MASH(Mobil Army Surgical Hospital)とは
米陸軍移動野戦病院のことで
戦場近くに設置された、いまでいう「ER」のようなもの
制作当時はベトナム戦争批判だと公開されないために
朝鮮戦争に舞台を変えたということ
ハイで、下品で、エッチ、そしてたっぷりのブラック・ユーモア
「FUCK」という言葉を初めて使った作品としても有名なのだそうです
ホークアイ(サザーランド)、デューク(スケリット)
トラッパー・ジョン(グールド)の3人は腕いい医師なのでしょう
負傷兵をひっきりなしに手術、数々の命を救っているようです
しかし日常では軍の規律を破り続け
お堅い人間にはイタズラをし、散々な目にあわせる
もちろんそれは、戦争と官僚主義への反発のメタファーなのですが
この「おふざけ」には、笑えるよりも
不快感を覚える方も多いのではないかと思います
気に入らないものを、懲らしめたり、いじめたりすることは
するほうにしたら快感かもしれませんが
差別やいじめにあったことのある人間が、この作品を見た場合には
もしかしたら怒りさえ覚えるかもしれません
ベトナム人や、南北分裂を憂いている韓国人が見たらどう思うのだろう
もし舞台が沖縄の米軍基地でも笑えるでしょうか
私の場合は、医大生による女性への集団暴行事件を思い浮かべました
「おふざけ」が、どんなに相手を傷つけ苦しめるのか考えもしない
しかしこういう、不快感を与える作品もまた
傑作には違いないと思うのです
これも戦争映画であり、社会の縮図
考えさせられることは多い
帰国が決まった時の、ホークアイとデュークの現実に戻った顔
それはおバカに、青春に終わりを告げた顔でした
重たいテーマを、ここまでさらりと粋に描いてしまうとは
さすがアルトマン監督の代表作のひとつ
この作品では無名だったという主演者たちも
みんな大物スターになりました
すごい映画には違いないと思います
【解説】allcinemaより