ニコライとアレクサンドラ(1971)

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原題も「Nicholas and Alexandra

ロシア皇帝ニコライ2世と、皇后アレクサンドラ)

ロマノフ王朝の滅亡を描いた歴史大作

どこまでが史実、どこからが脚色かわかりませんが

3時間超もあるわりには見やすく、わかりやすい

フランクリン・J・シャフナーの手腕が光ります

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1904年、ニコライ2世は(妊娠が難しい年齢に達していたのだろう)

念願の息子(王位継承者)アレクセイを授かり寵愛します

しかもアレクセイが難病である血友病と診断され

過保護はますます度を増すのです

 

そんなとき皇后アレクサンドラは、自称“医者”で“聖人”を名乗る

シベリア農民のラスプーチンと親しくなります

外国(ドイツ王女)から嫁入りしたアレクサンドラは宮廷で嫌われていて

アレクセイの病を治せるというラスプーチンの言葉に

孤独だった彼女は洗脳されていきます

やがて政治や司法にも口出しするようになラスプーチン

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飢えと貧しさに苦しむ労働者たちがニコライに請願書を提出するため

宮殿に(平和的に)行列したときも(ラスプーチンの悪知恵で)

無抵抗な国民に対して、兵士たちに発砲するように命じてしまうニコライ

(ブラッディ・サンデー)

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1913、宮廷とニコライを守ってきた首相は

国民の不満の一部でも解消しようと、ニコライにラスプーチンの危険性を訴え

ラスプーチンを解雇させます

しかしアレクサンドラは息子の病を治せるのは

10年経っても治ってないがな)ラスプーチンだけだと

ニコライにラスプーチン復帰させるように頼みます

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政治優先し、一旦は妻の願いを断ったニコライでしたが

首相暗殺され一家が身を隠したロッジで

アレクセイ(くそガキ)階段を滑り落ち出血発作を起こしてしまいます

息子を救うためラスプーチンを呼び戻すニコライ

すると奇跡的にアレクセイは回復

ラスプーチンは宮廷にまずます影響力を及ぼすようになるのです

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1914第一次大戦が勃発すると(終戦1918年)

アレクサンドラはラスプーチン指示により

ニコライに下手な決定を下すようになります

 

ニコラの母ドワガー皇后フェオドロヴナ

国内の問題を無視してしていると息子を叱り

(ここが一番スカッとするシーン)

ラスプーチンは暗殺

アレクサンドラリバディア宮殿に隔離するように助言します

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1916ラスプーチンパーティに招き殺害に成功しますが

アレクサンドラの洗脳は解けず、誤った命令を出し続けます

全ては息子の命を守るため

跡取りなくして自分の存在価値はない

 

それはニコライも同じ

息子に跡を継いでもらいたい、息子に自分の栄光の証を残したい、

供給乏しい軍隊、寒さに苦しむ農民より

自分の栄誉のため戦争に挑み、しかも日本に敗戦したニコライを

国民許しませんでした

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19178、ニコライと家族はシベリアのトボルスクに追放

10、ロシアはボリシェヴィキ

レーニンによって設立された過激極左社会主義政党 に落ち

一家エカテリンブルク(ロシアで4番目の大都市)

イパティエフ(ロシアの豪商)のに移されます



1918717日早朝

ボリシェヴィキ移動するからと一家と側近を起こし

彼らが地下室で待っていると

ボリシェヴィキの秘密警察(チェカ)の部隊が部屋に入り

火を放つのでした

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オープニングクレジットと同じ燃える

皇帝一家だけに留まらず

ロシア国民の多大な犠牲のうえに築かれた社会主義国

人々はニコライを無能な暴君と呼んだけれど

その後国を統治したレーニン

スターリンはどうだったというのだろう

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政治では君主の、家族思いや

友だち思いが判断ミスに繋がるのは

今の日本でも同じかも知れませんね

 

素人でも理解できるロシア近代史としてオススメ

44アカデミー賞では美術賞と衣装デザイン賞を獲得しています



【解説】KINENOTEより

帝政ロシア最後の王朝ロマノフ家滅亡の悲劇を描いた作品。製作は「アラビアのロレンス」のサム・スピーゲル、監督は「パットン大戦車軍団」のフランクリン・J・シャフナー、脚本は「冬のライオン」のジェームズ・ゴールドマン、原作はロバート・K・マッシー、撮影はフレディ・ヤング、衣裳デザインはアントニオ・カスティロ、イヴォンヌ・ブレイク、ジョン・モロ、音楽はリチャード・ロドニー・ベネット、編集はアーネスト・ウォルターが各々担当。出演は「クロムウェル」のマイケル・ジェイストン、シェークスピア俳優の新人ジャネット・サズマン、ローレンス・オリヴィエ、マイケル・ブライアント、トム・ベイカー、ハリー・アンドリュース、ジャック・ホーキンス、クルト・ユルゲンス、マイケル・レッドグレイヴ、フィオナ・フラートン、ヴィヴィアン・ピックルズ、ブライアン・コックス、ジェームズ・ハゼルディン、ロイ・ドトリスなど。

1904年、ロシア皇帝ニコライ2世(マイケル・ジェイストン)と皇后アレクサンドラ(ジャネット・サズマン)との間に皇太子アレクセイが誕生した。しかしすでにロシアでは貴族階級と労働者、農民との間には亀裂が生じていた。当時ロシアは日露戦争に足を踏み入れ、ロンドンでは亡命したレーニン(マイケル・ブライアント)、スターリン(ジェームズ・ハゼルディン)、クルップスカヤ(ヴィヴィアン・ピックルズ)、トロツキーブライアン・コックス)らが、労働者蜂起を企て、ロマノフ王朝打倒を目指していた。このような情勢の中、皇太子アレクセイの成長につれ、その体内に血友病が巣くっていることが明らかになり、その困惑のただ中に怪僧ラスプーチン(トム・ベイカー)が登場、不思議な力をふるって皇太子の危機を救い、このことからラスプーチンに対する皇后アレクサンドラの寵愛が始まった。これを期にロシア人民の心が王家から離反、加えて悲惨な貧困禍に見舞われ、1905年、あの“血の日曜日”を見るに至った。危急に心を痛める首相ウィッテを首相の任から降ろし、ストルイピンが首相の座についた。その後ストルイピンが若いボルシェビキのボグロフに暗殺されたのに怒った皇帝は、ただちにユダヤ人と労働者の弾圧を命じたが、穏健派ケレンスキーの制止でやむなきに至った。再び戻ってきた皇室の平和。更に一度は追放されたラスプーチンの復帰。しかし勃発した第1次大戦を受けた皇帝は、ロシア軍に動員を指令、側近に耳も貸さず自ら指揮をとった。チューリッヒレーニンはこの報を聞いて具体的な計画にとりかかった。ペテルブルグでは、ラスプーチンが暗殺され、国民の飢餓は極に達し、毎日のように暴動、デモが繰り返され、遂にゼネストが起こった。さすがの皇帝も退位の署名をし、2月革命は成った。ここにロシア200年の専制の時代は終わった。王室一家の身柄の安全に心をくだくケレンスキーは、レーニン帰国の報を聞いて緊張、革命独裁の道を阻まんとして議会でボリシェビキと衝突したが失敗。ためにボリシェビキは、反革命軍の皇帝かつぎだしを怖れ、裁判という名目で皇帝一族を幽閉した。そして最後の指令が走った。1918716日夜、ニコライ、アレクサンドラ、そして皇太子アレクセイなど王室一家はすべて銃殺に処された。