好奇心(1971)

原題は「LE SOUFFLE AU COEUR」(心のつぶやき)

ラスト・タンゴ・イン・パリもでしたが、ヌーヴェルヴァーグとは

性のタブーの表現の挑戦でもあったことがわかります

近親相姦ものとして有名な作品ですが

そんなことは知らないで見たかった(笑)

それだけの内容ではなかったからです

(少年同士の)少年愛

ペデラスト(男色家)でペドフィリア (幼児愛好者)

オナニー、初体験、不倫、家族愛

ありとあらゆるラブがてんこ盛り(笑)

 

変態を自覚する私でも近親相姦(と暴力系とスカトロジー

ありえないと思っていましたが(他はあのか 笑)

物語の中で母子の愛を非難することは決してありません

性的体験、苦悩や葛藤や罪の意識に苛まれるものではなく

「いつか懐かしく思い出す」ふたりだけの秘密

このような解釈は目から鱗

実際フランス映倫からもシナリオの段階でクレームがついたものの

最終的に上映は認められ、結果大成功を収めたそうです

それくらいサラリとしているし、ラストは爽快

「ひと夏の経験」の秀作として仕上がっています

学校帰りジェリーロールモートンの素晴らしさを語る少年ローラン

ジャズが大好きでお気に入りはチャーリー・パーカー(時代設定1950年代)

レコード店で友人に協力してもらいアルバムを万引きする

学生でお金がないのかな、と思うわけですが

家は豪邸、お手伝いさんはふたりい、父親は産婦人科

子猫が大好きなブルジョアのお坊ちゃん

18歳と17歳?のやんちゃな兄がふたりいますが

ママは末っ子のローランを溺愛しています

帰って来るたび、食事のテーブルにつくたびハグ・ハグ・キス・キス

兄たちはママのモノマネをして、ローランをからかいます

さらに兄たちはローランの自慰をのぞき見したり

売春宿に連れて行って筆おろしさせようとしたり

それをからかっ邪魔したり

悪ふざけの度が過ぎて、イラっとするんですが(笑)

 

彼ら弟のことが可愛いから、イジってしまうのですね

ローランも抵抗することはありません

ローランはカトリック教の男子校に通っていて

司祭はローランを懺悔に呼び、自慰について告白させます

さらに悩みに相談するそぶりを見せ、ローランの太ももを触ってくる

「授業に戻っていいですか」とかわすローラン

学校の帰りには下級生の男の子から手紙を貰

ボーイスカウトでのキャンプでは「魔王」という芝居を演じています

父親役のローランが息子役の下級生を裸にしてローブで包んでいる

魔王に怯えて父親にすがりつく少年を守るように抱きしめるのです

でも何をしても、いまいちイケない

女の子にもあまり興味が持てない

それはママが好きすぎるから

男の子はみんなそうだと思いますけどね(笑)

私も息子たちと小学校6年生まで一緒にお風呂に入っていましたし

次男はお母さんとは結婚できないと知ったとき号泣しましたから(笑)

それが今では会話もなく、ほとんどシェアハウス状態

私の理論は、幼い頃たくさん愛情を注げば注ぐほど

子どもは自然と自立するというもの

ただローランは14歳になってもママオンリー・ユー

ある日ママが知らない男の車に乗るのを見てしまい

ショックを受けます

キャンプでしょう紅熱かかっローランは

医者の勧めでママと湯治場のある療養所に治療に行くことになります

療養所ではママのことを綺麗なお母さんと褒められ

晴れがましい気分のローラン

ママと恋人のように腕を組んで散歩したり、テニスをして注目をあびます

だけどママが「2、3日で帰る」と置手紙を残して出かけてしまいます

あの時の男だ、ママには愛人がいたのです

寂しさをまぎらわすため、同じ年頃のエレーヌやユベールと遊んで

ママと一緒ほど楽しくない

約束通りママが帰ってくると、男とは終わったといいます

不倫相手と別れたのは嬉しいけど、傷ついたママが可哀そう

 

酒を飲み踊って酔い潰れてしまったママ

ベットに倒れたママの服をローランが脱がせていると

ママが抱きしめてきました

シーンは跳び、ママの声

後悔しないで

いつまでも美しい思い出としてしまっておくのよ

 

ローランはベットを抜け出しエレーヌに会いに行きますが

エレーヌに断られると他の女の子の部屋に泊まります

夜が明け女の子の両親の声がして、慌てて自分の部屋に戻ると

そこにはローランを見舞いに来た父親と兄たちの姿

 

朝帰りか

どうして靴を履いていないんだ

言葉にはしないけど、おまえもついに男になったのか

父親と兄たちは大笑い

それにつられてママも大笑い

家族がひとつになった瞬間

安心したローラン、急にお腹が空き

朝食のクロワッサンを頬張るのでした

 

この家族は、この先もきっと幸せで

うまくいくのでしょう

 

 

【解説】映画.COMより

性に目ざめた少年と肉感的な母親が結ばれるまでを描く。製作はヴァンサン・マル、監督は「パリの大泥棒」のルイ・マル、脚本はマルとクロード・ネジャール、撮影はリカルド・アロノヴィッチ、音楽はチャーリー・パーカー他、編集はシュザンヌ・バロンが各々担当している。出演はブノワ・フェルー、レア・マッサリ、ダニエル・ジュラン、マルク・ウイノクールなど。

1971年製作/フランス
原題:Le Souffle au Coeur
配給:日本ヘラルド映画