これが私の人生設計(2014)

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原題は「Scusate se esisto! 」(申し訳ありませんが私は存在します!)

イタリア映画がジェンダー差別を描くとこうなる

実在するイタリアの女性建築家、グエンダリーナ・サリメイの

ローマにあるコルビエール(長さ1キロの住宅団地)

再開発のためのプロジェクトがモデル

 

アメリカの"MeToo運動とは違い、あくまで前向きで明るいし

ヒロインと支えあうゲイ男性の、変態加減もちょうどいい

(”奴隷72”が最高 笑)

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幼いころから建築家としての才能を示し

世界各国で学位を取り活躍すしていた女性建築家のセレーナ・ブルーノは

新たな仕事を求めて故郷のイタリアに戻ますが

イタリアの建築業はいまだに男尊女卑で、女性というだけで仕事はありません

貯金は尽き、バイクは盗まれてしまうし、ついにレストランでアルバイト


しかし世界各国で仕事をしたのが役に立ち

外国人観光客に英語や日本語でメニューの紹介をするセレーナ

その仕事ぶりがイケメンオーナーのフランチェスコの目に留まり

ふたりの距離は縮まり、ついにデートに誘われるのですが

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そこはゲイ・バーで、ステージに上がり上半身裸で踊りだすフランチェスコ

ゲイなのになぜ優しくしたの、と怒り出すセレーナ

一生懸命なキミをほっとけなかった、とフランチェスコ

イタリア男はゲイだろうが、なんだろうが、イタリア男だ(笑)


でも確かに、まっすぐで努力家なセレーナは可愛い

巨大公営住宅のリフォーム建築案の一般募集に

(盗まれたバイクを探している時に知り合った)住民たちから

女性だけの談話室や、学生が勉強できるスペースが欲しいと聞きます

そしてその巨大公営住宅の共用部分を、今までのコンクリート色ではなく

明るい緑色にしようと思いつきます

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設計図を描くのに忙しく、レストランを休んだセレーナを心配して

彼女の屋根裏の狭い部屋にやって来たフランチェスコ

自分のアパートをシェアしようと提案してくれます

でもそこはたびたびフランチェスコの若い恋人、ニコラがやってきて

寝室からスゴイ”喘ぎ声”が聞こえたり


恋人のほかにも”買った男”が訪ねてくる部屋でした

私はこういうシーンやコスプレが大好物なのですけど(笑)

 

ジェンダー差別のある人(特に男性)にとっては

不快で、気持ち悪く、我慢できないのでしょう

同性愛者や独身女性に対して、子どもを産めない非生産的な人間だと決めつける

(そんなオマエは何を生み出したのか言ってみろ)

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公営住宅のリフォーム建築案のコンペに来ったセレーナ

まさか女性が建築家だと思わない面接官は

セレーナ・ブルーノを、ブルーノ・セレーナ(男)だと勘違いしてしまう

プロジェクトを成功させたいセレーナは

ブルーノは出張で大阪にいるので、代わりに面接に来た秘書と嘘をつきます

 

そこでフランチェスコにブルーノになってもらい

チャットで指示するからリモート会議で替え玉を演じてとお願い

話は噛み合わないうえ、恋人が金の招き猫を突然出したり

おまけにスーツ姿の下半身は裸だし(笑)

ただひとり、面接で一緒だった”もやし男”ピエトロくんだけが

その異変に気付きます

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一方でフランチェスコは離婚した妻から

何を聞いても”ふつう”としか答えない

息子のエルトンを2週間預けられてしまいます

だけどエルトンは父親がゲイだと知らない

ホモグッズを隠し、同居するセレーナと恋人のふりをする


そこにセレーナの母親と(訛りで言葉が通じない)叔母が訪ねて来て

フランチェスコの恋人ニコラまでやって来て

エルトンに料理やらデザートをふるまい、てんやわんや

フランチェスコとセレーナは冷や冷やで気が気でないものの

やっと笑顔になるエルトン

本当は楽しいことが好きだったんだ、パパに甘えたかったんだ(笑)

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セレーナのリフォーム建築案が通り、プロジェクトが成功しかけた時

請負業者の社長が、緑の共用部分はいらない

そこにショッピングモールを作ると言い出しました

 

それにはセレーナもキレた

そこには住民の希望も、公募の意味もない

救いようのないバカ”だと

自分こそが計画の発案者のブルーノだとカミングアウトます

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そうして妊娠していることを隠していた女性も

社長と同じサッカーチームを応援してゴマをすっていた男性も

実はフランチェスコと同じゲイ仲間も

みんなでカミングアウトしていく姿は爽快

 

一番信頼していた秘書ミケーラににまで

訴えるなら不正を暴露します」と言われ

セレーナの建築案を認めざる得なくなった社長

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悪しき風習を断ち切っセレーナの生まれ故郷の山村で、母と伯母の料理に舌鼓を打つ

恋人になった?”もやし男”ピエトロと、フランチェスコたち

 

映画としては冒頭からテンポよく全体的にポップで楽しい

ストーリーも、ジェンダー問題に自ら前進していていくので

見ているこちら側まで前向きな気持ちになれ

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特に働く”アラサー女性”におススメしたい

だだしゲイの男友達が欲しくなるのにはご注意を(笑)

 

 

【解説】allcinema より

世界で活躍したイタリア人女性建築家が、いまだ男社会のイタリア建築業界を相手に悪戦苦闘しながらも、ポジティブに奮闘していく姿を描いたコメディ・ドラマ。主演はパオラ・コルテッレージ。監督はその夫でもあるリッカルド・ミラーニ。
 建築家として世界を舞台に活躍してきたセレーナ。いまだ独身の彼女は人生を見つめ直し、新たな飛躍を誓って故郷ローマに戻る。ところが、男性中心のイタリア建築業界では思うような仕事に就けず、貯金も底をついてしまう。仕方なくレストランでウェイトレスとして働き始めたセレーナは、優しく接してくれるイケメン・オーナーのフランチェスコに心惹かれる。しかし彼がゲイと分かり、あえなく失恋。そんな中、公営住宅のリフォーム建築案の公募があると知り、男と偽って応募したところ、みごと採用されてしまうセレーナだったが…。