原題 は「LA GRAINE ET LE MULET」(穀物の”種”、魚の”ボラ”)
クスクスとはデュラム小麦粉に水を含ませ
1mm大のそぼろ状にしたもの
発祥地の北アフリカから、中東、ヨーロッパ、南米まで
パンやお米とと同じくらい食べられている食材で
日本のご飯や、サフランライスのようですが
魚介類やトマトのソースと絡めるパスタなもの
61歳で漁船ドックをリストラされたチュニジア難民
スリマーヌは離婚した家族のサポートを受けて
クスクス料理専門の船上レストランを開業しようと計画します
別れた妻はクスクス料理の達人でした
チュニジア共和国とは、イスラムで公用語はアラビア語ですが
一夫一婦制でフランス語もよく使われるそうです
代表料理はクスクス
ホテルを経営する現在のスリマーヌの恋人ラティファと
スリマーヌを慕うその娘リムの心境は複雑
しかし資金も、融資のあてもなく
レストラン開業の許可を得るのに難航します
フランスでは飲食業の許可を得る条件がとても厳しいようです
そこでスリマーヌは家族で改造した船上レストランで
資金集めを兼ねたパーティを行い
役所の融資担当らも招き、クスクス料理をふるまおうと考えます
しかしパーティ当日、準備したクスクスの鍋が見つからない
どうやら運んで来た車からその鍋だけ下ろし忘れ
その車で長男マジドが(愛人に会うため)どこかに行ってしまったのです
携帯も繋がらない、スリマーヌはスクーターで出かけ
前妻に料理を作り直してもらおうとしまいますが前妻は不在
おまけにスクーターが悪ガキに盗まれてしまう
人間ついていないときは、とことんついていない
何をやってもダメなのです
そんな中、当然客は待ちくたびれるわけで
いつまでたっても出てこない料理にざわつき始めます
やはり見どころはここで登場するリムの渾身のベリー・ダンス
バンドの演奏にあわせて「アラビアンナイト」のような衣装で踊りだす
私もですが、イスラムの女性が露骨に肌を見せるという姿は
やはり注目を集めます
だけど、日本でいえば女性お笑い芸人のような体系で
激しく踊るたびに肉の塊が揺れるというリアル
でも若いからな
男性から見たら刺激的なのかしら
それでも料理はやってこない
汗だくになって踊り続けても料理は出ない
これにはなにかあると、重大さを悟り立ち上がったラティファは
家に戻り大急ぎでクスクスを調理しはじめるのです
最終的にパーティは成功したのか、開業許可はもらえたのか
スリマーヌ(主人公)はどうなったのか
謎を残したまま映画は終わります
希望は、本当に美味しい料理なら
人は数時間でも待てるということだけれど
私の場合は数時間待ったかいがあるほど
美味しい料理に今まで出会ったことがない
世の中のグルメ情報に何度踊らされたことか(笑)
レストランは開かれなかった、と思います
【解説】映画.comより
カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作「アデル、ブルーは熱い色」(2013)のアブデラティフ・ケシシュ監督が07年に手がけた作品。チュニジア系フランス人家族がレストラン開店に向けて奔走する姿を、緊張感みなぎるタッチで描いた。港町セートで暮らす60代のチュニジア移民スリマーヌは港湾労働者として働いてきたが、押し寄せるリストラの波に逆らえず退職を決意。古い船を買い取って船上レストランをはじめようとするが、開店パーティ当日、予定していたクスクスが届かず……。ベネチア国際映画祭で審査員特別賞など4冠に輝いた。日本ではアスティチュ・フランセ東京の「地中海映画祭2013」第2部(2013年10月20日・26日・27日)で上映された。