ボーンズ アンド オール(2022)

原題も「Bones and All」(骨とすべて)

最初から「カニバリズム」(食人、食人俗、人肉嗜食) の

若者の恋愛映画であるという映画広告のネタばらし()

 

マイノリティの恋愛ロードムービと思って見るのには

耐久が必要ですし(笑)

目玉グリグリ、腹を切り開いて内臓ピクピクの

本格的なマカロニ・ホラーを期待すると肩透かし

 

ただしスプラッタ―であることに間違いないので

ストーリー性を深く考えてはいけません(笑)

LGBT的な要素も出てきますが重要ではありません

あくまでメインは人肉を食らうこと

1988年、バージニア州

高校生のマレンは、お泊り会でクラスメートの女の子の指を食いちぎり

父親は「またやったのか」とメリーランドに逃げます

 

そこでマレンが18歳の誕生日を迎えると

父親は現金と出生証明書とカセットテープを残し消えました

テープには彼女が3歳でベビーシッターを

7歳のとき行かせたキャンプで男の子を殺したエピソードが

録音されていました

マレンは出生証明書を頼りに

母親を探すためミネソタいくことにします

 

途中コロンバスのバス停で出会ったサリーから

「イーター」(同じ族)はほかにもいると教えられ

衝動的にサリーが用意した死にそうな老婆を食べてしまいますが

勝利品だという三つ編みで作ったロープを見せられ

怖くなり逃げ出してしまいます

次にインディアナの店で男から嫌がらせを受けている女性客を助けた

リーという青年と出会い

彼も「イーター」であることを知り、男の車で(男は餌にされた)

一緒に旅をすることにしました

カニバリズム」は臭いでわかる

ヴァンパイアのように人血が無ければ生きていけないわけでなく

普段の食事は普通の人間と同じ

数年人肉を食べなくても平気だったり

逆に短いスパンで衝動的に欲求を押さえきれなくなる時がある

夫婦は夫、または妻は食べない

親から子へ遺伝する場合が多いが、わが子は食べようとします

 

野生の動物のように喰いついて食べる

全身血だらけになるにもかかわらず

目撃者は誰ひとり現れないし、ニュースにもならない

警察に捕まることもありません

本作でもティモシー・シャラメ君は絵になるし

彼を見るだけで幸せという腐女子も多いでしょうが(笑)

何といっても凄いのがマーク・ライランス

怖い、怖い、怖い

出てきた瞬間妖しいオーラが画面にいっぱい

 

そして男性同士のペアのひとり、マイケル・スタールバーグ

怖い、怖い、怖い

いつ殺されるかわからない雰囲気プンプン

でもこのふたり、同じ仲間として助け合おうと

親切心で若者に近づこうとしただけなのです

でもマレンは逃げ出してしまう

 

これが自分でも実は気付いていない

人を見た目で判断する差別とか偏見なんですね

ケンタッキーのリーの故郷に寄り

そこから再びミネソタに向かう

マレンは祖母から母はファーガスフォールズの精神病院にいると教えられ

母に殺されそうになったことで

自分たちの特性を受け入れることが出来なくなり

いったんはリーと別れますが

ケンタッキーに戻ったリーと再会、リーの過去が明らかになり

ふたりはミシガンで人生をやり直す決意をします

しかしストーカー化したサリーが、マレンを追いかけてきます

マーク・ライランス、久々に来ましたよ

ダントツでアカデミー助演男優賞(ノミネートもされてないけどな 笑)

私的に3大サイコは「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンス

「セブン」ケヴィン・スペイシー

ノーカントリー」のハビエル・バルデム ですが

気持ち悪さではこの3人を超えたかも知れません(笑)

ラストまでの展開も想定内

マレンは自分の性(さが)を受け入れたということでしょう

 

ただ証拠が残らないよう男ふたりを食べ尽くしたとしたら

ギャル曽根もびっくり

大食いに転職したほうがいいと思いました

(そういうツッコミ? 笑)



【解説】映画.COMより

君の名前で僕を呼んで」のルカ・グァダニーノ監督とティモシー・シャラメが再タッグを組み、人喰いの若者たちの愛と葛藤を描いたホラー。
人を食べてしまう衝動を抑えられない18歳の少女マレンは、同じ秘密を抱える青年リーと出会う。自らの存在を無条件で受け入れてくれる相手を初めて見つけた2人は次第にひかれ合うが、同族は絶対に食べないと語る謎の男サリーの出現をきっかけに、危険な逃避行へと身を投じていく。
主人公マレンを「WAVES ウェイブス」のテイラー・ラッセル、彼女と恋に落ちる青年リーをシャラメ、謎の男サリーを「ダンケルク」のマーク・ライランスがそれぞれ演じる。2022年・第79ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され、グァダニーノ監督が銀獅子賞(最優秀監督賞)、ラッセルがマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した。

2022年製作/130分/R18+アメリ