原題は「Leningrad Cowboys Go America」
地味でシュールなボケが繰り返されますが、全くツッコミのない（笑）
ツッコむのは見る観客のほうだという
新感覚ロード・ムービー・コメディ
言葉が通じない国での、サイレント映画的な様式が効果的ですし
25年前の作品だけど、今見ても新しい
クセになるものがあります
バンドメンバーを演じたのは
「スリーピー・スリーパーズ（Sleepy Sleepers）」という
当時フィンランドで、本当にこの尖った格好で活躍していたバンドで
本作の世界的ヒットにより「レニングラード・カウボーイズ」と改名
ただのギャグ映画が
モキュメンタリー（真実のようなフィクション）の傑作になった
奇跡的な作品
しかもサクッと78分がちょうどいい
（移動手段はトラクター 笑）
メジャーデビューするため
マネージャーのウラジミール（マッティ・ペロンパー）と
前日凍死したギタリストも連れ、ニューヨークに向かいます
それを追うのは唯一彼らの音楽とスタイルを愛するファンで、坊主頭のイゴール
マンハッタンのCBGB（音楽クラブ）でエージェントは
ヤンキー・スタジアムで演奏することを提案しますが
彼らの音楽を聞いた途端、メキシコの結婚式での仕事を紹介します
さらに音楽のスタイルを
ロックンロールに変えるよう勧めます
そこでウラジミールは中古レコード店に行き
店主にロックのおススメを聞くと
買ってきたのはレコードではなく楽譜の本（笑）
友情出演のジム・ジャームッシュから
中古のキャデラック・フリートウッド75リムジンを購入し
（ブーツの先折りたたむとか細かい 笑）
凍結したメンバーの棺を屋根に縛り付けメキシコを目指します
旅の間バンドマンは、各地のクラブで地元のスタイルに合わせて
ロック、カントリー、ラテン、バラード・・って、こういう感じよねという
（楽譜しか知らない）コピー曲を披露していきます
しかも悪徳マネージャーのウラジミールは受け取ったギャラを着服し
バンドマンにはセロリか玉ねぎしかあたえず（ヴィーガンかよ）
健康的に見せるため日光浴させ（映像的なセンスの良さは抜群）
自分だけ大量のビールを飲み、ご馳走を食べる
食べきれず残したステーキは愛犬用（仲間よりイヌ上ね 笑）
ここらへん、アキ・カウリスマキの
社会主義への反発が見え隠れしますが（笑）
あくまで主眼はアメリカン・ドリーム
さらにキャデラックのエンジンが盗まれるというトラブルがおこり
耐え切れなくなったバンドマンたちはウラジミールを縛り上げ
金を奪い、新車を買い、食料を求めますが
お使いに出したメンバーが食料でなく
ご自分さまの衣装を買ってくるという・・
買い物に行って他のものに目がくらんでしまったあるある（笑）
そんなとき（魚を抱えた）イゴールが合流
ウラジミールを解放したイゴールは
バンドのロード・マネージャーになります
そうして刑務所に入れられたり、なんだかんだしているうち
長い間行方不明で探していた、いとことガソリンスタンドで再会すると
（ニック・テスコ/イギリスのパンクバンドのボーカル）
彼の（ステッペンウルフよりいいんじゃない？の）
「Born to Be Wild 」が大好評
一方で、そろそろホームシック
故郷を思い郷愁に浸るメンバーたち、って
涙ぐんで眺めているのはトラクターの写真
（ココがなぜかいちばんウケた 笑）
メキシコに渡った結婚式で歓迎され
イゴールが凍結したギタリストにドライヤーを当て酒を飲ませると
ギタリストは蘇り、再び演奏を始め人気を博します
バンドの成功を目の当たりにしたウラジミールは
サボテンにつけた蛇口からテキーラを飲むと
（そんなのあったらいいなの蒸留酒製造機）
ひとり荒野に消えていくのでした
メキシコでトップ10入りを果たした、と幕は閉じます
どんなかたちであれ、ちょっと幸せな気分になる
これがアキ・マジック
【解説】映画.COMより
メンバー全員が長く鋭いリーゼントにサングラスというスタイルのロックンロールバンド、レニングラード・カウボーイズ。彼らを主演に迎え、フィンランドの鬼才アキ・カウリスマキ監督が放つ、シュールな笑い満載の傑作ロードムービー。最果ての地ツンドラからアメリカツアーにやって来た民族音楽バンド。しかし彼らの音楽は全く受ず、ライブ会場はいつもガラガラ。マネージャーの提案で、彼らはロックンロールバンドへと大変身する。
1989年製作／78分／フィンランド・スウェーデン合作
原題：Leningrad Cowboys Go America
劇場公開日：1990年
