原題も「Lost Command 」(失望した兵士)のアメリカ/フランス合作映画
ミシェル・モーガン、クラウディア・カーディナーレという豪華なキャスト
アメリカでは戦争映画の中でも人気が高く
フランスでも1966年の興行成績は第5位
(1位は「La Grande Vadrouille」”ラ・グランド・ヴァドルイユ” )
にもかかわらず知らないタイトルでした(ミリタリーファンのくせに!笑)
1954年、フランスの植民地であったベトナムでの
ディエンビエンフーの戦い(共産主義のヴィエットミン軍による攻撃)
での敗北の瞬間と
その後、貧しい農民出身ながらアルジェリア戦争で英雄になった
パラシュート落下部隊部隊長が主人公の話
退役した貧しい農民(プチ犯罪者)出身の部隊長が
指揮官としての実力はもちろん、力のある女性や戦友からの協力を得て
アルジェリアのテロを制圧することに成功、したというのが主なストーリー
モデルは海兵歩兵パラシュート連隊の前身であった部隊を率いた
フランス領インドシナの実際の司令官マルセル・ビガード
その後のフランスの「型破りな」戦争思考に支配的な影響を与えた
と考えられている有名な軍人
とはいえ、第二次世界大戦以降の戦争の背景がイマイチわかっていないので(笑)
のめり込むことはできませんでしたが
勝つためには容赦はしないし汚い手も使う
手の届かない女を手に入れるために出世する
戦場での英雄を決してヒーロー扱いしない手堅い作りには好感もてます
また普通の庶民がマッチ箱を用いた小型爆弾を作ったり
自爆テロを扱った先駆けともいえる作品かも知れません
ディエンビエンフーの戦いの最後の瞬間
ラスペギ中佐(アンソニー・クイン)率いる窮地にやってきた
パラシュート部隊のひとり、歴史学者で記録係のインテリ大尉
エクスラビエ(アラン・ドロン)
考え方や行動のスタイルは違うけれど
軍人として特別な魅力をもっているふたり
インドシナから帰国し退役したラスペギ中佐は
戦死した少佐の未亡人、クレアフォン伯爵夫人(ミシェル・モーガン)に
指揮官に復職し軍事的目的を果たしたいと会いに行きます
そして伯爵夫人のコネで、アルジェリアのメリーズ将軍の下
パラシュート第10連隊の指揮を与えられることになります
旦那さん死んでからすぐ、ほかの男と寝ても不謹慎にならないのが
フランス文化のいいところ(笑)
「将軍になって迎えにくる」と誓うアンソニー・クインが
少年のようで可愛い
ラスペギ中佐はベトナムでのかっての仲間を集めます
キャプテン・ボワフェレス、ディア医師、そしてエクスラビエ
だけどアラブ人将校ベン・マヒディ (ジョージ・シーガル) だけとは
連絡がつきません
マヒディの弟は(フランスからの)「独立」という落書きで警察に射殺され
そのうえバス会社を営んでいた裕福な実家は
市政側のライバル会社によって放火され、焼き払われてしまいます
弟と両親を失ったマヒディはアルジェリア国民解放戦線(FLN)の反乱軍に加わり
軍隊で得た知識をもとにゲリラ指導者になっていました
そしてマヒディの美しい妹ミシェル(クラウディア・カルディナーレ)が
娼婦(のふりをしてスパイ活動やテロ支援)と
軍人から非難されているところに遭遇したエクスラビエは
上官としてミシェルを擁護し、しかも彼女に恋をしてしまいます
多すぎず少なすぎず、女性の使い方は上手い
しかも相手は女王陛下か伯爵夫人のミシェル・モーガン様と
イタリアのセクシー大女優、CC様だ
このふたりをいざ目の前にして、惚れない男がいたら出てこい(笑)
やがて戦況が厳しくなるにつれ、仲間たちは殺され
己の感情を抑え敵にも敬意を払うという騎士道は失われ
しかも苦しませながら殺すという、恐怖で弱者を支配しようとする
復讐心と悪知恵で、無関係な罪のない庶民まで大量殺戮してしまう
エクスラビエはそれを愁い(女は死ぬほど殴ったがな)
ラスペギは行き過ぎた行為を間違いだと承知しながら
勝つためにはありうる判断だと(戦犯を)見逃すのです
晴れ晴れしく軍事表彰されるアンソニー・クインを見た後
アラン・ドロンはどこに向かったのか
それぞれ観た人の答えはあるでしょうが
ほぼ99%はクラウディア・カルディナーレを探す旅に出たと
思ったことでしょう
【解説】allcinema より
インドシナ戦争後に新任地へついたフランス軍将校が、かつての戦友との哀しき再会や部下の宿命的悲恋を目の当たりにしながら非情に任務を全うしていく姿を描いたドラマ。
インドシナ地域でゲリラ部隊と激闘を繰り広げたフランス軍パラシュート部隊の将校ラスペギイ。彼はその戦争終結後、フランスへ帰還するも、ほどなくしてアルジェリアで新