インヒアレント・ヴァイス(2014)

原題は「Inherent Vice」(保険用語で「内在する欠陥」という意味)

原作はトーマス・ピンチョンの同名の小説

 

欠陥だらけのキャラクターと、意味不明なジョークで

笑えるところも、面白いところもあるし

目立たない長回しにタイトなクローズアップ

絶妙な照明のタッチ、お洒落な70年代スタイルというセンスには感心しましたが

やたら登場人物が多く、筋も掴みどころもない(笑)

ストーリーが全く頭に入らず、続けて2度見ました

 

にもかかわらず記憶に残ったのは

ホアキン・フェニックスのもみあげと

ジョシュ・ブローリンの髪型だけ(笑)

舞台は1970年のロサンゼルス

ゴルディータ・ビーチで私立探偵を営んでいる

ラリー・"ドック"・スポーテッロ(ホアキン・フェニックス)が

3件の事件の調査依頼を受けるというもの

 

ひとつめの依頼はドックの元カノの

シャスタ(キャサリン・ウォーターストン)がやってきて

シャスタはユダヤ人の不動産王

ミッキー・ウルフマンエリック・ロバーツ)の愛人で

ウルフマンの妻が彼を誘拐し、精神病院に入院させ

愛人と財産を奪おうとしているのを防いでほしいというもの

その後ウルフマンもシャスタも姿を消します

ふたつめの依頼は、ブラック・ゲリラ・ファミリー(BGF)の

(黒人によるストリートギャングおよび政治組織)

タリク(マイケル・ケネス・ウィリアムズ)が、かって刑務所で金を貸した

チャーロックという男を探して借金取りをして欲しいというもの

チャーロックはアーリアン・ブラザーフッドの元メンバーで

ウルフマンのボディガードをしているといいます

3つめの依頼は、元ヘロイン中毒のホープジェナ・マローン)で

行方不明になったサックス奏者の夫コーイ(オーウェン・ウィルソン)を

見つけて欲しいというもの

夫は死んだと思っていたが、銀行口座に多額の入金があったため

生きていることを確信したといいます

 

そこにドックの今カノで、ダメ男のドックをなぜか崇拝している

地方検事ペニーリース・ウィザースプーン

ドックの弁護士ソンチョベニチオ・デル・トロ

 

相棒を殺したエイドリアン(ピーター・マクロビー)という殺し屋を追い
「特捜隊アダム12」というドラマにも副業で出演している
常にアイスバナナを咥えるLAPDの警部補
ビッグフット(ジョシュ・ブローリン)が絡みます

ドックはウルフマンとシャスタを探すため

ウルフマンが開発予定している場所にあるマッサージ店を訪れ

東洋人女性ジェイド(ホン・チャウ)にチャーロックの行方を尋ねると

何者かにバットで殴られて倒れます

目を覚ますと、隣にはチャーロックの死体があり

犯人の疑いを掛けられたドックは、ビッグフットに尋問されるものの

弁護士のソンチョによって釈放され

ジェイドからは警察に通報したことの謝罪と

「黄金の牙に気をつけて」というメッセージを受け取ります

 

ドックがジェイドに再び会いに行くと

「黄金の牙」(the Golden Fang )とは麻薬の密輸組織で

ホープの夫コーイは「黄金の牙」の存在を警察に密告したことで

命の危険を感じトパンガ渓谷の隠れ家にいると教えます

コーイに会いに行きホープが探していることを伝えると

妻と娘の元に帰ることだけが望みだが

「俺は死んだことになっているんだ」といます

そして「黄金の牙」号という船が港に入港していることを教えます

次にウルフマンの妻に会いに行くと

彼女の愛人でスピリチュアル・アドバイザーのリッグスもいて

ウルフマンのネクタイ室には、シャスタの絵が描かれたネクタイがありました

恋人の検事ペニーにウルフマンとシャスタの失踪を相談すると

FBIの職員2人がやってきて

チャーロック殺しの疑いが完全に晴れていないドックは

尋問をうけることになります

ビッグフットの話では、ウルフマンは失跡前に「黄金の牙」という謎の船に乗りこみ

そのことにFBIが関係しているらしいといいます

ソンチョの調査でシャスタもその船に乗船したことがわかります

シャスタからドックにポストカードが届き

内容は昔ふたりで麻薬を探し回った場所のことと

黄金の牙の形をした大きな建物の写真でした

そこは「黄金の牙エンタープライズ」という歯科医の組合本部で

シャスタは麻薬で歯が抜け入れ歯だったことを思い出します

そこにはドラッグまみれの女性ジャポニカ(サーシャ・ピーターズ)がいました
ドックは以前、父親の依頼で家出したジャポニカを探したことがり

彼女をドラッグ漬けにしたのは

歯科医のブラッドノイド博士マーティン・ショート)でした

麻薬で若者の歯が抜けると歯科医がもうかるからです

しかしビッグフットからの電話で、ブラトノイドが死んだと知らされます

ブラトノイドは黒幕でなかった、誰がブラトノイドを殺したのか

さらにウルフマンが「黄金の牙」と関係のある精神病院で

実態はカルト集団の施設に入所していることがわかったといいます

施設には「シャスタと書かれ絵入りのネクタイをした

鉤十字のタトゥー男がいて、ウルフマンはカウチで寝ていました

ウルフマンは不動産事業の失敗で、カルトの一員であることのほうが幸せだと言い

シャスタの居場所については答えませんでしたが

ドックが帰宅すると、突然シャスタが戻ってきます

ウルフマンは妻のもとに帰り、自分は所詮娼婦だった

ウルフマンと乗り込んだ「黄金の牙」では

多くの男に性的に利用されていたことを打ち明けます

激しくシャスタを抱くドック

ペニーから検察の機密ファイルを受け取ったドックは

ロサンゼルス市警

ビッグフットの相棒を殺したエイドリアンも黄金の牙と結びついていて

相棒とシャーロックはそれらの取引を知ったことで殺され

(ふたりともバットで殺されていることから)

自分をシャーロック殺しにはめようとしたのも、エイドリアンだと気付きます

エイドリアンのアジトと思われる部屋を訪ねると

なんと相棒のパックに監禁され薬を盛られてしまいます

ドックは朦朧としながらもパックとエイドリアンの両方を殺すと

そこにビッグフットが現れ彼を救出、家まで送りますが

ドックの車には20キロものコカインが隠されていました

ビックフットが相棒をされた復讐にエイドリアンから盗んだもので

それはもちろん「黄金の牙」のものでした

 

ジャポニカの父親から麻薬を返すよう脅迫されるドック

「黄金の牙」はジャポニカの父親だったのです

ドックはコーイを見逃すことを条件に麻薬を返すことを約束し
受け渡し場所に現れたコーイを「しっかり生きろ」と励ますのでした

悪い奴は誰も成敗されないし、何も解決していない(笑)

つまり、この映画のテーマがなにかというと

世界は決して変えられないし、大きな敵も倒せない

 

そんな世の中でも、ドックとビッグフットの共感の芽生えや

ドックとシャスタの底知れぬ愛こそが救いだということ

だと思います(たぶん 笑)

 

 

【解説】映画.COMより

「ザ・マスター」のポール・トーマス・アンダーソン監督とホアキン・フェニックスが再タッグを組み、米作家トマス・ピンチョンの探偵小説「LAヴァイス」を映画化。1970年代のロサンゼルスを舞台に、ヒッピーの探偵ドックが、元恋人の依頼を受けたことから思わぬ陰謀に巻き込まれていく姿を描いた。元恋人のシャスタから、彼女が愛人をしている不動産王の悪だくみを暴いてほしいと依頼された私立探偵のドック。しかし、ドックが調査を開始すると不動産王もシャスタも姿を消してしまう。ドックはやがて、巨大な金が動く土地開発に絡んだ、国際麻薬組織の陰謀に引き寄せらていく。共演にジョシュ・ブローリンオーウェン・ウィルソンリース・ウィザースプーンベニチオ・デル・トロ

2014年製作/149分/R15+/アメリ
原題:Inherent Vice
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2015年4月18日