BIUTIFUL ビューティフル(2010)




PIGS(ピッグス)とは
ポルトガル (Portugal)、イタリア (Italy)、ギリシャ (Greece)、スペイン (Spain)
(それにアイルランド(Ireland) を加えてPIIGS
世界金融危機において金融、財政部門の改善が自国の力では達成出来ない
ヨーロッパの国々のこと
つまり歳出より歳入が圧倒的に不足しているということ

池上彰氏の番組で取り上げられそうな話題ですが
実際にはその国で暮らす人々が、どのような状況なのか
想像もつきませんでした

そして本作には、黒澤明監督の「生きる」への
オマージュが含まれているそうです





ハビエル・バルデム扮する主人公、ウスバルが突然
癌で余命2ヶ月と宣告されます

彼は中国人の作ったコピー品をゼネガル人に売らせたり
安い賃金で労働者が欲しい建設現場などに不法移民を紹介するという
ブローカーのような仕事をしています
死者の声を遺族に届ける霊能者としても働いていました

移民にとっては、違法なことでもしないかぎり仕事はなく
ウスバルもふたりの子どもを養うお金が手に入らないのです


薬物依存で双極性障害の妻、マランブラとは別居中
彼女はマッサージ(といっても性感)でわずかなお金を得ているようです

自分が死んだ後、子どもたちはどうやって生きていくのだろうか
マランブラとやりなおそうとしますが、やはり無理でした
ウスバルは懸命にお金を集めようとします





しかし悲劇は続き、ゼネガル人の男は逮捕され強制送還
中国人は粗悪品のストーブによって
寝ている間に全員死んでしまいます

ウスバルは子どもたちが懐いている
ゼネガル人の妻イヘに全財産を託し
子どもたちの養育を頼みました
その彼女さえも、有り金を全部持って逃げてしまうのです

誰もが自分ひとり生きるだけで精一杯
貧しすぎて人助けをする余裕など、微塵もない現実


ついに最後の命が燃え尽きようとしたとき
現れる若き父親の姿

「フクロウは死ぬときに毛玉を吐き出すのを知っているか」というのは
人は人生の最後に、自分の思っていることを誰かに伝える
ということなのだと思います

何も残せなかったウスバルは、友人から預かった
小さな石を子どもたちに渡します
そして「忘れないで欲しい」と伝えるのです


ビューティフルの綴りもわからない、学のない男
霊能者という能力を持ちながら、だれひとり救えない男
結婚も、仕事も、やることすべてが裏目にでてしまう男
サグラダ・ファミリアの見える景色までが厳しく思えてしまいます

スペイン内戦、フランコ独裁時代、独裁崩壊と解放、バブル景気、財政危機
人々を取り巻く貧困と,不法移民という大きな問題
ここには私たちの知らない、見たことのないバルセロナがありました





それでも、真っ暗な人生にも光はきっとあるのです
指輪を巡る娘との会話はとても美しいものでしたし
イヘが思いとどまって、駅から戻ってきてくれたのは
幻でなかったと信じたい

「BIUTIFUL」
良いタイトルです



【解説】allcinemaより
「21グラム」「バベル」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が、「ノーカントリー」のオスカー俳優ハビエル・バルデムを主演に迎えて贈る感動のヒューマン・ドラマ。移民や不法滞在者があふれるバルセロナの裏社会を舞台に、ある日突然余命2ヵ月を宣告され絶望にうちひしがれる男が、それでも愛する2人の子どものために残された日々を懸命に生きる姿を描く。ハビエル・バルデムは本作の演技でみごとカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞。
 スペイン、バルセロナ。この大都会の片隅で、移民や不法滞在者を相手に、時には違法なことにも手を染めて日々の糧を得ている男、ウスバル。麻薬に溺れ荒んだ生活を送る妻と別れ、愛する2人の子どもたちを男手ひとつで懸命に育てていた。ところがある日、彼は末期ガンと診断され、余命はわずか2ヵ月と告げられる。死の恐怖にも増して、何よりも遺される子どもたちの今後が、苦しみとして重くのしかかってくるウスバルだったが…。