トゥモロー・ワールド(2006)




以前はこういう内容の作品を見ても
ただのフィクションと楽観的に楽しめましたが
最近はありえない話ではないかもと思ってしまいます。
いろいろなことを考えさせられた作品でした。

協力とか友好とか寛容さがだんだんとなくなり
穏健派や知識人の意見は抹消されてしまい
軍事力や恐怖で人を支配しようとする・・
世の中がそんな未来に向かっているような気がします。

私たちは若者に、子どもたちに平和で明るい未来を残す義務があります。
でもこの世から子どもたちが
家族がいなくなったらどうなるでしょう。

希望はなくなり自分だけのことしか考えなくなっても
あたりまえかも知れません。
先にあるのは無だけなのだから。

2027年、ロンドン。
人間に生殖能力がなくなってしまってから18年経ちます。
役人として働くテオは活動家をしている元妻ジュリアンから通行証を頼まれます。
それは移民の少女キーを
人類救済組織「ヒューマン・プロジェクト」へ運ぶためでした。

妊娠も出産も知らないし、赤ちゃんを見たこともない妊婦の女の子。
そんなキーを助けようとする女性活動家。
一方、組織の男達はキーを政府に対する切り札として利用しようとします。

ほとんどがハードな戦闘や簡単に人殺しをしてしまうシーン。
そんな中での新たな命の誕生の奇跡・・子どもは未来。
手を差し伸べる不法移民の女性たち、思わず銃を下す軍人。

ラストは「ヒューマン・プロジェクト」に無事救い出されたキー。
だけどこの先、はたしてキーと、世界でたったひとりの赤ちゃんは
本当に平穏な暮らしを得られるのでしょうか?

幼い命が育つために必要なもの、それはやはり平和。
ミルクも、おむつも、教養も、戦場では手に入らないのです。

平和と逆行しているような報道ばかりが多いこのごろ。
怖い、怖い、作品でした。



【解説】allcinemaより
ダルグリッシュ警視シリーズ”などで知られる英国を代表する女流ミステリ作家P・D・ジェイムズの『人類の子供たち』を「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン監督が映画化した近未来SFサスペンス。子供が誕生しなくなった近未来の地球を舞台に、人類の未来を左右する一人の少女を巡る攻防に巻き込まれた主人公の運命をスリリングに描く。クライマックスの戦闘シーンでの長回しをはじめ技巧を駆使した臨場感あふれる映像表現が高く評価され、ヴェネチア国際映画祭ではオゼッラ賞(技術貢献賞)を獲得した。
 人類に最後の子供が誕生してから18年が経過した西暦2027年。原因がわからないまま子孫を生み出すことの出来なくなった人間には滅亡の道しかないのか。希望を失った世界には暴力と無秩序が際限なく拡がっていた。世界各国が混沌とする中、英国政府は国境を封鎖し不法入国者の徹底した取締りで辛うじて治安を維持している。そんなある日、エネルギー省の官僚セオは、彼の元妻ジュリアン率いる反政府組織“FISH”に拉致される。ジュリアンの目的は、ある移民の少女を“ヒューマン・プロジェクト”という組織に引き渡すために必要な“通行証”を手に入れることだった。最初は拒否したものの、結局はジュリアンに協力するセオだったが…。