不思議の国の数学者(2023)

「数学が得意になるため大事なものはなんだと思う?」

「頭の良いやつはすぐ諦める」

「次に脱落するのは努力ばかりするやつ」

「勇気 、難しい問題に当たったときに明日また解いてみようと思える余裕」

「それが数学的勇気だ」

原題は「이상한 나라의 수학자」(奇妙な国の数学者)で

脱北した天才数学者と、落ちこぼれ高校生の出会いと再生の物語

韓国の抱える、学歴社会による経済的格差や

南北問題における脱北者への差別への批判などのメッセージ性は強いものの

意外とよくできたヒューマンドラマでした

学歴よりも学ぶこと(正解より答えを導く過程)の大切さ

数学を人生や、音楽の美しさという関係性で例えているのでわかりやすい

演奏されたのは平均律を発明したというバッハの無伴奏チェロ組曲

立命館守山中高で数学を教えていた長谷川幹さんが(現シニア海外協力隊

円周率を音に割り当てたπ(パイ)ソング

そして上位1%の天才が集まるという超名門ドンフン校に勤める

不愛想な用務員ハクソンを演じた、チェ・ミンシクおぢのギャップ萌え(笑)

あだ名は「人民軍」

好きな飲み物はイチゴ牛乳

ラジカセでクラシックを聴いている(スマホの音の良さに驚く)

女子高生のポラムには甘い(笑)

(でもこのヒロインの人格にはイラッとする 笑)

その彼が、母子家庭のため生活困難家庭支援の奨学金特別枠で入学したものの

おちこぼれで退学寸前

しかもクラスメイトを庇ったため寮まで追い出されたハン・ジウに

数学を教えるというもの

おかげでハン・ジウは数学の難問を理解できるようになり

(凡人が数学の難問が解けるようになるという難問 笑)

テストでも高得点を取るようになりますが

胡散臭い数学教師(韓国ドラマの悪の象徴キャラ)がそれを許さない

試験の問題が外部に流出したことを

(PC室から論文をプリントアウトして持ち出した)

ハン・ジウが盗んだことにし、自首退学をします

時を同じくしてハクソンが「リーマン予想」 を証明したことがわかり

北は南に拉致されたと、南はいいや脱北したのだと

それぞれの国の組織が動き出します

ハクソンはひとり息子と(イチゴ牛乳は死んだ息子の好物だった)

学問の自由を求めて北朝鮮から亡命した天才数学者だったのです

北に戻れば「リーマン予想」は武器製造に利用されるし

南では脱北者支援会?のギチョルから監視される日々

どこかに消えようと思ったハクソンでしたが

ハン・ジウが退学になることを知り

彼が向かったのはドンフン校の講堂で行われていた

ピタゴラス・アワード」の表彰式でした

そこでハクソンは正しいとされるものに盲目的に従うことの危険性と

ハン・ジウの無実を「証明」するのです

監督は「グッド・ウィル・ハンティング」がお気に入り映画らしいですが

ラストはアル・パチーノの「セント・オブ・ウーマン」入っていましたね

ピタゴラス・アワード」の結果はどうなった?ですが(笑)

まあ、王道ストーリーなので気持ちはいいのです

ハクソンのスピーチを聞いたギチョルは彼に南のパスポートを渡します

パスポートって自由の証のひとつなんですね

数年後、大学で数学を学んでいたハン・ジウは

数学の聖地オーバーヴォルファッハ数学研究所(ドイツ)に滞在している

ハクソンに会いに行きます

 

ラストはENDでなく、QED(キューイーディー)というのも洒落ている

ラテン語「quod erat demonstrandum」の頭文字「証明終わり」の意)



 

【解説】映画.COMより

オールド・ボーイ」「新しき世界」のチェ・ミンシクが主演を務め、脱北した天才数学者と挫折寸前の男子学生の心の交流を描いた人間ドラマ。
学問と思想の自由を求めて脱北した天才数学者ハクソンは自分の正体を隠したまま、名門私立高校の夜間警備員として働いていた。無愛想なハクソンは学生たちから避けられていたが、ある日、数学が苦手なジウから数学を教えてほしいと頼まれる。正解だけが全ての世の中に疑問を感じていたジウに問題を解く過程の大切さを教える中で、ハクソンの人生に思わぬ転機が訪れる。
ジウ役には若手俳優キム・ドンフィを抜てきし、「SEOBOK ソボク」のパク・ビョンウン、「毒戦 BELIEVER」のパク・ヘジュンが共演。

2022年製作/117分/G/韓国
原題または英題:In Our Prime
配給:クロックワークス