陽炎(かげろう)(1991)

私が日本映画の魅力に気付いたのは

NHK BSプレミアムで2011年~2013年まで放送 された

山田洋次監督が選んだ日本の名作100本」がきっかけ

それまではアニメ以外は、ほとんど外国映画しか見ていませんでした

なので、今ではソフトバンクのCMのイメージが強い

樋口可南子さんがどういう女優かも知らなかったのですが(笑)

大胆な濡れ場シーンや

写真集では日本でヘアヌードを解禁させるきっかけとなった人なんですね

夫である糸井重里氏との(当時22歳で糸井が32歳)不倫が発覚したときには

記者会見で「好きになった男性に、たまたま家庭があっただけ」

という名言を残したということ

それくらい意志の強い、強情な女だと思えば

この映画のヒロインはピッタリだったかもですね

鋭い眼差しにドキッとさせられます

ただ私的には、かたせ梨乃さんと配役が逆だったほうが

もっとしっくりしたような気がします(笑)

昭和3年、背中に菩薩の刺青ある手本引きの女胴師

「城島りん」こと通称「不知火おりん」

手本引き(花会)とは親が1から6までの札の中から1枚を選び

子は親が選んだ札より、勝ちの札を推理して勝負挑むというもの

難波政組の組長に会うため大阪のに向かったおりん(樋口可南子)は

大阪駅で偶然、熊本の料亭“八雲”で若旦那をしているはずの

義弟の市太郎(本木雅弘)に会います

市太郎は両親が亡くなったあと、賭博で負けた借金がわりに

大滝岩蔵(白竜)が率いる岩船一家に乗っ取られ

金策のため博打打ちになったもののさらに負け、借金取りに追われていました

「姉ちゃんと一緒に旅をさせてくれ」と頼む市太郎

おりんの父親の弥吉(高橋長英)は手本引きのイカサマ師でした

偽造していた札がばれ、逃げた弥吉を斬ったのが鬼の刺青の男

父親を殺した犯人は誰かと警官(緒形拳光石研)に問い詰められていたとき

通りかかった料亭「八雲」を営む小杉そう兵衛北村和夫)が

そんな小さな子に尋問は可哀そうだと

落ち着くまでウチで預かりましょうと申し出ます

妻のよし(岩下志麻 )との間に子のなかった小杉は

おりんを養子にすることにします

弟の市太郎が産まれても両親からの愛情が変わることはありませんでした

しかし市太郎が学校に通うようになると、級友から

オマエの姉ちゃんはみなしごだ、ヤクザの子だと虐めらるようになります

弟を思い、家出をしたおりん

両親が亡くなったあと、「八雲」と弟がこんな事態になっていようとは

政組の組長、大野政吉に(岡田英次)に詫びを入れると

市太郎とともに故郷の熊本に帰ると

(女郎屋になった)八雲に挨拶に向かいます

女将の千代春(かたせ梨乃)に追い払われるものの

今は女衒をしている、かっての八雲の従業員安五郎(竹中直人)のおかげで

両親の仏前に線香を上げることができました

おりんは安五郎に市太郎を匿ってもらいます

岩船一家が仕切る花会に、参加を申し出た難波政組は

胴師としておりんを指名します

花会に向けて札を切る(イカサマの)修業をするおりん(男の手なんですけど 笑)

岩船一家の胴師は村井常次郎(仲代達矢

おりんの前に姿を表した常次郎は背中の刺青を見せ

自分がおりんの父親を殺したことを明かします

市太郎は(夏の暑さもあり)安五郎が用意した隠れ家にじっとしていられず

八雲で芸者をしている恋人の小よし(荻野目慶子)とも会いたい

市太郎を案じた安五郎は、おりんとの約束を破り

市太郎のもとに小よしを案内してしまいます

そのせいで大滝に市太郎の居場所を知られてしまいます

愛し合う市太郎と小よしのところに刺客がやって来て

ふたりを助けようとした安五郎が殺されてしまいます

小よしは捕まり八雲に連れ戻され

逃げた市太郎は、雲井夢乃丞一座の番頭、武州高品格)に助けてもらいます

花会の日、常次郎におりんは負け続けてしまいます

中休みにお祭りの屋台を見て歩くおりんに

常次郎はもっと力を抜くようにアドバイスします

最後の勝負、政吉親分は金庫にあるお金を全部持ってこさせ大勝負をかけます

見事おりんは逆転勝利し、八雲の権利書を取り戻しますが

大滝は政吉の目的は花会でなく、勝った大金で炭鉱の権利を買うことだと疑り

常次郎がわざと負けたと思い込みます

常次郎の付き人竜吉(川谷拓三)を脅し居場所を聞き出し

おりんを殺すよう命じるのでした

実父の墓参りをしていたおりんのところに武州がやってきて

「いい博打を打ってくれた」と感謝します

そこに竜吉が「死んどうせや!」とやってきますが

あっさり武州に撃ち殺されてしまいます

八雲を手放したくない女将の千代春は

市太郎と小よしをおびき出し、心中に見せ掛けて殺害

変わり果てた市太郎の姿を見て嘆くおりんのところに常次郎がやって来て

大滝が八雲に立て籠もっていると「花火」(ダイナマイト)のありかを教えます

おりんは「あのとき一緒に旅に出ていれば」と悔やみ八雲の権利書の燃やすと

武州から貰った銃と調達したダイナマイトを持ち

市太郎の仇を打つため八雲に殴り込みにいくのでした

八雲を爆破すると百発百中で(笑)大滝の手下を撃ち殺していく

弾がなくなると、そこにジャストタイミングで常次郎が現れ

「オレあ初めて女に惚れた」

「惚れた女の手にかかってロク(まとも)になると決めたんだ」

おりんを助っ人します

おりんを撃とうとした千代春が、誤って銃を暴発させ大滝の足を撃ち(笑)

風呂場に逃げ込んだ大滝(なぜか半裸になっている 笑)を追いかけるおりん

おりんを迎え撃つ大滝を駆け付けた常次郎が斬り

いちどは風呂に沈んだ大滝が再び起き上がり

(白竜がべべちゃん賞主演男優賞 笑)

「市太郎の仇」とおりんに斬られる

そうして重傷を負った常次郎は、おりんの腕の中で死んでいったのでした

 

 

【解説】映画.COMより

昭和初期の熊本を舞台に、愛憎がうずまく料亭を巡って一人の女胴師の活躍を描く任侠アクション。脚本は「極道の妻たち 最後の戦い」の高田宏治が執筆。監督は「226」の五社英雄。撮影は「利休」の森田富士郎がそれぞれ担当。

1991年製作/日本