「彼女が俺に本気だったのかもと、今も心が乱れるからだろ」
原題の「Challengers」(挑戦者たち)は
ATPチャレンジャーツアー(国際男子プロテニストーナメント)と
掛けているんですね
ATPチャレンジャーツアーで好成績を残すと
または予選ドローへの参加資格を得るランキングポイントを獲得できるため
キャリアを向上させたい若いプレーヤーや
ATPツアーの資格を逃した
または復帰したいと考えている元ATPプレーヤーたちが参加します
もうひとつのチャレンジだなと思ったのは斬新なカメラワーク
主演3人の人個性を生かし魅力的に映し出すことはもちろん
本物のテニスのラリーのように、あっちを向いたりこっちを見たり
ワンカットで方向を変えるカメラ
地面下からのショットや 、選手目線になってみたり
挙句の果てにはボール目線(笑)
同じくルカ・グァダニーノの「君の名前で僕を呼んで」や
「サスペリア」でタッグを組んだ
カメラのサヨムプー・ムックディプローム(タイ人)は
「ブンミおじさんの森」(2010)の人でしたか(笑)
グァダニーノがアート的に成功した作品は彼のおかげねと、妙に納得
2019年
アート・ドナルドソン(マイク・ファイスト)と
彼のコーチであるタシ・ダンカン(ゼンデイヤ)は
幼い娘を持つ裕福なカップルですが
怪我と年齢のせいで苦戦していました
タシはそんなアートの自信と調子を取り戻すため
ニューヨークのニューロシェルで開催されるチャレンジャーツアーに
ワイルドカード(特別出場枠)でエントリーします
そこでアートの対戦相手となったのが
車中泊をしながら、下位サーキットの賞金でなんとか暮らしている
パトリック・ツヴァイク(ジョシュ・オコナー)でした
そこから3人の出会いから、13年間の物語がはじまります
2006年
全米オープンの男子ジュニアダブルスで優勝した
パトリックとアートは、同じく18歳で新進気鋭のスター選手
タシの試合を見て彼女に夢中になります
彼女を自分たちが泊まっているホテルの部屋に誘います
そこで3人でキスをし
タシは翌日の決勝戦で優勝した方に電話番号を教える約束をします
試合に勝ったパトリックは、アートからタシとヤッたかと尋ねられ
アートの癖(サーブの時ラケットのネックにボールを当る)を真似ることで
彼女と寝たことを知らせるのでした
翌年、パトリックはプロになり
タシとアートはスタンフォード大学に進学
遠距離恋愛中のパトリックがタシの試合を観戦するため会いに来たとき
テニスのコーチをめぐってパトリックとタシが大喧嘩してしまい
(グレーのTシャツのロゴは「I TOLD YA」”だから言ったでしょ”)
パトリックは彼女の試合を欠席
タシは前十字靭帯を断裂し、 アートはタシのリハビリを手助けしようとしますが
タシのテニスプレーヤーとしての生命は奪われてしまいます
2009年、タシはプロになったアートのコーチ兼恋人になり
2011年、タシとアートは婚約、アートはスター選手になります
しかしパトリックとアトランタオープンで偶然再会したタシは
再び(一夜限りの?)関係を持ってしまいます
アートはふたりでどこかに消えたことに気づいていました
そして2019年、ファイナルマッチの前夜
アートはタシに優勝してもしなくても引退すると告げます
アートの決断を受け入れたタシでしたが
タシはアートが寝たあと密かにパトリックを呼び
パトリックに「負けて欲しい」と頼みます
ふたりは激しい口論になりますが、口喧嘩はやがて熱いキスに(笑)
結局彼の車の中でセックスをしてしまいます
決勝戦のマッチポイント
パトリックはラケットのネックにボールを当て
アートにタシと寝たことを知らせるのです
試合はタイブレークに持ち込まれ
激しくグラウンドストロークを交わすふたり
やがてアートがボレーを打とうとジャンプすると
ネット越しにパトリックと衝突、2人はきつく抱き合います
これはふたりの男がひとりの女を奪い合う物語ではなく
ひとりの女がふたりの男を愛し
ふたりの男がひとりの女を共有する
つまりパトリックとアートの恋愛物語なんですね
(殺人のない)「太陽がいっぱい」のルカ・グァダニーノ版(笑)
3人で成り立つ恋愛もある
思わず席を立ったタシは、パトリックとアートに声援をおくったのでした
【解説】映画.COMより
「君の名前で僕を呼んで」「ボーンズ アンド オール」のルカ・グァダニーノ監督が「DUNE デューン 砂の惑星」「スパイダーマン」シリーズのゼンデイヤを主演に迎え、2人の男を同時に愛するテニス界の元スター選手と、彼女の虜になった親友同士のテニス選手の10年以上にわたる愛の物語を描いたラブストーリー。
テニス選手のタシ・ダンカンは確かな実力と華やかな容姿でトッププレイヤーとして活躍していたが、試合中の怪我により選手生命を絶たれてしまう。選手としての未来を突然失ってしまったタシは、自分に好意を寄せる親友同士の若き男子テニス選手、パトリックとアートを同時に愛することに新たな生きがいを見いだしていく。そして、その“愛”は、彼女にとって新たな“ゲーム”の始まりだった。
「ゴッズ・オウン・カントリー」のジョシュ・オコナーがパトリック、「ウエスト・サイド・ストーリー」のマイク・ファイストがアートを演じた。
2024年製作/131分/PG12/アメリカ
原題または英題:Challengers
配給:ワーナー・ブラザース映画