ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017)


原題は「ThePost(ザ・ポスト)」ワシントン・ポストのこと

 
大統領の陰謀(1976)は”ウォーターゲート事件(1972)を調査した
ワシントン・ポストのふたりの記者の手記を元にしたドラマですが
 
こちらはその前年の1971年、NYタイムズがスクープした
ベトナム戦争の内情をアメリカ国防総省が記録したトップシークレット
通称“ペンタゴン・ペーパーズ”の記事が政府の圧力で差し止められます
 

そこでアメリカ初の女性新聞発行人でワシントン・ポスト
キャサリン・グラハム(通称ケイ)は
NYタイムズが掲載しなかった残りの文書を、様々な圧力に負けず
記事として掲載する決断をするというもの
 
話としては「大統領の陰謀」のほうが後になりますが
絶対先に「大統領の陰謀」を見ていたほうがいい
でなければ、この作品のラストシーンが謎のままで終わります(笑)
 
 
熱烈な民主党支持者としても知られているスピルバーグ監督が
トランプ大統領就任後、「報道の自由」を盾に即席で製作したこの作品
もちろん報道は自由であるし、民のものであると思います
しかし同時に報道とは中立で公正でなければいけません
 
私ももちろんトランプ政権(同様アベ・チャン)の
やり方には賛成できませんし、何より税金の使い方にはもの申したい
だけど暗にトランプ大統領やアベ・チャンを批判するだけでは
ある意味”情報操作”、またはそれを見た人間を”洗脳”してしまう恐れさえある
 

アメリカの民主党共和党は大きく政策が違うといいます
そしておおげさに例えたなら共和党の支持者は
日本で言えば農家のような人たち
 
海外から安い農作物が入ってきたら、国産の農作物が売れない
あるいは価格破壊によって経営困難になると恐れているのです
そういう背景をしると一概に共和党の考えが悪いと断言できません
 

ペンタゴン・ペーパーズ”をリークした理由が
「嘘をつかれたから」「息子が戦争に行ったから」
という私的な感情に訴えるのもいいけれど
ジャーナリストの使命と姿勢を貫いて欲しかった
 
とはいえ、転んでもスピルバーグ(笑)
 
 
 
当時の活字印刷の再現はさすがで

活版の細かい植字作業巨大な輪転機が回り出した揺れで
記者が印刷が始まったことを知る記者

出来上がった新聞を手作業で束ねる、といった仕事ぶりがいいですし
 
編集主幹のブラッドリー(トム・ハンクス)の娘が
ちゃっかりレモネード売りで大儲けしたり(笑)
 
社運を賭けて決断するケイ(メリル・ストリープ)の立場を
ブラッドリーが妻の発言によって気付かされところにはっとさせられます
弁護士がしれっと意見を変える裁判もそれなりにイイ感じ
 

でも最後で、裁判所の階段を降りていくケイ
取り囲むのがすべて女性なのは、演出がミエミエやりすぎ(笑)
 
やはり、このての作品はもっと時間をかけて
慎重に脚本を練るべきだったのでしょう
 
もしかしたら政府の「書き換え」や「隠蔽」は
今のほうが多いのかも知れませんし
 
私たちは誰も”フェイク・ニュース”など知りたくもないのですから
 
 


 
【解説】allcinemaより

スティーヴン・スピルバーグ監督がメリル・ストリープトム・ハンクスを主演に迎え、時の政権に屈することなく言論の自由を守るために戦ったジャーナリストたちの矜持と覚悟を描いた社会派実録ドラマ。ニクソン政権下で機密文書“ペンタゴン・ペーパーズ”を公開し、ベトナム戦争の欺瞞を暴き出したワシントン・ポスト紙に焦点を当て、就任したばかりの女性発行人キャサリン・グラハムが、政府を敵に回し、経営危機を招く危険を冒してでも記事にすべきかという重い決断を下すまでの葛藤の行方を描き出す。
 ベトナム戦争が泥沼化していた1971年。ニューヨーク・タイムズベトナム戦争に関する政府に不都合な事実が記載された最高機密文書、通称“ペンタゴン・ペーパーズ”についてのスクープ記事を発表する。アメリカ中が騒然となる中、ニクソン政権は裁判所に記事の差し止め命令を要求する。タイムズが出版差し止めに陥る一方、出遅れたライバル紙のワシントン・ポストでは、編集主幹のベン・ブラッドリーが文書の入手に奔走する。やがて全文のコピーを手に入れたポストだったが、それを公表すれば裁判となって会社の将来を危うくしかねず、経営と報道のはざまで社内の意見は大きく二分する。そしてそんな重大な決断が、亡き夫の後を継ぐ形でいきなりアメリカ主要新聞社史上初の女性発行人となったキャサリン・グラハムに託されたのだったが…。