あの胸にもういちど (1968)

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原題は「LA MOTOCYCLETTE」(オートバイ)
この邦題は私の邦題ランキングの中でもトップ
韻もいいし、映画の内容ともあっています

若い人妻がマゾヒスティックな妄想にとらわれるのは
ルイス・ブニュエルの「昼顔」(1967)もですが
同じSMでも、こちらは「調教」もの

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ミック・ジャガーの恋人として話題をふりまいていた
マリアンヌ・フェイスフルの演技はともかく(笑)
際立つ演出や独特の映像センスは素晴らしいと思います

オープニングは戦隊ヒーローものか、仮面ライダーのような
ライダーにぴったりなノリのいい音楽で始まります
が、一転(笑)

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レベッカ(マリアンヌ・フェイスフル)は夢を見ていました
鳥の群れ、サーカスでチェロを弾く夫レイモン(ロジャー・マットン)
ハーレーに乗るダニエル(アラン・ドロン)は山高帽のタキシード姿になり
乗馬ショーのレベッカを鞭で打つ

朝早く目が覚めたレベッカは、夫をベッドに残したまま
全裸のままワンピース型のレーシングスーツを身にまとい
FLHTエレクトラグライドにまたがり出発します
黒のショートブーツ、黒のグローブ、シルバーのヘルメット
金髪をなびかせこれは絵になる

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このマリアンヌ・フェイスフルが峰不二子のモデルという話は有名ですが
モンキー・パンチさんの「ルパン三世」ではなく
(連載が始まったのは映画の公開前)
1971年版のテレビアニメ「ルパン三世」の峰不二子のバイクシーンが
本作を参考にしたそうです

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ダニエルがいるハイデンベルクまで130km
ガソリンを入れるためスタンドに寄ると財布を忘れたことに気づく
スタンドのオヤジは知り合いのようで「夫から貰って」というと
当然白い目で見られます
地元の人間は、彼女が男に会いに行っていることに
感づいているのかも知れません
小学校で教師をしているレイモンは、子どもたちにまでバカにされています

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レベッカはバイクを走らせ
途中森で休んでると若い兵士を乗せた軍隊が移動
鉄骨のトラス構造の橋を渡り「ねずみ取りのようだ」と呟きます
踏み切りで列車が通ると、電車でレイモンたちと
アルプスに行ったときのことを思いだします

ダニエルとスキー場のコテージでの出会い
初めて結ばれたときのことを考える
レベッカの部屋に忍び込み、激しい一夜を共にする

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ダニエルは父親が経営する書店の得意客でした
大学教授で難解そうな本ばかり買っていく
次にダニエルはレベッカの顔色が悪いからと
父親の許可を得てレベッカをツーリングに誘います
冬道を走り山小屋へ向かう、しかし扉が開かなかったため
ふたりは雪の中、屋外で愛し合います

普通だったら寒くて、セックスどころではありませんけど(笑)
ふたりは変態なので、異常な事態のほうがより燃えるのです

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フランス側の国境を通り、ドイツ側の国境を通る
フランスの税関の男は、女性に甘いけれど何気にセクハラ
ドイツ側の税関は、女嫌いなのかと思うくらい険しい顔

店に入り桜桃酒(キルシュ=さくらんぼのお酒)を頼むレベッカ
来客の男たちの前で、突然裸になりたい衝動に襲われる

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ダニエルにバイクの乗り方を習うレベッカ
シフトチェンジ(ハーレーは右足なんですね)にコーナリング
バイクに対する愛だけはダニエルにとって純真なものでした
ダニエルはレベッカの結婚祝いにハーレーを贈ります

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現実に戻り、ハイデンベルクまでもう少し
レベッカの心は踊り、ダニエルに抱かれることだけを考える
レーシングスーツを脱がされ、薔薇の花束で激しく叩かれる

今なら暴走族でもここまで無謀な運転はしないでしょう(笑)
ノーヘルで頭をフリフリ、お尻を上下してシートに叩きつけ
猛スピードにもかかわらず、目をつぶり夢想に耽る
しかも今までの田舎の道路とは違い、だんだんと車は渋滞
道路では工事も行われています

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バイクは車線変更したトラックに衝突し、放り投げられたレベッカ
他の車のフロントガラスに突っ込み、その車も衝突し大炎上

マゾヒスト(被虐性欲者)がご主人様のため命を失うのは
本望なのかも知れないけれど

死ぬならひとりで死ねよ

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とはいえ、アイメイク以外ほぼすっぴんと思われる
マリアンヌ・フェイスフルのコケティッシュな魅力に
虜になった男性は多いはず
ビーフェイスなのに巨乳、みたいな女性
イマドキの男の子も好きですしね(笑)

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ドロンさまファンにとっては、ドロンさまの出番は少ないし
ゲシュタルト崩壊 女の映像を延々と見させられるのは

よほどその筋が好きならともかく

ちょっと違和感があるかも知れません(笑)

 

 

【解説】allcinemaより
耽美派マンディアルグの小説『オートバイ』を撮影監督出身のカーディフが斬新なタッチを見せ演出した恋愛メロドラマ。ハイデルベルグの大学教授ダニエル(A・ドロン)と恋仲になったレベッカはレイモン(R・マットン)と結婚してからも、その関係を続けた。彼女は夫の寝ている間に起きだし、オートバイを駆ってダニエルの元へ馳せ参じるのだ。ハーレー1200で疾走する彼女の脳裏にはダニエルとの情事の光景が浮かぶ。その時、...