トリプルクロス(1966)

「言い残すことはないか」
「楽しい人生だった」

 

原題も「Triple Cross」(トリプルクロス)

トリプルクロス(XXX)とは主人公が送信していたモールス信号XXX

もうひとつの意味が、ドイツ、イギリス

そして何より自分のために働いていたということ

テレンス・ヤングだけに?(笑)

「007」(サンダーボール 1965)の二番煎じともいえる

ユルユルな、お調子者で女好きのスパイものですが

特筆すべきは豪華な国際俳優たち

ドイツ軍将校に ユル・ブリンナー、 ゲルト・フレーベ、ハリー・メイエン

対するイギリス軍将校にはトレバー・ハワード

ボンド・ガールならぬⅩガールは

クローディーヌ・オージェとロミー・シュナイダー

ふたりの美女に愛される二重スパイ、クリストファー・プラマー

でも実は彼、とんでもない曲者

ゼリグナイトギャングを名乗る

金庫破りのエディ・チャップマン(クリストファー・プラマー

リゾートでのんびりバカンスしようとジャージー島へ向かったのが運の尽き

官憲に捕まり投獄されます

その間、ナチスドイツがフランスを占領

チャップマンは釈放とひきかえに

ナチスの秘密情報部に協力すると訴え

ドイツ国防軍のスタインハーガー大佐(ゲルト・フレーベ)と

女スパイのヘルガ伯爵夫人(ロミー・シュナイダー)が面談します

レジスタンスの女闘士ポーレット(クローディーヌ・オージェ)が収監されている

女性刑務所に潜り込みロマンチックな夜を過ごして捕えらえ

(看守との遊びに夢中になっている子猫が可愛い)

ドイツ軍はチャップマンの処刑を偽装したあとフランスに本土に密航させ

グルーネン大佐(ユル・ブリンナー)の部下となり

スパイとしての訓練を受けます

フランツ・グラウマンという偽装身分を与えられたチャップマンは

フランスのレジスタンスを次々と検挙

グルーネン大佐の信頼を得ます

さらに同僚の伯爵夫人とも親しくなりますが

元警察官のスタインハーガー大佐だけはチャップマンを疑っていました

チャップマンは最初のスパイ活動の任務で

イギリスにパラシュート降下を命じられますが

降下した場所はイギリスではなく、彼の忠誠心を試すものでした

 

その後、実際にイギリスに降下したチャップマンは

すぐに降伏しイギリス当局(MI5)に直行

恩赦と引き換えに(そのうえ報酬と勲章まで!笑)

英国の二重スパイとして活動すると申し出ると

情報部将校(トレバー・ハワード)はそれを受け入れます

チャップマンがドイツ軍から無線で

「ヴィッカース(航空機工場)を爆破せよ」と命令されると

イギリス軍はチャップマンが任務を達成したと信じ込ませるため

ダミーを使い偽の爆発を起こすのでした

パリに戻ったチャップマンは

任務を達成したと思い込んでいるドイツ軍から鉄十字勲章を与えられます

一方でチャップマンはパリでポーレットと再会し

レジスタンスの協力を受けます

次の任務はV-1バズ爆弾)による人口が密集するイギリス市街への攻撃でした

チャップマンはドイツ軍に誤った情報を流し

イギリス軍は攻撃の回避に成功したのです

1945年5月8日、VEデードイツ軍の無条件降伏を祝う日

チャップマンは恩赦を与えられ、人々はお祭り気分に浮かれていましたが

チャップマンが見つめていたものは、バーのカウンターの奥にある金庫でした

エディ・チャップマンは実在した二重スパイで

実際に婚約者が同時にふたり、それぞれの戦地にいたそうです

しかしチャップマンは戦後ふたりの婚約者を捨て、違う女性と結婚

さらに金に尽き、再び犯罪に手を染めるようになったうえ

お金のために回想録「The Real Eddie Chapman Story を出版(本作の原作)

映画が現実に大まかに基づいて作られていたため

チャップマンはその内容に失望したそうです

私的にはもっとクソ野郎でよかったと思いましたけど(笑)

 

 

【解説】映画.COMより

フランク・オーエンの小説『エディ・チャップマン物語』をレネ・ハーディが脚色、「007/サンダーボール作戦」のテレンス・ヤングが監督したスパイ・アクション。撮影はアンリ・アルカン、音楽はジョルジュ・ガルバランツが担当した。出演は「サウンド・オブ・ミュージック」のクリストファー・プラマー、「王様と私」のユル・ブリンナー、「パリは燃えているか」のゲルト・フレーベ、「007/サンダーボール作戦」のクローディーヌ・オージェほか。総指揮はフレッド・フェルドカンプ、製作はジャック・ポール・ベルトラン。

1967年製作/アメリ
原題:Triple Cross
配給:ワーナー・ブラザース映画