カンヌ国際映画祭受賞作品

昔々、アナトリアで (2011)

「昔々、アナトリアで・・・と始まるお伽話みたいだ」 原題も「Bir Zamanlar Anadolu'da」(英題Once Upon a Time in Anatolia) 第64回カンヌグランプリ受賞のトルコ /ボスニア・ヘルツェゴヴィナ作品 トルコ人監督のヌリ・ビルゲ・ジェイラン曰く 「僕の作…

万引き家族(2018)

1988年巣鴨置き去り事件を題材にした 「誰も知らない」(2004) 1971年赤ちゃん取り替え事件を題材にした 「そして父になる」(2013) そして「万引き家族」 2014年、大阪府吹田市の釣具店で両親が店員に質問攻めにしている最中 中学生の長男(14)と小学生の次…

ボウリング・フォー・コロンバイン(2002)

原題も「BOWLING FOR COLUMBINE 」 アカデミー賞長編、ドキュメンタリー映画賞 フランスのセザール賞、最優秀外国映画賞 カンヌ映画祭では特別賞ほか多くの賞を受賞し マイケル・ムーアを一躍有名にした作品 監督自らのインタビュー式のドキュメンタリー映画…

誰も知らない(2004)

第57回カンヌ国際映画祭で主人公を演じた柳楽優弥くんが14歳で史上最年少最優秀主演男優賞を受賞したことが話題になりました モデルとなったのは1988年に起きた「巣鴨子供置き去り事件」母親(40歳)には売春や窃盗の逮捕歴があり愛人(56歳)のマンションに同居…

ブラック・クランズマン(2018)

原題も「BlacKkKlansman」クランズマンとはKuKluxKlanの会員のこと 主人公ロン・ストールワースは実在する人物で1972年にコロラド州で警察官になり1979年KKKに侵入捜査、守秘義務を守り2005年に退職2014年に「BlacKkKlansman」というノンフィクション小説を…

愛、アムール(2012)

「用意は良いかい?」 「そうか 僕は食器を洗ってなかったね」 「全て片付けて さぁ行こう」 原題も「Amour」これがハネケの描く愛 登場人物は極めて少なく、夫の トランティニャン妻のエマニュエル・リヴァ(Hiroshima mon amourと”amour”繋がり?笑)たま…

青いパパイヤの香り(1993)

原題も「L'ODEUR DE LA PAPAYE VERTE」(グリーンパパイヤの匂い) 全篇フランスのスタジオで撮影されたというフランス製ベトナム映画このセットがすばらしい吹き抜け、格子の窓、豊かな緑と水の庭昆虫たち、蛙、鳥のさえずりその庭で座って作る美味しそうな…

クスクス粒の秘密(2007)

原題 は「LA GRAINE ET LE MULET」(穀物の”種”、魚の”ボラ”) クスクスとはデュラム小麦粉に水を含ませ1mm大のそぼろ状にしたもの 発祥地の北アフリカから、中東、ヨーロッパ、南米までパンやお米とと同じくらい食べられている食材で日本のご飯や、サフラン…

女は二度決断する(2017)

ラストにドカンと衝撃がくる映画 まだご覧になってない方は ネタバレは知らないでいたほうが正解です ドイツにおけるNSU(国家社会主義地下組織)が起こすテロの現状 ヨーロッパではテロ、移民問題が私たちが思う以上に 身近で深刻な問題だということがわかり…

オールド・ボーイ(2003)

日本カーリングの歴史を塗り替えた一戦で カーリング女子(LS北見)初の銅メダル獲得 おめでとうございます 第10エンドまでイギリスとは5分5分の戦い しかし最後の一投で女神は日本に微笑んでくれました 見事なプレイだけでなく、選手たちの可愛らしさや…

ブンミおじさんの森(2010)

「ずいぶん毛が伸びたのね」 原題は 「UNCLEBOONMEE WHO CAN RECALL HIS PAST LIVES」 ”過去の人生を振り返ることが出来るブンミおじさん” という意味だそうです タイトルからは評価の高いアジア映画によくある 「貧しい村で素朴に暮らす人々」系な作品化と…

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000)

ミュージカル映画の中でも 私の上位ランキングのひとつである本作 賛否両論が存在することは知っていましたがこんなにも評価が低いことには驚きました 否定派のレビューは、やはり救いのない結末と暗さ 自己チュー馬鹿女の自己陶酔、現実逃避 手持ちカメラの…

ボルベール <帰郷>(2006)

ボルベールとはカルロス・ガルデルのタンゴの楽曲「Volver」のこと アルモドバル監督が送る女性賛美3作品の最終章 第59回カンヌ国際映画祭では主演のペネロペ・クルスを含む 出演した女優6人全員に主演女優賞が贈られたそうです アルモドバル監督はゲイであ…

ディーパンの闘い(2015)

「スタートレックにアラブ人がいない理由は?」 「未来だから」 内戦の起きている国で、あかの他人同士が親子を偽装する それは親子のほうが難民の審査を通り 先進国に受け入れてもらえやすいからだそうです スリランカの難民キャンプで知り合った 元兵士の…

八日目(1996)

「最高の、一分間だった」 この一分間は僕たちの時間だ」 タイトルである「八日目」は、神が7日間で世界をつくったなら 8日目には何をつくられたのか?ということ ダウン症である主人公、ジョルジュ演じる本人もダウン症であり 演技なのか本来のものなのか…

BIUTIFUL ビューティフル(2010)

PIGS(ピッグス)とは ポルトガル (Portugal)、イタリア (Italy)、ギリシャ (Greece)、スペイン (Spain) (それにアイルランド(Ireland) を加えてPIIGS) 世界金融危機において金融、財政部門の改善が自国の力では達成出来ない ヨーロッパの国々のこと つま…

コーヒー&シガレッツ(2003)

タイトルからコーヒーと煙草に対する 味だとか、香りだとか、淹れ方だとかの 凄いこだわりの作品だと思って スタバのコーヒーより、セブンイレブンのドリップコーヒーのほうが 美味しいと思ってる貧乏舌の私はちょっと敬遠していたのですが そんなこだわりや…

セールスマン(2016)

アプローチは「わらの犬」に似ていますが イラン映画なのでペキンパーのような過激な描写は一切ありません 作中でも国家の検閲がいかに厳しいかが描かれています それどころか、直接的な映像もなく、ただ匂わすだけのセリフ 見る側の想像力にすべて委ねてい…

M★A★S★H マッシュ(1970)

MASH(Mobil Army Surgical Hospital)とは 米陸軍移動野戦病院のことで 戦場近くに設置された、いまでいう「ER」のようなもの 制作当時はベトナム戦争批判だと公開されないために 朝鮮戦争に舞台を変えたということ ハイで、下品で、エッチ、そしてたっぷり…

タクシードライバー(1976)

「ジョディの為にやった」 (レーガン元アメリカ大統領狙撃事件での犯人の言葉) 異様な魅力に溢れた作品 映像、音楽、構成、素晴らしいですし デ・ニーロのカリスマには圧倒させられます 真面目で、変態で、ストーカーで、アダルト・チルドレン そして正義…

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(2013)

これは、いい映画ですね ちょっと日本人の日常会話ではありえない 下品なセリフが多いのはナンですが(笑) 偏屈で少し痴ほう症の老人 その家族、友人たちの心情がリアル しかし、虚しい老いよりはむしろ 「男のプライド」が描かれています ある老人のもとに宝…

パリ、テキサス(1984)

この作品は過去に見た時に気に入って サントラも持っています ライ・クーダーのけだるいギターが雰囲気にぴったり でも、音楽と映像が一体になったほうが、やはりもっと良かった (だったらDVD買おうよ・・笑) カラーもいいですね、赤がアクセントとして…

切腹(1962)

仲代達也さんの主演作は まだ10本足らずしか見ていません そのなかで特に面白かったと思うのはこの作品 2度目の鑑賞ですがやはりよかった 時代劇ですがホラーに近いのです 主人公の語りによって 少しずつ真相が明らかになっていく展開は まさにスリリング…

ある子供(2005)

どこにでもいるかもしれない、こんな若者 盗品を売ったり、引ったくりをして生活 しかも手に入ったお金は、無駄に使ってしまう 仕事に就く意味なんて見つけられない 労働の価値なんて分からない 出産を終え病院から退院してきたソニア 家に帰ってたら、彼氏…

カンバセーション…盗聴…(1973)

Main theme from The Conversation (1974) 映像センスは抜群 カメラはビル・バトラー 「ジョーズ」の撮影で有名な名カメラマンですね この作品で「盗聴屋」という仕事があるということを知りました 70年代でこの技術 今ではどうなっているのでしょう うかつ…

父/パードレ・パドローネ(1977)

貧乏な島の、貧乏な羊飼い 幼い子どもでさえ労働力 小学校に通うガヴィーノは 厳格な父親に連れ戻されてしまいます そして無理やり大自然のなか、たったひとりで 羊の番小屋で生活させられます 家族の中での父親の絶対的な存在 折檻だってあたりまえ 勉強も…

ファンタスティック・プラネット(1973)

これはどの年代向けのアニメなのだろう 子どもに見せるようなものではない かといって、いい大人が楽しむのには奇抜で奇怪 切り絵をコマ撮り、製作年数は4年もかかったとか 1973年、カンヌ映画祭でアニメとしては初めての特別賞受賞 原題は「野蛮な惑星」 …

サン★ロレンツォの夜(1982)

「実際に起こったことでも、ハッピーエンドになることがあるんだよ」 3世紀中頃、キリスト教迫害で殉教した聖人ロレンツォ。彼の命日は、サン・ロレンツォの日と呼ばれ この日の夜は聖ロレンツォの流す涙が流れ星となり その流れ星にお願い事をすると叶うと…

ジョニーは戦場へ行った(1971)

「腕があれば自殺できる」 「脚があれば逃げられる」 「声があれば叫んで救いを求められる」 10代の頃テレビで見ました。 このポスターは映画雑誌で見て知っていて そして 「かつてないみずみずしさと美しさで 執念の鬼才ドルトン・トランボが描く 青春の輝…

アンチクライスト(2009)

苦痛系変態映画 こんな変態でなくて良かったと思います (どんな変態ならいいのでしょうか 笑) 難解な作品でした これを読み解いていきましょう タイトルの「アンチクライスト」とは キリストに反するもの(悪魔のこと) anti christの最後のtが♀になって…