

「デュダリス」の作者「オスカル・ブラックに会わせろ」

まあ、普通に面白かったものの

ここまで大袈裟にする必要があったのかなと思いましたね(笑)

原稿をタイプライターで打っていた時代でもあるまいし

今なら当然パソコンに保存されてるでしょうし(笑)

たとえ紙だとしても、作者ならわざわざ盗まなくても

その前にコピーできたでしょう

エリックがそんな大事な原稿をいくら時間短縮だからといって

電車で持ち運ぶのも不自然だし

しかも不用心に足元に置いて新聞を読みふけるのもおかしな話

ベストセラー本というのも、ジェフ・ベゾスでもあるまいし

出版社ってそんなに儲かるものなんでしょうかね

核シェルター並みの豪華バンカーを用意するよりも

ネットも繋がらない、孤島か山奥に隔離したほうが

まだ説得力があったような気がします

バカンスに来ていた本好きのアレックスという少年が

古本屋の主人ジョルジュと親しくなり

やがて成長したアレックスが自作の小説「デュダリス」をジョルジュに見せると

ジョルジュはあまりの面白さに、出版社に知り合いがいるから

書籍化することを勧めます

アレックスは、お金のために小説を書いているわけじゃない

でも自分ではなく、ジョルジュが書いた作品ということにするなら

出版してもかまわないと言います

ならば「オスカル・ブラック」というペンネームを使おう

ジョルジュは著者を明かさないという条件で

アングストローム社のエリックに原稿を渡します

第1作、第2作とも大ベストセラーになり

第3作が完成したというジョルジュのもとにエリックが訪れ

版権を獲得しようとしますが

ジョルジュはエリックのあまりにも金儲け主義に嫌気がさし

「デュダリス」第3作の版権をアングストローム社ではなく

他の出版社に売ることを匂わせます

エリックは背中を向けたジョルジュを階段から突き落とし

転落死に見せかけ原稿を盗みます

オスカル・ブラックがジョルジュだとは自分しか知らない

ジョルジュは事故死ではなく、エリックに殺された

そう確信したアレックスは「デュダリス」の英訳をネットで公開

アングストローム社が雇った翻訳家の翻訳より面白いと話題になり

エリックから翻訳家のひとりとして選ばれます

アレックスが仕事を引き受けた条件はただひとつ

「オスカル・ブラックに会わせろ」

そしてついに「デュダリス」の作者は自分であることを

アレックスに告白するエリック

しかしエリックは「オスカル・ブラック」

つまりジョルジュは死んでもういないことを白状してしまいます

エリックの自白を隠しマイクで聞く警察官たち

さらにアレックスは、エリックが脅迫され振り込んだ

8000万ユーロをエリックの口座にそのまま戻し

エリックが犯人を仕立て上げるための自作自演に見せかけます

つまりエリックは金を一銭も奪われておらず

アレックスや共犯者を訴える根拠さえ失われてしまいます

全ては殺されたジョルジュの死を報いるため

アレックスがエリックに仕掛けた復讐だったのです

誰もが私利私欲の塊で、誰一人にも共感できず(笑)

死んだと思っていたカテリーナが生きていたことだけは救いでした

 

 

【解説】映画.COMより

世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」をはじめとするダン・ブラウンの小説「ロバート・ラングドン」シリーズの出版秘話をもとにしたミステリー映画。シリーズ4作目「インフェルノ」出版時、違法流出防止のため各国の翻訳家たちを秘密の地下室に隔離して翻訳を行ったという前代未聞のエピソードを題材に描く。フランスの人里離れた村にある洋館。全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時発売に向けて、9人の翻訳家が集められた。翻訳家たちは外部との接触を一切禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿を翻訳していく。しかしある夜、出版社社長のもとに「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば全ページを流出させる」という脅迫メールが届く。社長役に「神々と男たち」のランベール・ウィルソン、翻訳家役に「007 慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコ、「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のアレックス・ロウザー。「タイピスト!」のレジス・ロワンサルが監督・脚本を手がけた。

2019年製作/105分/G/フランス・ベルギー合作
原題または英題:Les traducteurs