家族ゲーム(1983)

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公開された年の映画賞を総なめ

今でも名作だとか、森田芳光監督の最高傑作と称えられている怪作

 

ストーリーそのものは成績の振るわない中学三年生の息子のため

両親が大学生の家庭教師を雇い、見事進学校に合格するという単純なもの

ですが、サクセス感は全くありません(笑)

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モデルは受験戦争、父や兄への劣等感と学歴コンプレックス

家庭内でのコミュニケーション不足が原因と言われた

「神奈川金属バット両親殺害事件」(1980

 

事件はうろ覚えだし、原作も読んでいないし

森田監督の意向もわかりませんが

大人になって私が見た感想は”発達障害”を描いた映画

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テスト中に騒いだり、仮病を使ったり、なにかと問題行動を起こし

クラスでは虐められ、意味もなくニヤニヤ笑い

ジェットコースターに執着している主人公

 

成績優秀で有名高校に進学したもののボりがちで

タロットにハマり黙々とひとりで占いをする兄

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常に植物図鑑を持ち歩き、喧嘩が強い

三流大学7年生(ほとんど大学には行っていない)の家庭教師

 

それに兄弟の両親含め、登場人物は全員何かしらの「こだわり」を持つ

変わり者ばかりなのですが

そんな「こだわり」の強い発達障害者に

特に顕著に表れるのが「食へのこだわり」

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横一列に並んだ食卓、食器がぶつかる音、咀嚼(そしゃく)音

目玉焼きは半熟、黄身をチューチュー吸うのが日課の父親

結婚して何年にもなるのに、そのことに気付いていない母親

その母親は、おかずは必ず一度ご飯の上に乗せてから食べる

飲み物は一気に飲み干さずにいられない、だけど豆乳だけはストローな家庭教師

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それぞれが理性を保つために持つ「こだわり」

そのバランスが万が一壊れてしまったら

何が起こるかわからない緊張感

 

そして、こういう言い方をしたら人権保護団体や

発達障害者のいる家族からお叱りを受けてしょうがないけれど

この”しつこさ”は正直「気持ち悪い」

少年が学校で虐められてしまうのもしょうがない

一歩下がって客観的に鑑賞しなければいけません

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唯一の救いは少年が精神的に強いこと

いくら虐められて酷い目にあっても

それをバネにしてきっちり仕返しします

勉強も頑張って、晴れて兄と同じ進学校にも合格(知能は高い)

一方のいじめっ子は不合格、私立に進学することになり万々

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しかし合格祝いの食事の席で、学歴志向の父親の発言にキレてしまう家庭教師

野菜サラダをばらまき、マヨネーズを絞って振り回す

発達障害者は生野菜が得意でない人が多い)

やがて乱闘になり食卓はメチャクチャ

そうして家庭教師は家族ひとりひとりに断罪(有罪判決)を下します

(そういう家庭教師も何様なんだか)

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ラストはヘリコプターの騒音の中、睡魔に襲われ

昼寝してしまう兄弟と母親

 

たぶん騒音は報道ヘリコプターで、近所で大きな事件があったということ

それは将来、このエゴイズムな家族にも

降りかかるかも知れない暗雲だけど、どうでもいい

自分が興味のある音以外は、耳に入ってこないのだから(または音に敏感)

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たとえ問題行動や、障害があったとしても

誰にでも本来持っている何かしらの才能があるのだから

それを親の見栄とか願望で潰しちゃいかんよ

どうして10代で結果を求める

大器晩成と思えばいい

 

なぜ私がここまで言うのか

それは私も相当な変わり者だから

(大器晩成ではなかったがな 笑)

 

 

【解説】allcinema より

息子の高校受験のためにと雇った風変わりな家庭教師がやって来たことで一家に巻き起こる騒動を描いた傑作ホーム・コメディ。「の・ようなもの」の森田芳光監督が、現代家庭の抱える問題をシュールなタッチでユーモラスに描く。横一列に並んでの食事シーンなど斬新な表現手法が話題を呼んだ。出来のいい兄とは反対に、問題児の中学3年の弟・沼田茂之。高校受験を控えて、家庭教師としてやって来たのは三流大学の7年生でなぜか植物図鑑を持ち歩く吉本勝という奇妙な男だった……。