三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020)

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東大全共闘全盛期安田講堂闘争直後1969513

東大駒場キャンパス第900番教室における

三島由紀夫1000人以上の学生たちとの

伝説の論会を描いたドキュメンタリー

 

ナレーターに東出昌大起用しているのは

名前に東大が入っているから(たぶん 笑)

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三島由紀夫のことは軍服を着て切腹した有名な小説家

程度の知識しかなくて

エキセントリックで過激な思考の持ち主だと思っていたのですが

確かにそういう一面も伺わせるものの

実に穏やかで、品と育ちの良さは隠し切れない

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東大全共闘に単身で、ある意味命がけで挑んだ討論会だけれど

彼の学生たちを見る眼差しは暖かく、「敵」というより可愛い「後輩」

新しい時代の流れ、ムーブメントを決してけなすことはなく

自分の主義主張をユーモアや時にエロを交えながら

若者に「おじさん」の古い考えを率直に伝えます

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そんな三島氏を論破しようとするのが、全共闘の芥正彦氏

今でいう「ひろゆき」さんタイプというのでしょうか

にこやかで、飄々としながら

相手の言葉の帳尻をとり、確実に窮地に追い込む術を知っている

 

友だちにはなれないタイプだけど、赤ちゃん(女の子)は可愛い

母親と離れて、あんな場所に連れ出されても泣かないのは

普段から面倒を見ていて、子煩悩な証拠

彼も見た目や言動じゃわからない、本当はやさしい男なのだろう

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ただ討論そのものは一般論とはかけ離れた

超インテリ特有の知識をひけらかした屁理屈(失礼)の掛け合いで

哲学、文学、学術、それぞれの解釈を引用しているので

理解不能(私だけ?笑)

 

今は70代になった元「全共闘」や楯の会

「三島はこういうことを言っているんだ」など

わかりやすい解説のおかげで助かった(笑)

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右翼も左翼も、保守派も改革派も

進む道や行きかたは違うけど、目的地は同じ

世界中の若者が「国をよくしたい」という信念のもと戦った

それを無意味で馬鹿な行動にしか見えなくしたのは

マスコミが作り上げた虚構かも知れない

 

その証拠に、数年のうちに卒業して社会の一員となった

ゲバ棒にヘルメットに火炎瓶、コロナでもないのにマスク姿の

彼らの多くは立派な大人になってるんだから(笑)

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この論会の翌年、19701125

三島氏は楯の会隊員4名と自衛隊市ヶ谷駐屯地(現防衛省本省)で総監を監禁

バルコニーで自衛隊の決起(クーデター)を促す演説したあと

割腹(享年45歳)

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これには国と天皇を愛するあまりクーデターを起こししてしまう

「日本のいちばん長い日」を思い出すのですが

偶然にもこの3日前、「日本の・・」の原作者でジャーナリスト

大宅 壮一おおや そういち)氏も亡くなっているのですね

なにか関連があるのではないかと思ってしまいます

(調べる気力はない 笑)

 

どこまでカットするか、編集されているかが

ドキュメンタリーの見せどころですが

(そこのうまさはNHKにかなわない)

ひとつの昭和史として面白かったです

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ただ芥氏には東大の頃の寝起きスタイルでいてほしかった

なんで妙にカッコつけているんだよ(笑)

 

 

【解説】allcinema より

1969513日。天皇主義者を自任する天才作家・三島由紀夫は、血気盛んな東大全共闘の若者が待ち受ける駒場キャンパスの900番教室に単身乗り込み、1000人を超える学生を前に真摯かつ白熱の討論を繰り広げた。本作は、当時唯一取材を許されたTBSに残されていた貴重な映像をもとに、芥正彦をはじめとするその場にいた参加者へのインタビューと平野啓一郎内田樹ら識者の解説を織り交ぜ、伝説の討論会の全貌を明らかにしたドキュメンタリー。