影=黒人=人種差別
影(私)、に居場所はあるのか
尊厳はどう守るのか
原題は「Shadows」(影達)
ジャズの即興演奏にインスパイアされ、即興的演出で作られたという
インデペンデンス(独立)映画の父、ジョン・カサヴェテスのデビュー作
ニューヨークでのゲリラ・ロケ
クローズアップの溜息ショット
「タクシー・ドライバー」のマーティン・スコセッシが
影響を受けたこともわかります
ストーリーはあとから辻褄をあわせたようなものですが(笑)
崩壊はしていません
とある、黒人と白人の血を引く三兄妹
- 長男のヒューは、兄妹の中で唯一見た目が黒人
- 弟妹を養っています
- かっては売れっ子の歌手でしたが、最近は仕事も激減
- マネージャーの依頼でストリップ劇場の司会を
- いやいやながら引き受けていました
- 次男のベンは、トランぺッター
- 白人の仲間とつるんでいますが、人種差別に悩み
- 荒れた生活を送っています
- 二日酔いでメトロポリタン美術館なんて素敵すぎる(笑)
-
- 20歳になる末っ子のレリアは白人と変わらない見た目
- 長男のヒューはレリアが犯罪に巻き込まれるのでは
- 悪い男にひっかかるのではないかと心配でなりません
- でもレリアは「大人だから」と夜の街を闊歩したり
- (白人の集まる)文学や哲学のグループに参加しています
- そこで知り合ったトニーから猛烈なアプローチ
- 自信家のレリアははトニーに突然のキスをし
- 甘い言葉に絆(ほだ)され処女を捧げてしまう
- だけどトニーはレリアから兄のヒューを紹介され
- 彼女が黒人と知ったとたん態度を急変させます
- 時間がたち、トニーはレリアに黒人の血が流れていることで
- 差別したのに間違っていたことに気づくものの
- ヒューとベンは妹を傷つけたことを許さない
レリアも電話に出てくれません
落ち込むレリアをパーティーに誘うヒュー
しかしそこでレリアは親切な黒人男性を紹介され
さらに、レリアの友人がレリアにトニーのことで話があるとやってくる
さらにさらに、ベンが話しかけてきた女性をいきなり殴りトラブル
機嫌の悪くなってしまうヒュー
後日、パーティーで紹介された男がレリアをデートを誘いに来ると
レリアもヒューもベンも、兄妹揃って彼に嫌味を言いだします
そこにレリアに謝ろうとトニーがやってくると
レリアはトニーを無視し部屋を出て行きます
ヒューはマネージャーから、今のままではストリップ劇場のような仕事しかない
アメリカを出ないかと誘われます
ヒューは「俺を信用しろ」とふたりは汽車へ乗り込み巡業に出るのでした
ベンはいつものように仲間と女をナンパしようとしていました
しかし声をかけた女たちには男がいて、当然喧嘩になります
ボコボコにされてしまったベン
ベンは「こんな生活にはもう飽きた」と仲間に告げ
ひとり夜の街に消えていく
頭がよく才能もあった
その後三兄妹がどうなったかは、描かれません
恐らく幸せにはなれなかったでしょう
【解説】映画.COMより
「ローズマリーの赤ちゃん」などの個性派俳優として知られ、後に「ニューヨーク・インディペンデント映画の父」と称され多くの映画作家たちに影響を及ぼすことになるジョン・カサベテスの記念すべき監督第1作。
マンハッタンで暮らす白人と黒人の血を引く3兄弟が、白人社会の中でそれぞれ葛藤を抱えながら日常を生きる姿を描く。オールロケと台本なしの即興演出で俳優たちの揺れ動く感情やリアルな表情を捉え、映画の新しい方向性を示した。
音楽は大のジャズ好きだったカサベテスが依頼した、ジャズミュージシャンのチャールズ・ミンガスの即興演奏による。
1959年製作/82分/アメリカ
原題:Shadows
配給:ザジフィルムズ
日本初公開:1965年2月