アリスのままで(2014)



「もう昨日のことは、まるで覚えていないわ
 明日のことは、なにもわからない
 私はいま、この瞬間を生きるしかないのよ
 それすらも、忘れてしまうのよ」

原題は「STILL ALICE」(じっとして動かない、そのまま)
原作は神経学の大学教授でアルツハイマーの研究している女性が
「大学教授をやっているのにアルツハイマーになったら
どうなるだろう?」
という想定のもとに書いた小説なのだそうです

主演のジュリアン・ムーアが第87回アカデミー主演女優賞ほか
数々の映画賞を受賞
なのでとてもリアル、アルツハイマーを知るのにいい題材だと思います
これから介護職の勉強を考えている人が見るのにもいいでしょう



50歳になる言語学者のアリス・ハウランドは、
医師である夫ジョンと成人した3人の子ども
裕福で充実した毎日を送っていました
しかしある日突然大学の授業中、単語が出てこなくなってしまいます

そして医師から若年性アルツハイマー病と診断されるのです


最初はあれ?変だな、と思うだけでした
ところがどんどんいろんなものを忘れていく
ジョギングをするとどこに行けばいいのか方向感覚がなくなる
ついには大学教授をクビになってしまい
夫は出張で家を出て行ってしまいます



この作品で知ったのは、若年性アルツハイマー病は
症状は緩和できるけれど進行は止められないこと
2年ぐらいで自分が誰かもわからなくなる
頭が良くて、頭を使っている仕事の人ほど進行が早い
アルツハイマーが発症するかどうか遺伝子検査でわかるということ



医者はまず子どもに連絡をして全員の
DNA検査をするように言います
そして妊娠中の長女に陽性反応が出てしまうのです
長女もいつかアルツハイマーを発症するという厳しい現実

家族のことも、今何をしているのかも
どんどんいろいろなことを忘れて行って
記憶だけでなく、味覚まで忘れてしまう

自分がそうなった時のための、自分あてのビデオレター
それは引き出しに入っている薬を1瓶全部飲んで、横になりなさいというものでした
だけどそれも何度見ても途中で忘れて、何度も何度も見直す
結局薬は飲めませんでした



この映画には、アルツハイマー症をテーマに
人間としての尊厳とは何か
記憶だけが人間なのか
名前だけが人間なのか
という深い問いかけがあるそうです

どんな病気であっても、人間の尊厳は失われるべきではない
ということでしょうか

とにかくリアルアルツハイマーを見る映画
ジュリアン・ムーアは年齢とともに
ますます演技に磨きがかかっていく予感がします




【解説】allcinemaより
エデンより彼方に」「マップ・トゥ・ザ・スターズ」のジュリアン・ムーアが、若年性アルツハイマーを発症した大学教授役で鬼気迫る演技を披露し、アカデミー主演女優賞をはじめ数々の賞に輝いた感動のヒューマン・ドラマ。徐々に自分が自分でなくなっていく恐怖と向き合っていく主人公の葛藤と、そんな彼女を支えていく家族の絆を描く。原作はリサ・ジェノヴァの同名ベストセラー。共演はアレック・ボールドウィンクリステン・スチュワート。監督は「ハードコア・デイズ」のリチャード・グラツァー&ワッシュ・ウェストモアランド。
 夫にも3人の子どもたちにも恵まれ、充実した日々を送る50歳の大学教授、アリス。ところがある日、講演中に普通の単語が出てこなくなったり、ジョギング中に道に迷ってしまったりといった物忘れが頻繁に起こるようになる。やがて診断の結果、若年性アルツハイマー病と宣告されてしまう。しかも遺伝性で、子どもたちにも発症のリスクがあると分かる。子どもたちにも動揺が広がる中、病気は徐々に進行し、ついには大学も辞めざるを得なくなるアリスだったが…。