すぎ去りし日の……(1970)

原題は「Les Choses de La Vie」(人生の選択)

働き盛りの中年男が、長年つれ添った妻と若い愛人の間を

フラフラする話なのですが

 

ロミー・シュナイダーは自身の主演作のなかで

本作が「もっとも好きな映画」と言っていたそうです

オールバックにまとめた栗毛色の髪、クレージュのワンピース

グリーンの瞳、日焼けした肌

ロミーの完璧な横顔に惚れない男は世界中にひとりもいない

(ロミーがオークション会場で振り返るシーンの美しいことよ)

ミシェル・ピコリに共感する殿方がほとんどだと思いますが

妻役を演じたレア・マッサリがいい女すぎた

ラスト、彼女のとった行動に感動します

交通事故現場、ピエール(ミシェル・ピコリ)は

美しい恋人のエレーヌ(ロミー・シュナイダー)を思い出していました

ピエール はエレーヌと幸せな日々を送っていましたが

(だって裸でタイプライターだもん 笑)

一方で結婚へのプレッシャーも感じています

さらに父親に資金援助を依頼され、仕事ではトラブル発生

そんなとき妻のカトリーヌ(レア・マッセリ)に会い

船や家の扉やテーブルといった何気ない話を聞き

わが家が懐かしくなってしまう

さらに鳥の鳴き声装置の発明家?(笑)の息子と

バカンスを過ごす約束をしてエレーヌと喧嘩してしまいます

ピエールはエレーヌに「別れよう」と手紙を書き上着のポケットに入れます

しかし郵便局の前で気が変わり

エレーヌに結婚しようと(いう意味の)電話でメッセージを残すと

エレーヌのもとに向かうため猛スピードで車を運転

車が横転し、気が付いたときは救急車の担架の上でした

野次馬が集まる中、ピエールが必死に考えていたことは

エレーヌが読む前に「手紙を破かなければ」ということ

しかしそのまま逝ってしまいます

病院に駆けつけるエレーヌ

遺品を受け取ったのは妻のカトリーヌ

手紙を見つけた彼女は黙ってそれを破り、ゴミ箱に捨てたのでした

自分だって夫を失い辛いはずなのに

カトリーヌの優しさは誰にも知られることはありません

男だけが好き放題して勝手に死んでいく

ずるいよな



【解説】妻子ある男との結婚をひかえ、逡巡し、そして多くの不安を乗り越えて結婚にたどりつく一歩手前で、二人の未来は無惨にも断ち切られてしまう。製作はレイモン・ダノン、監督はクロード・ソーテ、脚本はポール・ギマール、ジャン・ルー・ダバディクロード・ソーテの共同、撮影はジャン・ボフティ、音楽はフィリップ・サルドが各々担当。出演はロミー・シュナイダーミシェル・ピッコリレア・マッサリ、ジェラール・ラティゴなど。

1970年製作/フランス
原題:Les Choses de La Vie
配給:コロムビア