2023-01-01から1年間の記事一覧

ぼくの伯父さんの休暇(1953)

原題は「Les Vacances de Monsieur Hulot」 (ユロさんの休暇) コメディアンでもあるジャック・タチの当たり役「ユロさん」を 自作自演したシリーズの第1作目 「ミスター・ビーン」の ローワン・アトキンソンは この作品の影響を受けているそうです 特に話…

ハードエイト(1996)

「私にも同じく親切に」 原題の「Hard Eight」は、クラップス(Craps)というサイコロゲームでの 「4のゾロ目」という意味のカジノ用語 ポール・トーマス・アンダーソンの長編デビュー作ということですが PTAでも、たぶんいちばんわかりやすい なぜなら登場人…

インヒアレント・ヴァイス(2014)

原題は「Inherent Vice」(保険用語で「内在する欠陥」という意味) 原作はトーマス・ピンチョンの同名の小説 欠陥だらけのキャラクターと、意味不明なジョークで 笑えるところも、面白いところもあるし 目立たない長回しにタイトなクローズアップ 絶妙な照…

スノーデン(2016)

原題は 「Snowden」 NSA(アメリカ国家安全保障局)および 中央情報局 (CIA) の局員だった エドワード・スノーデンが 国際的監視網(PRISM)による違法情報収集を 「ガーディアン」誌に暴露しロシアに亡命した事件 2013年、香港のホテル スノーデン(ジョゼ…

草原の実験(2014 )

原題は「Испытание」(テスト) セリフの一切ない無言劇 雄大な風景、草原にポツンと一軒家 美しい娘、無邪気な青年 ラスト5分でタイトルの意味がわかります なぜか私は、子どもの頃読んだ「スーホの白い馬」という 絵本を思い浮かべました 遊牧民の少年、ス…

彼女が目覚めるその日まで(2016)

原題は「Brain on Fire」 (燃え上がる脳) 原作はスザンナ・キャハランのベストセラー自伝 「Brain on Fire: My Month of Madness」(日本語題「脳に棲む魔物」)で 自己免疫疾患「抗NMDA受容体脳炎」という 原因不明の難病に侵された女性の 病名がわかり回…

過去のない男(2002)

原題は「Mies vailla menneisyyttä」(過去のない男) 暴漢に襲われ記憶喪失になった男が、親切な人々に助けられ 救世軍の女性と恋に落ちる 最後ふたりは結ばれ、暴漢たちも成敗を受けるという 難しいところはひとつもない(笑)ハッピーエンドもの 舞台はヘ…

上海から来た女(1947)

原題は「The Lady from Shanghai」 これを「見る」映画というんでしょうね ペン画のような明晰な光と影 上に下にと視点を移動させる撮影スタイル 新しい視覚的表現の可能性の発掘 その後の多くの作品に影響を与えたことがわかります 最初のシーンから痺れる …

バージニア・ウルフなんかこわくない (1966)

原題は「Who's Afraid of Virginia Woolf?」 トニー賞受賞の舞台を映画化したマイク・ニコルズ監督デビュー作 バージニア・ウルフとは、イギリスの女性小説家のことで (「めぐりあう時間たち」(2002)でニコール・キッドマンが演じた) 「バージニア・ウル…

ワイルド・アット・ハート(1990)

原題も「Wild at Heart」(真の野生) 原作はバリー・ギフォードの「ワイルド・アット・ハート: セーラーとルーラの物語」 リンチはこの映画のテーマのひとつは「地獄で愛を見つける」ことで 結末は「幸せな」と述べたそうですが 最初の脚本は、セイラーがル…

何かいいことないか子猫チャン(1965)

「光の加減でイケメンに見える」 原題は「What's New,Pussycat? 」(プッシーキャット、最新情報は?) ご存じpussyは女性器を表す意味で Pussycatとは男性が狙っている女の子を示すスラングだそうです 男性のセックス依存症のコメディ映画を企画していた …

メタモルフォーゼの縁側(2022)

夫を2年前に亡くし75歳になる雪(宮本信子)が たまたま書店で購入した漫画、BLにドはまり 書店でバイトする、BL好きの高校生のうらら(芦田愛菜)と仲良くなり 同人誌を作ったり 推しの漫画家コメダ優(古川琴音)のサイン会に行くようになる というもの 単…

サンクチュアリ -聖域-(2023)

「その足は逃げるためにあるんじゃない」 「土俵を踏む為にあるんだ」 評判がいいのもわかります ほんと、よく作ったなって感じ 見どころはやはりリアルな稽古や取り組みのシーン 力士役が本物にしか見えません 中には相撲どころか演技の経験すらない主演者…

ブギーナイツ(1997)

原題も「Boogie Nights」 70年代のポルノ映画界の栄枯衰勢と 巨根だけが自慢のポルノ男優のおバカな話と 麻薬に溺れ落ちぶれていく姿を描いているのですが(笑) 一歩間違えばこの映画自体がポルノ映画になりそうなものを よくうまくまとめたものです しか…

ONE PIECE(ワンピース)シーズン1 (2023)

尾田栄一郎原作のジャンプコミックスは100巻以上 テレビアニメは1000話超えの「ONE PIECE」の「イーストブルー編」を Netflixが全8話で実写化 尾田栄一郎本人が総括プロデューサーとして参加 南アフリカやスペイン、メキシコなどに巨大セットを作り 1話当た…

マグノリア (1999)

「誘惑してねじ伏せろ」 「イチモツを敬え」 原題も「Magnolia」(マグノリア) マグノリアとはアメリカ南部を象徴する木蓮の花のことですが ここではポール・トーマス・アンダーソン(PTA)監督の故郷 ロサンゼルス郊外サンフェルナンド・バレーの 「Magnol…

トリプルクロス(1966)

「言い残すことはないか」「楽しい人生だった」 原題も「Triple Cross」(トリプルクロス) トリプルクロス(XXX)とは主人公が送信していたモールス信号XXX と もうひとつの意味が、ドイツ、イギリス そして何より自分のために働いていたということ テレン…

シャドー(1982)

原題は「TENEBRE SOTTO GLI OCCHI DELL'ASSASSINO」 (影‐殺人者の目の前で) ひとめでダリオ・アルジェントとわかる 人間の隠れた悪性の焦点を当てた エロティックな殺人スリラーですが なんと、アルジェント自身がアメリカで遭った ストーカー行為や殺人予…

殺しのドレス(1981)

原題の「Dressed to Kill」(殺すための服装)とは (パーティなどで)異性の気を惹くためセクシーに着飾ることで 女性が男性を悩殺する、というニュアンスがあるそうです シャワーで襲われる夢に始まり 美術館からエレベーターに至る序盤がとにかく最高 い…

コールガール(1971)

原題は「Klute」(クルート=主人公である警官の名前) ジャンルとしてはサスペンスものですが 犯人探しのプロセスが単純で、種明かしもすぐにわかります 後半は悩める娼婦と孤独な警官の恋物語ですが、中途半端(笑) だけど、クールと可愛いらしさが入り混…

帰らざる夜明け(1971)

原題は「La Veuve Couderc」(未亡人クーデルク) カミュの「異邦人」の主人公 ムルソーの後日譚を思わせるようなストーリーでしたね ムルソーは母親の葬儀で涙を流さなかったせいで 人間味のかけらもない冷酷な人間だと非難され さらに友人のトラブルでアラ…

離愁(1973)

原題は「Le Train」(列車) ロミー・シュナイダー主演作の中でも特に人気で 評価が高いですね 1940年フランス北西部、ドイツ軍の攻撃から逃れるための 疎開列車での出会い それから3年後 男は警察(フランス警察であるが、ナチスの秘密警察下)に呼び出され …

ピアニスト(2001)

原題は「La Pianiste」 原作は「ポルノ作家」などとして非難されたオーストリアの エルフリーデ・イェリネク(2004年ノーベル文学賞受賞)の 「Die Klavierspielerin」(ピアニスト 1983) 賛否両論も当然の作品とは思いますが いままでにないマゾヒズムの解…

アメリカの影(1959)

影=黒人=人種差別 影(私)、に居場所はあるのか 尊厳はどう守るのか 原題は「Shadows」(影達) ジャズの即興演奏にインスパイアされ、即興的演出で作られたという インデペンデンス(独立)映画の父、ジョン・カサヴェテスのデビュー作 ニューヨークでの…

夕なぎ(1972)

原題は「Cesar et Rosalie」(セザールとロザリー) ひとりの魅力的な女性をふたりの男が取り合ううちに やがて男同士の友情が芽生えていく・・・というもの クロード・ソーテは男女の三角関係よりむしろ ホモソーシャル(対女性やゲイでない、男性間の親密…

すぎ去りし日の……(1970)

原題は「Les Choses de La Vie」(人生の選択) 働き盛りの中年男が、長年つれ添った妻と若い愛人の間を フラフラする話なのですが ロミー・シュナイダーは自身の主演作のなかで 本作が「もっとも好きな映画」と言っていたそうです オールバックにまとめた栗…

HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ(2018)

「言わないで 夏が終わってもまだ言いたかったら 言って」 原題も「Hot Summer Nights」(熱帯夜) ここ数年注目され続けているA24の制作 といっても、中身はびっくりするほどありません(笑) 甘酸っぱい夏の想い出ではなく ハメをはずし過ぎ、取り返しがつ…

エム・バタフライ(1993)

「蝶々夫人を美しいと感じるのは 西洋人が東洋人を無意識に見下しているから」 原題も「M.Butterfly」(マダム・バタフライ=蝶々夫人) といってもオペラ「蝶々夫人」の現代版アレンジではなく(笑) 文化大革命時、京劇女優に本気で恋してしまった フラン…

ガタカ(1997)

「ぼくに何ができるか決めつけるな」 原題も「Gattaca」 "Gattaca" のGとAとTとCは、DNAの基本塩基であるguanine(グアニン) adenine(アデニン)thymine(チミン)cytosine(シトシン)の頭文字で ここでは航空宇宙局の名称 近未来、 出生直後の遺伝子検査…

バーバレラ(1967)

原題も「Barbarella」 原作はジャン=クロード・フォレによるフランスの(大人向け)SFコミック オープニングからあのジェーン・フォンダが 無重力状態でオールヌード(笑) しかもびっくりするくらいチープで、おバカ ストーリーも支離滅裂でくだらない も…