白い花びら(1999)

「ふたりは子供のように幸せでした

原題はJuha」(ユハ=男の名前)

原作はフィンランド国民的作家ユハニ・アホによる古典小説

アキ・カウリスマキによるサイレント映画で4度目の映画化

アキラらしい妙にコメディと、悲惨なラスト

セリフ無しでも全く問題ない展開は、相変わらずさすがの手腕ですが

後味の悪さは一番かも(笑)

貧しくとも幸せな生活を送っていたキャベツ農家の夫婦ところに

車の故障で突然やって来た伊達男シュメイッカ(アンドレ・ウィルムス)

お人好しの夫ユハ(サカリ・クオウスマネン)はシュメイッカを家に泊め

彼の高級車(コンバーチブル)を修理することにします

ユハは真面目で優しい夫だけれど、お酒を飲みすぎて酔っぱらうと

妻のマルヤ(カティ・オウティネン)をないがしろにしてしまうのですね

そんなこと一見でお見通しのシュメイッカは、マルヤを甘い言葉で口説き

車が直ると「必ず迎えに来る」とマルヤに約束し帰って行きました

それからというもの、マルヤは化粧をしファッションに目ざめます

家事は疎かになり、ユハは不機嫌

しばらくして、夫婦の家に戻ってきた来たシュメイッカ

ふたりをダンスホールに誘い、そこでもユハは酔いつぶれてしまい

マルヤは寝ているユハを残し、シュメイッカと逃げていきます

憧れの都会に着き、シュメイッカに案内されたのは売春の斡旋所

初めてシュメイッカ騙されたことに気付くマルヤ

しかも彼の子を妊娠していました

マルヤがシュメイッカに連れてこられたのは白海カレリア

(大昔からロシア(ルーシ)とスウェーデンが争っている場所)

なのでユハはマルヤがシュメイッカに誘拐されたと信じていて

マルヤを取り戻すため都会に行く計画を立てます

(ユハが乗るバスを追いかけるワンコに涙)

マルヤを見つけたユハは、彼女が接客婦として働かされているうえ

赤子までいることに激高

ユハはマルヤと赤子を田舎に向かうバスに乗せると

シュメイッカを殺しに行きます

そして自らも銃で撃たれた傷で、ゴミ捨て場でゴミ同様に息絶えたのでした

それでもアキはこの物語が不幸なだけでなく

妻が再びささやかな幸せを知り、やさしさを取り戻ってくれることへの

希望を託したのかも知れません

 

 

【解説】映画.COMより

フィンランドの小さな村でキャベツを作る幸せな夫婦、ユハとマルヤ。ある日、村にシェメイッカと名乗る男が車で通 りかかる。車が故障したという男は畑にいたユハに助けを求め、ユハは快く車の修理を引き受ける。しかしシェメイッカは隙を見てはマルヤを誘惑、マルヤも彼を強く意識するようになる。再びシェメイッカが2人を訪れ、マルヤはシェメイッカと駆け落ちするが、2人が結ばれたあとシェメイッカの態度は豹変する。

1998年製作/78分/フィンランド
原題:Juha
配給:ユーロスペース