ぼくを探しに(2013)

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原題は「Atila Marcel」(アッティラ・マルセル)
プロレスラーの父親のリングネーム


数々の傑作アニメを生み出し、日本でも評価の高いシルバン・ショメ
初体験でございます(笑)
ポップでキュートな映像、メルヘンと現実の中間のような世界観
どの画面も切って飾りたいくらいお洒落だけど
ところどころにブラックと皮肉が込められているのはフランス流(笑)

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2歳の時に両親の事故死を目撃したショックで失語症になってしまったポールは
ピアノの才能があると、ふたりの叔母(アニーとアンナ)から
いっぱいの愛情と期待を受け育てられました
叔母が経営するダンス教室でピアノ伴奏をしながら
33歳最後のチャンスのピアノコンクールで優勝を目指しています

この叔母さん息もぴったりで、いつもべったりでまるで
女芸人の「阿佐ヶ谷姉妹」に毒を仕込んで強烈にした感じ(笑)
散々中国人の悪口を言ったり「ヒロシマ」ネタを突っ込んできたり
見ているほうがヒヤリとしますが、これが本音でしょう

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ある日大好物のお菓子、シューケストを買いに出たポールは
落し物のレコードを見つけ、持ち主に返そうとプルースト家を訪れます

この部屋の中一面緑が生い茂るマダム・プルーストのお家が素敵
こうすれば庭がなくてもガーデニングができるじゃない
(でもセンスがよくないと、こうはならないわね)

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マダム・プルーストはポールを招き入れ
自家製のハーブティとマドレーヌをご馳走してくれました
すると眠りについたポールに過去の記憶が蘇ってきたのです

そこには美人で優しい母と、プロレスラーの父の姿がありました
母はポールの記憶に残っている、父からDVを受けていた姿ではなく
実は母もプロレスラーで技の稽古をしていただけだったのです
両親の死の真相は、2階から落下したピアノの下敷きになったからでした

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現実に戻ると、ポールはピアノコンクールで優勝し祝賀会が開かれていました
出席者に演奏をせがまれ、鍵盤に指を乗せた瞬間に蓋が閉まってしまい
ポールの指は圧迫されピアニストとしての人生を失ってしまいます

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マダム・プルースト訪ねたポールは彼女が癌で亡くなったことを知り
マダム・プルーストの愛用していたウクレレを持ち帰ります
公園の老木伐採に反対していたマダム・プルースト
死ぬまで役に立つことはあるんだと
彼女は老木に自分の姿を重ねていたのかもしれません

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数年後、ポールはウクレレ教室を開き、中国系のミッシェルと結婚して
赤ちゃんも誕生していました
そして何か言おうとしている赤ちゃんに
ポールは「パパ」と声をかけることができたのです

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奇妙で風変わりだけど、たぶんこの作品のメッセージは
人生には不幸なことや、傷つくことがたくさんあるけれど
それでもまた幸せになれる
自分の黒歴史のなかにも、いい思い出があるということ

だから、他人と考え方が違うことで変人と思われていたり
学校や社会でグループの中に入れず孤立していたり
いまの生活に「生きにくさ」を感じている人には特に見てほしい1本

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もしかしたらハーブティとマドレーヌが
人生を変えてくれるかも知れません

 

【解説】映画.comより
アカデミー長編アニメーション賞を受賞した「ベルヴィル・ランデブー」や、ジャック・タチの遺稿をもとに映画化した「イリュージョニスト」などで知られるフランスのアニメーション作家シルバン・ショメが、初めて手がけた実写長編作。「ベルヴィル・ランデブー」のサントラで使われた楽曲「アッティラ・マルセル」に着想を得て、仏文豪マルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」のエッセンスも織り交ぜながら、孤独な主人公が不思議な女性との出会いから失われた過去の記憶が呼び覚まされ、少しずつ変化していく人生を描いたファンタジックな物語。幼い頃に両親を亡くし、そのショックで言葉を話すことができなくなったポールは、伯母のもとで世界一のピアニストになるよう育てられる。友だちもいない孤独な人生を歩み、大人になったポールは、ある日、同じアパルトマンに住む謎めいた女性マダム・プルーストと出会う。彼女のいれたハーブティーを飲むと、固く閉ざされた心の奥底の記憶が呼び覚まされていき、ポールの人生に変化が訪れる。