JUNK HEAD(ジャンク・ヘッド)(2021)

知らないで見たら、日本のアニメと思わなかったかも(笑)

ちょっとグロくて残酷だったり、性的な要素があったり

ヨーロッパのアニメのように、シュールでディストピアな世界観

しかも映画制作ド素人の堀貴秀氏が

本業のアートワーク専門の内装業のかたわら

監督・人形制作・脚本・美術・撮影・編集

音楽から、何語かわからない音声まで(「ケチケチケチ」は笑える)

7年以上をかけ、ほとんどひとりで創り上げたというのですから驚きです

映画のパンフレットまで自主制作だとか(笑)

エンドロールメイキング映像も面白い

メイキングだけで1本映画作れます(笑)

ここまでくればかなりの変態(褒めています)

変態性の高さが、クリーチャーたちの造形にも現われていますね

でもどこかお子さまっぽくて、愛らしい

たぶん子どもの頃からNHKの朝のアニメが大好きで

学校の授業中には先生の話も聞かず、教科書やノートのはしっこに

こういうキャラクターばかり書いていたのでしょう

なのにテストではいい点数をとる知能高めなタイプ

プロットは手塚治虫の「火の鳥 未来編」に似ていますが(笑)

不思議なことに悲壮感は一切ありません

 

人類は遺伝子操作によって不老不死の能力を得ますが

代償として意識だけが残り、肉体は滅び生殖能力を失いま

さらにウイルスや環境破壊によって存亡の危機に立たされた人類は

地下世界で進化を遂げた人工生命体「マリガン」の生態調査を開始

ダンス講師のパートンは調査員として地下へ向かうことにします

パートンのポッドが誤って警備員のロケット砲で爆破されてしまい

バラバラになったパートンの頭部は更なる地下に落ちていきます

 

パートンの頭部を見つけたアレキサンドルとフランシスとジュリアン

通称「三バカ(兄弟)」は頭部をルーチー博士の元に持って行き

博士はパートンにロボットの身体を作って与えます

そうしてパートンは三バカと行動を共にするようになりますが

調査対象のマリガン「トロちゃん」の長くブラブラしているのが

生殖器でなく尻尾と判明

しかもデスワームに食べられてしまい

またもや頭部だけが更なる地下に落ちてしまいます

辿り着いた「バルブ村」でパートンは

ラクタで作ったおんぼろロボットの身体を与えられ

「ポン太」という名で小間使いとして働くようになりました

そして女たちが月にいちどのグルメツアーに行く間

男たちは高級食材「クノコ」で一杯やろうと

職長はパートンに「クノコ」を買って来るよう命じます

そころが優しさにつけこまれて

詐欺師に「クノコ」を取られてしまう

その分、詐欺師にはしっかり罰が当たりますが(笑)

そしてまたまたワームに追いかけられたパートンは

またまた奈落の底に落ちてしまいます

そこで8番バルブの老管理人のため椅子を作ってあげたり

子どもの乞食マリガンにクノコを与えたり

やっとパートンが「バルブ村」に帰り

残ったクノコを職長に渡すと

職長はカビの生えたクノコを捨ててしまいます

それを拾って食べる女の子のマリガン、ニコと

彼女の幼なじみホクロ

ニコはほかのマリガンと造形(人間に近い)が違っていました

そのため皆から仲間外れにされていましたが

ニコは生命の樹「ヨーグル」になる素質を持つ女の子だったのです

生命の樹からマリガンは生まれる)

そうしてパートンはニコにダンスを教えイイ感じになるのですが

老管理人の8番バルブが爆発して大騒ぎ

パートンは三バカとトリムテ(ラスボス)退治に行きます

しかし爆破のせいで天井が落下し

フランシスとジュリアンが命を落としてしまいます

パートンは鉄筋に突き刺さって身動きが取れない

パートンは自らの身体を引きちぎり、トリムテの頭にパイプを刺し

アレキサンドルを救います

そしてアレキサンドルに別れを告げたパートンは

ニコとホクロは担がれ、人間界のある上層部に向かうのでした

三部作の1作目ということ

ストップモーションアニメで100分という大作

続編公開も7年後になるのかな(笑)



 

【解説】KINENOTEより

独学で映像制作を学んだ堀貴秀が、1人で監督・原案・キャラクターデザイン・編集・撮影・照明・音楽を兼任し、7年を費やして完成させたSFストップモーションアニメ。絶滅の危機に瀕した人類を救うため、1人のダンス講師が、人工生命体と共に地下世界へ。北米最大のジャンル映画祭、ファンタジア国際映画祭で最優秀長編アニメーション賞を受賞し、ギレルモ・デル・トロから絶賛された。

繰り返される環境破壊により、人の住めなくなるほどに地上が汚染された時代。地下開発を目指した人類は、その労働力として、人工生命体マリガンを創造する。ところがその地下も、自我に目覚め、人類に反乱を起こしたマリガンによって乗っ取られてしまう。それから1600年。遺伝子操作で永遠とも言える生命を得た人類は、その代償として生殖能力を失っていた。そんな人類に新種のウイルスが襲いかかり、人口の30%が失われる。絶滅の危機に瀕した人類は、独自に進化していたマリガンの調査を開始。政府が募集した地下調査員に名乗りを上げたのは、生徒が激減したダンス講師の“主人公”だった。地下に潜入し、“死”と隣り合わせになることで命を実感した主人公は、マリガンたちと協力し、人類再生の道を探る。そして今、広大な地下世界の迷宮で、クセ者ぞろいのマリガンとの奇想天外な冒険が始まる……。