愛、アムール(2012)

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「用意は良いかい?」


「そうか 僕は食器を洗ってなかったね」


「全て片付けて さぁ行こう」

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原題も「Amour」
これがハネケの描く愛

 

登場人物は極めて少なく、夫の トランティニャン
妻のエマニュエル・リヴァ(Hiroshima mon amourと”amour”繋がり?笑)
たまに会いに来る娘のイザベル・ユペール
妻の教え子だったアレクサンドル(アレクサンドル・タロー本人)
トランティニャン の買い物を手伝う近所の夫婦

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妻が発作で右半身不随になり
夫は病院に入院させないと妻に誓いますが
だんだんと衰えていき、失禁するようにまでなります

 

それからどれくらい時が経ったのでしょう

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二度目の発作で妻は寝たきりになり
夫の顔を覚えているのか、そうではないのか
夫の言うことを理解しているのか、そうではないのか

いつでも気高くて美しかった妻
夫は妻の顔に枕を当てて窒息死させてしまいます

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ノンフィクションを超えるフィクション


エマニュエル・リヴァの演技がリアルすぎて

本物の介護の現場そのもの

そして、ともに生きていこうとする老々介護から
ともに死に向かおうとした瞬間


アヴィニョンの橋の上で」を歌うシーンが

静かな感動を呼ぶのです

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Sur le pont d'Avignon,
L'on y danse, l'on y danse,
Sur le pont d'Avignon
L'on y danse tout en rond.
アヴィニヨンの橋の上で 踊ろう 踊ろう
アヴィニヨンの橋の上で 踊ろう 輪になって


Les beaux messieurs font comme ca
Et puis encore comme ca.
立派な紳士はこうやって踊る
もっとこんな風にも踊るかも


Les belles dames font comme ca
Et puis encore comme ca.
綺麗な女性はこうやって踊る
もっとこんな風にも踊るかも


Les officiers font comme ca
Et puis encore comme ca.
将校さんはこうやって踊る
もっとこんな風にも踊るかも


Les bebes font comme ca
Et puis encore comme ca.
赤ん坊はこうやって踊る
もっとこんな風にも踊るかも

 

 

【解説】ウィキペディアより
白いリボン」に続き、2作連続でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したミヒャエル・ハネケ監督作。病によって体が不自由になった妻を、夫が献身的に支える夫婦の静かな老境、その愛の行く末を描く。出演は「Z」のジャン=ルイ・トランティニャン、「二十四時間の情事」のエマニュエル・リヴァ、「ピアニスト」のイザベル・ユペール
パリ都心部の風格あるアパルトマンに暮らすジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)とアンヌ(エマニュエル・リヴァ)は、ともに音楽家の老夫婦。その日、ふたりはアンヌの愛弟子のピアニスト、アレクサンドル(アレクサンドル・タロー)の演奏会へ赴き、満ちたりた一夜を過ごす。翌日、いつものように朝食を摂っている最中、アンヌに小さな異変が起こる。突然、人形のように動きを止めた彼女の症状は、病による発作であることが判明、手術も失敗に終わり、アンヌは不自由な暮らしを余儀なくされる。医者嫌いの彼女の切なる願いを聞き入れ、ジョルジュは車椅子生活となった妻とともに暮らすことを決意。穏やかな時間が過ぎる中、誇りを失わず、アンヌはこれまで通りの暮らし方を毅然と貫き、ジョルジュもそれを支えていく。離れて暮らす一人娘のエヴァ(イザベル・ユペール)も、階下に住む管理人夫妻もそんな彼らの在り方を尊重し、敬意をもって見守っていた。だが思い通りにならない体に苦悩し、ときに「もう終わりにしたい」と漏らすアンヌ。そんなある日、ジョルジュにアルバムを持ってこさせたアンヌは、過ぎた日々を愛おしむようにページをめくり、一葉一葉の写真に見入るのだった。アンヌの病状は確実に悪化し、心身は徐々に常の状態から遠ざかっていく。母の変化に動揺を深めるエヴァであったが、ジョルジュは献身的に世話を続ける。しかし、看護師に加えて雇ったヘルパーに心ない仕打ちを受けた二人は、次第に家族からも世の中からも孤立していき、やがてジョルジュとアンヌは二人きりになってしまう。終末の翳りが忍び寄る部屋で、ジョルジュはうつろな意識のアンヌに向かって、懐かしい日々の思い出を語り出すのだった……。