バービー(2023)

マーゴット・ロビーが言っても説得力ゼロ」(笑)

(Margot Robbie is not the actress to get this point across.)

原題は「Barbie」

「バービー」の世界観を忠実に再現したと評価が高く

ワーナー・ブラザースの長い歴史の中で最も稼いだということですが

予想外にかなりマニアックな映画でした(笑)

冒頭から「2001年宇宙の旅」のパロディ

(母性を否定するブラックにはちょっと引く 笑)

他にも「シャイニング」に関するセリフがあったり

時計じかけのオレンジ」の白い廊下のシーンなど

キューブリックへのオマージュが散りばめられているし

ダンスシーンはジーン・ケリーのようでもあるし

ジョン・トラボルタでフィーバーもしている(笑)

終盤にかけての展開は「ベルリン天使の詩

バス停で登場する老女は現在も活躍する

(「人の美しさはその瞬間の見かけだけじゃない」のポリシーで有名)

カリスマ衣装デザイナーのアン・ロス

いったい誰サービス?(笑)

しかもバービーランドは、マテル社の生産中止モデルたちによる

「女家長(母系)」(女性が支配的・権威的な地位を占める社会制度 )なのですね

これを見て、イマドキの子どもやZ世代が理解できるのでしょうか

グレタ・ガーウィグは意地悪だな(笑)

バービーランドでいつもの完璧な朝を迎える定番バービー(マーゴット・ロビー

ここでは大統領も弁護士も医者も作家もノーベル賞学者もみんなバービー

バービーが女性の社会的地位を確率させたのです

男性はみんなケンで、バービーと曖昧な関係のボーイフレンド

白人のケン(ライアン・ゴズリング)とアジア系のケン(シム・リウ)はライバル

ケンはバービーと関係を深めようとしていますが(でも下はツルペタ)

バービーはケンを冷たくあしらっています

いつものパーティで、ふと「死」について考えてしまったバービー

すると翌朝からシャワーの水は冷たく、家の2階から落下

足のかかとが地面についてしまいます

バービーはほかのバービーたちからバービーランドのはずれに住む

変てこバービーケイト・マッキノンら原因がわかるかもと教えられます

変てこによると、バービーが発症した偏平足やセルライトや口臭は

人間界とバービーランドの境目に亀裂が入ったためで

亀裂を修復するためには人間界に行って

持ち主の悩みを解消するしかないと教えられます

変てこは、片手にピンクのハイヒール(嘘のバービーランド)

もう一方に「ビルケンシュトック」のサンダル(人間界の真実)を持ち

バービーに選ばせます、でもサンダル以外選択肢はない(笑)

人間界に旅立つバービーの車に忍び込んだケンとともに

ふたりはマテル社のあるカルフォルニアに向かうのでした

しかし到着したベニスビーチで、バービーは男たちの好奇の目にさらされ

万引きしたり、体を触ってきた男性を殴ったり逮捕と保釈を繰り返します

そこからバービーとケンはふたてに分かれ

バービーは人形の持ち主と思われる少女を探すことにし

ケンは男性と馬が優位の人間界に感激し、人間界で働こうとします

が学歴も資格もないため採用されず、すぐに諦め(潔い 笑)

図書館で「家父長制」(男性が支配的特権的な地位を占める社会制度)の

本を何冊も見つけ、ひとりバービーランドに持ち帰ります

バービーは自分のもつ記憶から

サーシャアリアナ・グリーンブラット という少女を探しあてますが

サーシャから「セクシーだけが売りで頭は空っぽ」

「女性の社会進出を50年遅らせた」 挙句の果て「ファシスト」呼ばわりされ

その場を立ち去ります

そこにバービーを探すマテル社の社員が現われ、会議室に連れていかれると

重役に男性しかいないことにショックを受けます

CEO(ウィル・フェレル)が上手く取り繕い

バービーを(身動きできないよう)梱包しようとしますが

共和党にしか見えない、ブッシュ風なウィル・フェレルのさすが 笑)

逃げたバービーを助ける謎の老女

アメリカ映画の「トイレ行きたい」で逃げるマンネリ 笑)

さらにバービーがマテル社から出てきたところを

サーシャの母親グロリアアメリカ・フェレーラ)が救います

グロリアはマテル社のデザイナーで、仕事のプレッシャーのため

「死を意識したバービー」や「鬱のバービー」を描いていたのです

しかもサーシャが幼いころ遊んでいたバービーで、自らが遊んでいたため

グロリアの意識がバービーに移り、バービーに変化をもたらせたのです

グロリアとサーシャはバービーとバービーランドに向かうことにし

それを追いかけるマテル社の重役たち

バービーはいかにバービーランドが女性の地位を確立させた

素晴らしい場所かを解説しますが

着いてみたら、かってのバービーランドはそこにはなく

ケンはバービーのいない間に、バービーランドを「男性優位」「男中心社会」の

「ケンダム」に変えてしまったのです

ケンに洗脳されたバービーたちは、嬉々としてケンたちの言いなり

しかもケンはバービーの家を乗っ取り、憲法まで改憲しようとしていました

グロリアとサーシャが人間界に帰ろうとすると

唯一ケンに洗脳されていなかったアランマイケル・セラ)が同行します

途中で人間界とバービーランドを遮断する壁を作る工事現場に遭遇

作業員を倒したアランと(意外に強い 笑)グロリアとサーシャは

(国境を遮る壁を作ることは許さないと)バービーランドに引き返すことにします

バービーを助けた変てこに合流したグロリアが

人間界の歴史でいかに女性が妨げられ我慢してきたかを熱弁すると

作家バービーが洗脳から覚めことにより

スピーチ(言論)こそが洗脳を解くカギだということがわかります

(これもアメリカらしいなあ)

バービーは男の心理をくすぐる「知らない」「バカなふり」作戦でケンたちの気を惹き

大統領バービー、物理学者バービー、バービーたちを次々と拉致すると

グロリアの言葉で洗脳を解いていきます

〆はロマンチックな夜を演出し、ケンにラブソングを歌わせること

最高潮のムードの中、他のケンからの誘いがあったふりをして

ケンとケンを戦わせることにするのです、決戦は憲法改憲の選挙の日

バービーたちは「ケンダム」を乗っ取り、ケンの夢は儚く消えたのでした

バービーの添え物でしかなかったと嘆くケンに

「ケンはケン」「自分でいることが幸せ」 が大切だと伝えるバービー

そうして人間界に行くことを決意するしたバービーの前に再び現れた謎の老女

彼女は「バービー」の生みの親は娘の「バーバラ」で娘の愛称だったこと

脱税と乳がんで、リーダーシップを失ってしまったことを打ち明けます

彼女こそバービーを開発したルース・ハンドラー(リー・パールマン) でした

バービーが「誰の許可もなく 人間になっていいの?」と訪ねると

「誰の許可もいらない  自分のことは自分で決めれる」と去っていきました

そうして車の中、グロリアの夫が「Sí Se Puede!(やればできる)」と励ますと

「それは政治的な声明よ」とグロリア

「それは盗用」と返すサーシャ

 

(「シ、セ・プエデ!」 とは労働組合公民権団体で使われているスローガンで

 オバマ元大統領が使った「Yes, we can!」は英語版)

スーツ姿でさっそうとビルの中に入り、受付に向かったバービーは

「バーバラ・ハンドラー」と名乗り、仕事の初面接かと思いきや

 

まさかの「婦人科受診」

決して「ツルペタ」がどうなったか調べるためでなく(笑)

女性への(乳がん、子宮がんなど)婦人科受診を勧めているんですね

こういう隠喩を散りばめた複雑な映画も嫌いではないですが

もう少し分かりやすいほうが良かったと思いますね

 

特にサーシャのキャラが明確でない事

リアルワールド側の問題がひとつも解決していないことが

私的にはつまらなく感じてしまいました

 

 

【解説】映画.COMより

世界中で愛され続けるアメリカのファッションドール「バービー」を、マーゴット・ロビーライアン・ゴズリングの共演で実写映画化。さまざまなバービーたちが暮らす完璧な世界「バービーランド」から人間の世界にやってきたひとりのバービーが、世界の真実に直面しながらも大切なことは何かを見つけていく姿を描く。
ピンクに彩られた夢のような世界「バービーランド」。そこに暮らす住民は、皆が「バービー」であり、皆が「ケン」と呼ばれている。そんなバービーランドで、オシャレ好きなバービーは、ピュアなボーイフレンドのケンとともに、完璧でハッピーな毎日を過ごしていた。ところがある日、彼女の身体に異変が起こる。困った彼女は世界の秘密を知る変わり者のバービーに導かれ、ケンとともに人間の世界へと旅に出る。しかしロサンゼルスにたどり着いたバービーとケンは人間たちから好奇の目を向けられ、思わぬトラブルに見舞われてしまう。
監督は「レディ・バード」「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」のグレタ・ガーウィグ。脚本はガーウィグと「マリッジ・ストーリー」のノア・バームバック。世界各国で大ヒットを記録し、全米興行収入は6.3億万ドルを超えて同国歴代11位、世界興収は14.4億円を超えてワーナー・ブラザース映画史上最高のヒット作となった。第96回アカデミー賞では作品賞、助演男優賞助演女優賞、歌曲賞(2曲)など7部門8ノミネートを獲得。ビリー・アイリッシュ&フィニアス・オコネルによる「What Was I Made For?」が歌曲賞を受賞した。

2023年製作/114分/G/アメリ
原題:Barbie
配給:ワーナー・ブラザース映画