ラ★バンバ(1987)

 

(スター)は空から落ちない

(スター)は大空が家

原題は「La Bamba

 

飛行機事故でわずか17歳でこの世を去った

リッチー・ヴァレンスの生涯(19411959

 

青春映画の小品ですが、今見てもなかなか良かった

音楽監督カルロス・サンタナ

音楽担当をロス・ロボスが勤め

ラテン音楽R&Bに詳しくない人でも

聞いたことがある名曲がズラリ

(こういう映画を見て悔やまれるのが、難聴になってしまったこと)

シンプルでストレートでわかりやすいストーリー

リッチーはR&B大好きな貧しいメキシコ系アメリカ人の高校生

いつか音楽で成功し、高級車に乗り

母親に恩返しすることを目指しています

夢もシンプル(笑)

だけどその夢が叶い、わずか8ヶ月後に死んでしまうなんて

 

そして、もうひとりの主人公であるリッチーの兄ボブ

弟のことを愛しているけど、出来すぎた弟を妬み嫉妬しどうしようもならない

物語の構成がリッチーよりボブよりになっているのは

2018年まで存命していた)彼のインタビューによるものかも知れませんね

ロサンゼルスのメキシコ系アメリカ人で、農園で働きながら

高校に通っているリッチー(ルー・ダイアモンド・フィリップス)は

幼いころからメキシコ音楽やR&Bが大好き、ギターが大好き

ロージー(エリザベス・ペーニャ)というガールフレンドがいます

 

そこに刑務所に入っていた兄のボブ(イーサイ・モラレス)が帰ってきます

ふたりは仲の良い兄弟でしたが

母親は昔から素直で優しいリッチーのことばかり可愛がり

何かとリッチーと比べられ

内心ボブは弟のことをやっかんでるんですね

そんなこともあってか、口が巧く女を口説くことに長けているボブは

なんとリッチーの恋人ロージーの処女を奪ってしまいます

 

やがてカリフォルニアに引っ越すことになった一家とロージー

リッチーは新たに通いはじめた高校で、ドナという金髪の美少女に一目惚れ

でもドナは裕福な白人家庭で育ち

ドナの父親はリッチーとの交際を快く思っていません

一方でリッチーは、ドラムなら出来るというボブと

地元のバンドと組み、ダンスホールで歌うようになりますが

リッチーの人気が高まるほど、ボブはアルコールに溺れるようになり

ロージーには暴力を振るい、彼女が妊娠したことを知ると

責任はとれないと逃げてしまいます

 

「リッチーとフライング・ギターズ」という新たなバンドを結成し

町民体育館で(笑)デビューコンサートを開くことになったリッチー

そこに酔っぱらったボブがやってきて乱闘になり

コンサートは途中で中止になりますが

翌日会場にいたレコード会社社長のボブ・キーン(ジョー・パントリアーノ)が

リッチーのもとにレーベル契約にやってきます

キーンはリッチーのマネージャーとなりレコーディングを開始

「リッチー・バレンス」という芸名で

ラジオでデビュー曲「カモン・レッツ・ゴー」をリリースすると

「カモン・レッツ・ゴー」は一夜にしてセンセーションを巻き起こします

 

リッチーはドナに電話し、ドナへの思いを歌った

オリジナル曲「ドナ」をプレゼントすると

その「ドナ」も大ヒット

メキシコでツアー中のリッチーに会いに行ったボブは

リッチーを売春宿に連れて行きますが、そこでリッチーは女の子ではなく

ラ・バンバ」というメキシコ民謡を演奏するバンドに憑りつかれます

 

翌朝小さな村で目が冷めたリッチーは

老人から恐怖から守ってくれるという、お守りのネックレスを授かります

(リッチーは飛行機への恐怖心が異常に強い)

リッチーはボブに家に帰ろうと言い

そこでボブはロージーが女の子を出産していたことを知ります

リッチーはキーンに「ラ・バンバ」のR&Bバージョンを

シングルとしてリリースしたいと説得

ラ・バンバ」と「ドナ」はビルボード・チャート入りを果たし

(実際にアメリカでヒットしたのは死後らしい)

リッチーは全米でもロック界のスターの仲間入りを果たします

 

夢だった高級車を購入、ドナをデートに誘い

母には一軒家をプレゼントします

ボブもやっと自分が本当にやりたかったことが

「絵を描くこと」だと気付くわけですが

ロージーは漫画を描いても何の役にも立たないと

娘を連れ出て行ってしまいます

再び荒れてしまうボブ

 

クリスマス休暇で家に帰ったリッチーの歓迎会に現れたボブは

リッチーに絡むと、彼のお守りのネックレスを奪い壊してしまいます

バディ・ホリー、ビッグ・ボッパーというビッグネームと共に

アメリカでコンサート・ツアー参加することになったリッチー

途中ツアーバスの暖房が故障し、急遽飛行機をチャーターすることになり

空港でリッチーはボブに電話し(仲直りするためと、彼の家族を支えるため)

一緒にツアーに参加してほしいと頼みます

そしてそれが彼の聞いたリッチーの最期の声でした

 

1959年2月3日、若き3人のロックンローラーを乗せた飛行機が

レーダーの航跡から消えてしまいます

翌日リッチーの死をラジオで知った母親はボブと抱き合い

葬儀のあと、ボブはリッチーの名前を叫び

ひとり楽しかった時間を思い出していました

 

 

【解説】映画.COMより

わずか17歳で死んだ伝説のロックンローラー、リッチー・バレンスの生涯を描く。エグゼクティヴ・プロデューサーはスチュアート・ベンジャミン、製作はテイラー・ハックフォードとビル・ボーデン、脚本・監督はルイス・ヴァルデス、撮影はアダム・グリーンバーグ、美術はヴァンス・クレシマンが担当。出演はルー・ダイアモンド・フィリップス、イーサイ・モラレス、ロザンナ・デ・ソート、エリザベス・ペーニャほか。

1987年製作/108分/アメリ
原題:La Bamba
配給:コロムビア映画作品