黒いチューリップ(1963)

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原題も「La Tulipe Noire」(ブラックチューリップ)
監督は、二代目フランスいちの美男子、ジェラール・フィリップ主演の
花咲ける騎士道」(1952)のクリスチャン=ジャック
(初代はジャン・マレー、ドロンさまは3代目だそうです)

ドロンさま、まるで昭和の少女漫画に出てくるプリンス(笑)
登場するたびに、背景にたくさんの薔薇の花とキラキラが見えてしまいます
お目目もキラリン☆歯もキラリン☆
しかもドロンさまがひとつの画面にふたりという贅沢さ(笑)

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CGのない時代なので合成には苦労したでしょう
しかし違和感は感じませんでした
しかもお城に、豪華な調度品に、衣装
12,000人のエキストラと4,000の騎兵に、多数のスタントマン
制作費は膨れ上がりフランス映画としては破格の10億フラン
(1フラン20円として200億円)を超えたそうです
(そんな大作に見えないのが何より残念 笑)

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フランス革命勃発前、「黒いチューリップ」と名乗る義賊と使いの男が
亡命を企てる貴族を襲い、金品を奪っていました
憲兵隊長のラ・ムッシュ(アドルフォ・マルシラック)は
「黒いチューリップ」の正体はギヨーム伯爵(ドロンさま)に
間違いないといいます

ギヨームの愛人であるコルデーヌ侯爵夫人(ドーン・アダムス)は
早速そのことをギヨームに伝えに行きます

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どうやらギヨームはあっちの美女、こっちの美女とお盛んなようで(笑)
決め台詞は「私の膝に座った女性を後悔させたことはない」

誰も否定しないよ(笑)

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いつもの通り亡命貴族の馬車を待ち伏せし、襲い掛かると
それは憲兵隊の乗り込んだラ・ムッシュの罠でした
ギヨームはラ・ムッシュによって左の頬に傷を付けられてしまいます
しかし週末にはコルデーヌ侯爵夫人の屋敷で晩餐会がある

そしてギヨームの使いに行った男の馬車が検問にあいます
憲兵隊は左の頬に傷のある男を探していました
馬車の奥にはギヨームの姿がありました、しかし顔の傷はない
なぜ

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男はギヨームと瓜ふたつの弟、ジュリアンだったのです
ジュリアンは兄になりすまし晩餐会に向かおうとしますが
教会の鐘の音で驚いた馬から落馬してしまい
教会で結婚式をあげようとしていた花嫁
カロ(ヴィルナ・リージ)に手当してもらいます

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私はキューピットっていると思います(笑)
ハートを愛の矢が貫く瞬間
ジュリアンは預かった花嫁のブーケを持って帰ります

頭が良く、ワイルドでなんでもできる兄と違って
弟は真面目だけどおっちょこちょい
これはそんな弟が、ある意味兄を超えて成長する物語

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晩餐会で殿下が率いる軍がやってきて
村に野営するという情報を得たジュリアンは
コルデーヌ侯爵夫人に「赤の部屋」に行こうと誘われても気が気でない
ギヨームの元に行きどうしたらいいかと尋ねると
「橋を爆破して村に入れなくするんだな」と教えてたものの
彼は村人のために働く気は全くありませんでした

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ひとりフェンシングのトレーニングをするジュリアンに
ブーケが原因で結婚をやめたというカロが会いに来て
フェンシングの手ほどきをします
ジュリアンはカロが勝ったら好きなものをあげると言います
カロはジュリアンのキスを奪い、ジュリアンもカロにキスをする
そこにカロの父親が乗り込んできて大騒ぎ

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しかしカロの父親は革命軍の大物でした
軍の侵攻を止めようと憲兵隊から爆薬を盗み
ジュリアンとカロは橋を爆破します

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殿下を誘拐してアジトに連れて行き
ジュリアンが「黒いチューリップ」だと告白すると
黒いチューリップに殺されるなら光栄と
カロの父親と飲んで、酔っ払って、乾杯、乾杯(笑)

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酔った殿下にパリに戻る命令書にサインさせ村は侵攻を逃れますが
ラ・ムッシュがジュリアンの仕業だと気付きます
そしてカロたちのアジトに一斉攻撃を仕掛けるのです

このラ・ムッシュが本作では絶対的な悪役なんですけど
お間抜けなコメディリリーフで憎めない(笑)

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ジュリアンは憲兵隊によって捕らえられ、拷問されます
そこでやっと本物の「黒いチューリップ」ギヨームが動きます(笑)
ジュリアンが幽閉されている城に行き、ロープで登りノコギリで牢を切断する
しかし看守に発砲され着地に失敗、怪我してしまいます

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弟のジュリアンを逃がし、自分は「黒いチューリップ」だと
ジュリアンの代わりに首絞台に上がるのです

捕まったギヨームから、さっさとラ・ムッシュに乗り換える
コルデーヌ侯爵夫人がある意味、潔い(笑)

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それにしてもこの時代はどこの国でも、死刑が見世物というか
人々にとっての娯楽だったのでしょうか
ギヨームの死体を見て楽しむコルデーヌ侯爵夫人とラ・ムッシュ

そこに現れたのが、死んだはずの「黒いチューリップ」
首絞台にぶら下がっていたのはコルデーヌ侯爵夫人の夫でした

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ここでギヨームが生き返ったか?と思うのですが
そうではなく(笑)
民衆蜂起によって、ラ・ムッシュと貴族たちは囲まれてしまいます

コルデーヌ侯爵夫人はラ・ムッシュを捨て、殿下の馬車に乗り込み
お慕い申しておりましたとばかりお色気攻撃(笑)
うまいこと暴動から逃げ出します

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民衆たちは無用の戦いより、囚人たちを救うため牢獄に向かう
そしてジュリアンとカロの長いダンスとキスで映画は幕を閉じます
(ジュリアンの名前はギヨームにされてしまったがな)

1789年7月14日、バスチーユ牢獄への襲撃
8月26日、国民議会の人間および市民の権利宣言(人権宣言)の発表
そして、ナポレオンのクーデター(ブリュメールの18日)により
フランス大革命は終焉したそうです

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でも本作はフランス革命を学ぶものではなく(笑)
あくまで、ふたりのドロンさまを見て楽しむもの

でもイチバンの名演技は、ギヨームの愛馬ヴォルテール
たとえ乗り手がいなくても、見事な躍動感に感動します、すばらしい
カメラはアンリ・ドカエ、やっぱ天才だよ

 

【解説】KINENOTEより
デューマの原作をアンリ・ジャンソン、ポール・アンドレオータ、クリスチャン・ジャックが脚色、クリスチャン・ジャックが演出したアクションドラマ。撮影は「シベールの日曜日」のアンリ・ドカエ、音楽はジェラール・カルヴィが担当した。出演は「地下室のメロディー」のアラン・ドロン、「エヴァの匂い」のヴィルナ・リージ、ほかエイキム・タミロフ、フランシス・ブランシュ、ロベール・マニュエル、アドルフォ・マルシリャチ、ジョルジュ・リガーなど。イーストマンカラー・70ミリ。

 

おまけの「黒いチューリップ」

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