ぼくの伯父さんの休暇(1953)

原題は「Les Vacances de Monsieur Hulot」 (ユロさんの休暇)

コメディアンでもあるジャック・タチの当たり役「ユロさん」を

自作自演したシリーズの第1作目

ミスター・ビーン」の ローワン・アトキンソン

この作品の影響を受けているそうです

特に話の筋はなく(誰の伯父さんでもない 笑)

ユロさんが海辺のリゾートを訪れ

繰り返すトラブルを繋ぎ合わせたもの

ずれてる絵画

ナイスなタイミングで登場するワンコ

テニスのサーブが上手すぎる

乗馬ブーツに引っかかったキツネの剥製

波に流されるペンキの缶

真っ二つに折れたカヌーで大パニックは

スピルバーグがインスピレーションを受け「ジョーズ」になったとか(笑)

花火小屋の爆発では火傷したスタッフが絶対いただろうと思ったら

火傷したのはジャック・タチ本人だったそうです

どのネタも視覚的によく出来ていてジワるのですけど

犬や波とか演技ではできない使い方と

天才的に計算された空間把握力に驚かされます

国や人種が違っても、言葉がわからなくても笑える

エスプリ(知性)の効いた、というのがぴったり

(近年のコメディは下ネタや汚物がオンパレードすぎる)

ユロさんがなぜ周りの人間とかみあわないのか

それはユロさんが無声映画からトーキーに逃げてきた人物で

テクノロジーやガジェット(便利な電子機器といった

非人間的な世界に馴染めない、という設定だそうです

タチは、ユロさんを通じて

戦後の資本主義的生産に対する依存や

人間らしい単純な楽しみより、複雑なテクノロジーに価値を求めることを

軽蔑し、穏やかに嘲笑する

そのことは後の作品でも繰り返されるテーマになります

そのわりには、予算が足りなく

(撮影のために道路を舗装、木の伐採、状態の悪い家の修復、などにお金がかかった)

モノクロでしか撮影できなかったことを嘆いていたそうです(笑)

 

 

【解説】映画.COMより

フランスの喜劇作家ジャック・タチの長編第2作で、彼の代表的キャラクターとして世界中の人々から愛されるユロ氏が初めてスクリーンに登場した記念すべき作品。大勢の人々がバカンスを楽しむ海辺のリゾート地に、ポンコツ車に乗ったユロ氏がやって来る。チロル帽にパイプをくわえ、個性的な歩き方をするユロ氏は、なぜか行く先々で騒動を巻き起こし……。日本では長編第3作「ぼくの伯父さん」の方が先に公開されたため、このタイトルとなった。その年最高のフランス映画に贈られるルイ・デリュック賞やカンヌ国際映画祭国際批評家大賞を受賞。2014年、タチの監督作をデジタル復元版で上映する「ジャック・タチ映画祭」でリバイバル

1953年製作/89分/フランス
原題:Les vacances de Monsieur Hulot
配給:日本コロムビア
劇場公開日:2014年4月19日

その他の公開日:1963年8月3日(日本初公開)