原題は「Fahrenheit 11/9 」
「119」はドナルド・トランプが第45代大統領が勝利宣言をした
「2016年11月9日」の意味
トランプ大統領に対する批判だけを描いているのではなく
(でも愛娘イヴァンカへの近親愛はムーアが言う通りキモチワルイ)
民意は無視され、富豪による富豪のための政治
労働者たちの不満、経済状況
トランプを当選させたアメリカ社会に鋭く切り込みます
これを見るとアメリカだけの問題ではなく
トランプ(ロシアゲート等)と大親友アベ・チャン(モリカケ他)も
同じベクトルが働いているようにしか思えない
ムーアはまず故郷のミシガン州で2010年に当選し
トランプの手本ともいえるスナイダー知事について説明します
知事に全ての権力を集中させ、貧困層が住むフリントという町の水道を民営化
水道水を湖から川の水に切り替え、浄化もせず鉛の混ざった水を供給し
人々は鉛中毒になり、細菌による疾病まで頻発します
しかし水質調査も、健康診断の結果も改ざんされ
オバマ大統領の水に口をつけるパフォーマンスには、住民たちもがっかり
(オバマも結局だな)
いつの間にか民主党は共和党と変わらない体質になり
国民の間に広がる政治家への不信と諦め
そんななかでも変化のため戦おうとする人々はいました
ウェスト・ヴァージニア州の元軍人は
地元の子どもたちの環境は、アフガニスタンやイラクより悪いと言う
さらに#MeToo運動を背景とした女性候補者による
“救世主”になることを願っているように見えます
ウェスト・ヴァージニア州では公立校教員と職員が全55郡で団結
(公務員が禁じられている)ストライキを決行し賃上げを勝ち取ります
フロリダ州パークランドの高校ではAR-15ライフル銃による銃乱射事件が起き
生徒たちは銃規制しない政治家を落選させる運動「命のための行進」を企画
全米700箇所以上、海外でも100箇所以上でデモが行われました
なのにいまだに半数近い国民がトランプを支持し
ウソの上にウソで塗り固めた男のほうが、信頼がおけると信じている
属国日本との驚くほどの相似形
かといって極端なリベラル派も嫌いなんだけど(笑)
最後まで一気に見せるムーアの演出力はさすがで
自分の信じる道をまっしぐら
政治に興味がない人でも、多少なり関心をもてるようにしている
パークランド高校の生存者、エマ・ゴンザレスさんが壇上で
犠牲となった友達を追悼する感涙のラストまで一直線に持っていく
彼女には環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんと似た
カリスマを感じました
【解説】allcinema より
ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」のマイケル・ムーア監督が、トランプ大統領を誕生させたアメリカ社会の混迷ぶりを解きほぐしていくドキュメンタリー。2016年11月9日、アメリカ大統領選でドナルド・トランプが勝利を宣言した。誰も予想できなかった驚きの結果だったが、マイケル・ムーア監督は数ヵ月も前にその可能性に言及、警鐘を鳴らしていた。そんなマイケル・ムーア監督が、なぜ支持率でも総得票数でもヒラリー・クリントンを下回ったトランプが当選できたのか、そのからくりをアメリカの特殊な選挙制度を通して明らかにするとともに、民主党に対してもその欺瞞を暴き出す一方、民主主義を再び市民の手に取り戻そうと立ち上がった人々が巻き起こす新たなムーブメントを追い、自分たちの未来のために何が必要かを訴えていく。