ハンナとその姉妹 (1986)

原題も「Hannah and Her Sisters

マイケル・ケイン助演男優賞ダイアン・ウィースト助演女優賞

ウディ・アレン脚本賞アカデミー賞受賞しました、が

 

ウディにしては毒も深みもやや浅め(笑)

熟年夫婦が色々あったけど

最後は元のさやに収まるハートフルコメディ

登場人物が全員嘘をつけず

セックスや、浮気や、隠しておくべき個人的な問題を

思わずさらけ出してしまう

逆に、本当にそういう問題を抱えている人は

見ていられないかも知れません(笑)

年に1度の感謝祭

元俳優の両親の家に3姉妹とその家族が集まる日

長女ハンナ(ミア・ファロー)は舞台女優として成功し

真面目な主婦で母親

売れない舞台女優の次女ホリー(ダイアン・ウィースト)は

仕事もなくお金もなくヘロインを愛飲している

料理だけは得意

末妹のリー(バーバラ・ハーニー)は優柔不断な性格

一応、大学に通うことを目指しているものの

恋人で年上の画家と同棲中(正確には教育されている)

ハンナの夫のエリオット(マイケル・ケイン)は、末妹のリーに夢中

偶然を装って待ち伏せ、詩集をプレゼント

その本の一節を読んで欲しいと、愛の告白をします

リーの恋人の画家マックス・フォン・シドー)に

(ウディ曰く、この作品の最大の利益はシド―が出演してくれたこと)

絵の買い手を紹介するとアパートを訪れ

画家とコレクターが商談のためアトリエに姿を消すと

強引リーにキスをするのでした

 

エリオットとリーはその後、ホテルで肉体関係を重ねるようになります

画家に不倫がばれ、別れを切り出しすリー

しかしエリオットはハンナと離婚すると約束しながら

ハンナとの安定した生活の居心地よさを再確認

リーとも別れられず曖昧な関係が続きます

画家と破局したリーは大学へ通いはじめ

大学教授と付き合うようになりました

 

エリオットは「ほっ」とした反面

彼女を失いたくないという気持ちが渦巻く、男心あるある

(ウディの分身を見事に演じきるマイケル・ケイン 笑)

ホリーはコカインの借金を返すため

友人のエイプリルとパーティ料理のケータリング会社を設立しようと

ハンナに資金出して欲しいと頼みます(お金を貸すハンナ)

そこへ客として来たハンサムな建築家が

ホリーとエイプリルをドライブに誘います

建築家に夢中になってしまうホリー

でも女子力も会話力もエイプリルのほうが何枚も上手

ホリーは恋に破れ、会社は潰れ、オーディションにも受からない

ハンナは、ホリーに女優の仕事が見つかればと

元夫でテレビ番組のプロデューサー

ミッキー(ウディ・アレンを紹介します

ハンナとミッキーが結婚していた当時

ミッキーは男性不妊症(精子の数が少ない)で

共通の友人夫婦の男性から精子提供を受け子どもを授かりました

離婚後も友人として良い関係を続けていましたが

ミッキーは些細な言葉尻に対していちいち深く考え過ぎる

極度の病気恐怖症で(笑)

ユダヤ)宗教の教えの不信感から、いろいろ改宗してみたりする

超面倒臭い男

自由で気ままなホリーとあうはずがない(笑)

が、ある日ミッキーがひとつの映画のセリフで悟りを開きます

「神はいなくても人は生きて死ぬだけだ」

「人生を楽しめばいいんだよ 命の続く限り楽しめばいいんだ」

「その後のことは誰も知っちゃない」

「そんなあやふやな事で悩まなくていい 今が大事なんだ」

ホリーは今度は戯曲を書くからと、再びハンナに無心します

しぶしぶお金を貸すハンナ

 

ホリーの戯曲の第1幕目が出来上がり

偶然ミッキーと再会したホリーは感想を聞かせてほしいと頼みます

君にこんな才能があるなんて、ホリーを見直すミッキー

しかしその内容は家族しか知らない、ハンナの夫婦生活の問題のこと

ハンナから非難され、ホリーは第2幕目をどうするか悩みますが

ミッキーの知的なアドバイスに、ホリーは惹かれていくのでした

1年後の感謝祭

ハンナとエリオットは元のさやに収まり

リーは大学教授と結婚し

ホリーもミッキーと結婚

しかもホリーが妊娠したという嬉しい報告

大円団で幕を閉じました

 

#MeTooやポリコレのない時代の映画のほうが良かった

ウディのような作風が、今後見られなくなると思うと残念です

 

 

【解説】映画.COMより

ウッディ・アレンが監督・脚本を手がけ、ニューヨークに暮らす3姉妹と彼女たちを取り巻く男たちの人間模様を軽妙なタッチでつづったコメディドラマ。3姉妹の長女ハンナは舞台女優で、夫エリオットとマンハッタンで平穏な毎日を送っている。エリオットは家庭的なハンナに満足しながらも三女リーに惹かれ、彼女と一線を越えてしまう。リーは画家のフレデリックと同棲中だが、エリオットの強引なアタックに揺れ動く。一方、売れない女優の次女ホリーは仕事も恋愛も中途半端で、ハンナに心配ばかりかけている。そんなある日、ハンナの家に元夫ミッキーが訪ねてきて……。長女ハンナをミア・ファロー、元夫ミッキーをアレンが自ら演じた。1987年・第59アカデミー賞脚本賞助演男優賞マイケル・ケイン)、助演女優賞ダイアン・ウィースト)を受賞。

1986年製作/107分/アメリ
原題:Hannah and Her Sisters
配給:ワーナー・ブラザース映画