15時17分、パリ行き(2018)

 
 
 
「人には必ず物語があり、それを語らなくてはならない」
 
 
アメリカ人の幼なじみ3人組が、旅行先でテロを阻止する
「ハドソン河の奇跡」も「アメリカンスナイパー」も
リアルかつ地味な英雄ものでしたが
それよりも更に上をいく、物足りないほど地味な現代の英雄でした(笑)
 
興行だの、CGや派手なアクションだの、美男美女だの
今の映画の製作基準全てから、離れていこうとしている
そして、実話に基づく本人出演の再現映像という企画がすごい
演技というよりも追体験は、これ以上ないリアリティ
 
これができるのは、イーストウッドだからこそ
自分の撮りたい映画を撮れるということは
世界中の映画監督から羨望の眼差しを受けているに違いないと思います
 
 
 
 
「お前はできないのではなく、やらない」
 
 
アレクスペンサーはキリスト教私立の高校に通い
学校では浮いていていじめられっ子
運動神経も成績もよくないのでしょう
 
発達障害だ、シングルマザーの子は問題児だと
母親たちはしばしば呼び出され、注意されていました
そんな彼らは、同じく問題を起こし校長室に呼ばれていた
アンソニーと出会います
 
スペンサーは超がつくほどのミリタリーヲタク
(スペンサーの部屋に貼ってあるのは「硫黄島からの手紙」(2006)の
 ポスターという凝りよう 笑)
3人はサバイバルゲームに夢中になり
アンソニーが転校してもずっと親友のままでした
 
 
 
 
やがて成長したスペンサーは地元のスムージーショップでアルバイト
そこに客として来た海兵隊のリクルーターと会話したことがきっかけで
空軍のパラレスキュー部隊を、人生で初めて本気になり目指しますが
視覚障害で合格することができませんでした
 
他の部隊に入るものの、そこでも不器用さとトロさが災いして落第
ついには海外駐在となります
 
 
アレクもまた入隊し、アフガンにいました
スカイプで、ふたりは次の休暇に
アレクのドイツ人のガールフレンドに会いに行く約束をします
そして大学生になったアンソニーも誘い、ヨーロッパ旅行が決定します
 
 
 
 
イタリアは楽しそうだなあ
でもアムステルダムはもっと楽しそうだなあ()
 
自撮り棒でめっちゃ写真撮りたがるとこが
イマドキの若者らしくて可愛いい
そして1517分発パリ行きの高速鉄道タリスに乗車するのです
そして偶然にもテロリストと遭遇してしまうのです
 
 
20158
オランダ・アムステルダム発、パリ行きで発生した「タリス銃乱射事件」
 
 
 
 
勇敢にも、偶然その場に居合わせた乗客のおじさまと共に
身体ひとつで武装したテロに立ち向かうのです
 
簡単に見えても、決して誰にでも出来ることではありません
誰一人、命を落とすことはなくテロを阻止します
これこそ真に賞賛に値する行動
 
 
 
 
 
フランス大統領のスピーチがいいですね
胸に刺さります
 
これは87歳になるイーストウッド監督の
作為性のないリアルな映画への挑戦
 
そしてこの作品にもまた
監督からの限りないアメリカへの愛国心が感じられました
 
 

【解説】allcinemaより
アメリカン・スナイパー」「ハドソン川の奇跡」の巨匠クリント・イーストウッド監督が、2015年にフランスの高速鉄道で発生した銃乱射テロ事件で、犯人を勇敢に取り押さえて大惨事を阻止したアメリカ人青年3人の英雄的行為を映画化した実録ドラマ。幼なじみの若者アンソニー、アレク、スペンサーの3人が、旅行中に遭遇した無差別テロにいかにして果敢に立ち向かうことが出来たのか、その知られざる真実の物語を、彼らの子ども時代からの半生と、緊迫の事件のリアルかつ詳細な再現を通して明らかにしていく。また3人の主人公のほか、事件が起きた列車に偶然乗り合わせていた乗客たちの多くが本人役として本作に起用され、劇中で自らを演じるという前代未聞のキャスティングも話題に。