ビッグ・ガン(1973)

原題は「Tony Arzenta」(トニー・アルゼンタ)

英題の「big gun」(大砲)はアメリカのスラングで「大物」や「幹部」のこと

 

マフィアに妻子を殺された男の復讐ものですが

ポンチョがスーツ、馬が乗用車

ジュリアーノ・ジェンマアラン・ドロンになっただけ

中身は完全にマカロニウエスタン(笑)

なので殺しかたも、暴力シーンもえげつない

なので「ゴット・ファザー」と比べてもいけない(笑)

見どころのカーチェイスは2度ほどあり、派手とはいえないけれど

見るからに安全性の少ない小型の乗用車で(笑)

追突したり横転しただけで、本当にペシャンコ

命がけのスタントだったことがわかります

衣装はいい、さすがミラノ

ストレートパンツの高級スーツ

メタルボタンのブレザー
ニットのレイヤードに、襟大き目のトレンチコート

黒のコートにペールブルーのVネック

ファッションモデルのようなドロンさまを堪能できます

息子カルロの7歳の誕生日

凄腕の殺し屋トニー・アルゼンタは仕事を終えた後

ミラノに本部を置くマフィアグループのボス、ニックに

息子のため足を洗いたいと伝えます

ニックと、ミラノの幹部クチッタは

同じシチリア出身のトニーを可愛がっていましたが

ほかの幹部たちの答えはトニーは組織のことを知り過ぎている

始末するべきだ、というものでした

次の朝、カルロを学校に送ろうとした妻アンナの車が故障

カルロがトニーの車のキーを借りにくると

トニーはベッドから起き上がり、窓からカルロとアンナを見送ります

次の瞬間、車が爆発

トニーは愛する妻と息子を目の前で殺されてしまったのです

「自分で仇を討とうなんて思ってはいかんよ」と

神父のドン・マリアノが声をかけますが

アンナとカルロの葬儀の後、マシンガンで襲われたトニーは

ふたりの墓の前で復讐を誓うのでした

ひとりめはパリの幹部カーレ

手引きしたのはカーレの情婦サンドラでした

サンドラはカーレからDVを受けていて

悔しさから昔助けてくれたトニーに情報を与えます

ミラノに戻ったトニーは弟分のドメニコが見つけてくれた

ホテルに身を隠すと、サンドラが組織から逃げてきました

サンドラは幹部たちがコペンハーゲンのグルンワルドの元に

集まる事を教えます

グルンワルドがビルから出てきて、迎えのベントレーに乗り込もうとした瞬間

トニーはグルンワルドを撃ち殺しますが、左腕を負傷

同郷で親友のデンニーノを頼り、傷の手当てをしてもらいます

その頃ミラノでは、ドメニコがクチッタの部下に誘拐されスクラップ場で拷問

ドメニコはトニーのホテル白状させられたうえ、車ごと惨殺されます

クチッタの部下はホテルに向かいサンドラを痛めつけ

トニーの帰りを待つことにしました

ミラノに戻ったトニーはサンドラに電話をかけますが

サンドラのすすり泣くような声に全てを察します

クチッタの屋敷に忍び込み、彼を射殺

さらにホテルに戻り部下たちも殺す

なぜこんなにも上手くいくかというと

トニーのバックでは警察が勝手に動いているんですね

トニーを使ってマフィアのゴミを一掃しようと目論んでいるのです

ホテルを出たトニーはサンドラを連れ

休息のためシチリアの実家に向かいました

「命懸けで俺を守ってくれた たとえ肉親でも君には勝てない」

言葉でもハートを撃ち抜かれてしまうわ(笑)

クチッタの葬式の日、ニックは片腕のイズネロの勧めで

神父ドン・マリアノに相談をもちかけ

さらにトニーの親友デンニーノを呼び寄せ

仲間に、クチッタの後釜にならないかと誘います

トニーのもとにやって来た神父ドン・マリアノは

ニックが和解をもちかけていることと

娘の結婚式に招待していることを伝えました

警戒するトニーに「まさか娘の結婚式で殺しはしないだろう」と

サンドラは行かないほうがいいと訴えますが

トニーは母親とサンドラを連れ式に行くことにしました

親族と同じ最前列に案内されるトニー

ニックは知っているのです

トニーの優しさが

身内に対する甘さが彼の弱点であることを

家路につくため、参列の人々と別れたトニー

そこにデンニーノが車で現れ、トニーが笑顔を見せ駆け寄ると

デンニーノの手には拳銃が握られていたのです

 

さすが、世界イチの美男子にして、世界イチ「犬死」が似合う男(笑)

決して裏切らないラストでございました





【解説】映画.COMより

暗黒街から足を洗おうとした矢先、愛する妻子を殺された殺し屋の復讐を描く。監督は「続荒野の1ドル銀貨」のドゥッチョ・テッサリ、脚本はウーゴ・リベラトーレ、フランコ・ヴェルッチ、ロベルト・ガンドゥス、撮影はシルヴァーノ・イッポリティ、音楽はジャンニ・フェリオが各々担当。出演はアラン・ドロンリチャード・コンテ、カルラ・グラヴィーナ、ニコレッタ・マキャヴェッリ、マルク・ポレル、ロジェ・アナン、リノ・トロイージ、アントン・ディフリング、ウンベルト・オルシーニ、グイド・アルベルティなど。

1973年製作/イタリア
原題:Big Guns
配給:東和