ある子供(2005)

 
どこにでもいるかもしれない、こんな若者
 
盗品を売ったり、引ったくりをして生活
しかも手に入ったお金は、無駄に使ってしまう
仕事に就く意味なんて見つけられない
労働の価値なんて分からない
 
出産を終え病院から退院してきたソニア
家に帰ってたら、彼氏で父親のブリュノが
勝手に部屋を友人に貸してしまい行き場所がありません
 
相変わらず盗みをしていて、簡易宿泊所泊まり
それでも18歳のソニアと20歳のブリュノは
その時は、どうにかなって楽しかったのです
 
ジミーと名づけた赤ちゃんを
ブリュノがお金のために売ってしまうまでは
 
「ある子供」というタイトルは
売られてしまうベビちゃんのことかと思いそうなのだけど
主人公のブリュノとソニアの事なのですね
 
子供が生まれても変われない男
子供が生まれて変わる女
 
ソニアはブリュノを許さない
怒ったソニアの赦しを乞うためにブリュノが起こす行動とは?
 
子どもをお金のために売るのは感心できません
だけれど里子は暴力で虐待や殺すよりはマシかもと
思いましたね
臓器提供の人身売買なら別問題ですけれど
 
ハッピーエンドではない結末だったけど
ラストは良かった
 
テーマは、たぶん「子供が、子供を産むということ」
そんな未熟な若者を見つめる
監督の、どこかやさしい眼差しを感じます
 
個人的には、このような社会不適応者に
正直、同感はできませんけれど
 
映画としては学びのある
かなりの良品なのではないでしょうか
 

 
【解説】allcinemaより
 「ロゼッタ」「息子のまなざし」などで知られるベルギーの実力派、ダルデンヌ兄弟が、カンヌ国際映画祭2度目のパルムドール大賞に輝いた社会派ドラマの傑作。若年層の失業率が20%に達し確かな未来を見出せない若者が急増しているというベルギーの社会情勢を背景に、大人になりきれないまま子供を産んでしまった若いカップルの運命を、厳しくも優しい眼差しで見つめつつ、抑制の中に鋭さを秘めた妥協のない演出で描き出す。主演は「イゴールの約束」のジェレミー・レニエ。
 20歳の青年ブリュノは定職にも就かず、ひったくりなどでその日暮らしの日々。やることなすこと行き当たりばったりで、思考回路もまるで子供のまま。そんなブリュノは、18歳の恋人ソニアが自分の子供を産んだというのに父親としての自覚を持つどころか関心を示そうとさえしない。そしてある時、ブリュノは深い考えもなしにその子供を売り捌いてしまうのだった…。