殺しのドレス(1981)

原題の「Dressed to Kill」(殺すための服装)とは

(パーティなどで)異性の気を惹くためセクシーに着飾ることで

女性が男性を悩殺する、というニュアンスがあるそうです

シャワーで襲われる夢に始まり

美術館からエレベーターに至る序盤がとにかく最高

いっきに見せてくれます

ブライアン・デ・パルマは「サイコ」に触発されて作ったということです

それを言っちゃうと、すぐ犯人の見当がついてしまうのですが(笑)

スローモーション、画面分割、セリフ無しといった映像を駆使し

面白さでいったら「サイコ」より上

しかも美術館の男が、あれだけ引っ張っておいて

事件と何のかかわりあいもないというオチ(笑)

マンハッタンに住む主婦ケイト(アンジー・ディッキンソン)は

バスルームで若い男性を誘惑し、見知らぬ男たちに襲われる夢を見ます

マイクとは倦怠期でセックスにも満足しておらず

高校生になる息子のピーターキース・ゴードンは優秀ですが

自作コンピューターに夢中で部屋にこもりきりなヲタク

エリオット医師のマイケル・ケイン のクリニックで夫の愚痴をこぼし

「私は魅力的?寝たいと思う?」と誘いますが

エリオット医師は妻がいることを理由にやんわりと断ります

その足で、メトロポリタン美術館(内部はフィラデルフィア美術館)に行き

(息子と約束していたがコンクールの準備で来れなくなった)

見学しているとサングラスの男が寄ってきます

 

無言の駆け引き、 美術館での追いかけっこ

落とした手袋でのタクシーからの手招き

車内のセックスから男のマンションに行く

気が付けば夜の7時

ケイトは服を着ようとするがパンティがない

(タクシーに忘れる)

素敵だったとメモを残そうとすると

机の引き出しには男が性病であることの診断書

(何がって、ここが一番怖いだろ 笑)

慌てて部屋を出てエレベーターに乗ると

ダイヤの指輪がないことに気が付きます

指輪を取り戻さなければ

その時金髪にサングラス、黒手袋の女がエレベーターに乗り込んできて

ケイトを何度も剃刀で切り付けたのでした

1階で扉が開くとそこには男女のカップ

ケイトが助けを求めよう手を差し出すと

男は逃げ、女はエレベーター内の鏡に金髪女の姿を見つけ

投げつけられた血だらけの剃刀を思わず拾ってしまい

それを見た掃除婦が悲鳴を上げて逃げ出します

その夜、エリオット医師が留守電を聞くとボビーからでした

ボビーは女性への性転換手術を望んでいる患者で

性転換に理解あるリービィ医師に変わってもらおうと考えていました

留守電の内容は「先生の剃刀を借りたわ 明日の新聞を見て」

というもので、ドレッサーから剃刀が消えていました

次に入った電話は13分署のマリノ刑事デニス・フランツから

ケイトの訃報と事情聴取の依頼でした

 

翌日、エリオット医師は13分署

父親と遺体確認に来たケイトの息子ピーターに会います

ピーターは本当の父親はベトナム戦争で死んだといい

母親と美術館に行かなかったことを悔やみ

エリオット医師がマリノ刑事に呼ばれると

ピーターは自作の盗聴器でふたりの会話を聞きます

 

エリオット医師はマリノ刑事からケイトの悩みを聞かれますが

「夫婦の性生活に関する事」としか答えませんでした

マリノ刑事は「彼女は美術館に男漁りに行き、タクシーの中でヤってたそうだ

エレベーターでも、イカれたヤツを引っ掛けたんじゃないか」

「あんたのクリニックのイカれた患者だったのかも」とカマをかけます

エリオット医師が「私の患者にはいない」と断言すると

マリノ刑事は「新患にも?」と尋ね、向かいの部屋にいる容疑者

クリニックの患者でないか確認したいと言います

そこで父親が戻ってきてしまいピーターは盗聴を断念

エリオット医師は守秘義務がある」と帰ってしまいます

容疑者はリズ(ナンシー・アレン)という逮捕歴のある高級娼婦で

一緒にいた男は客のテッドだと言います

マリノ刑事は凶器にはリズの指紋があり、誰も金髪の女を見ていない

一緒だった客がもし金髪の女を見たというなら

48時間以内に探し出して連れて来い」と

リズを釈放するのでした(適当だな 笑)

しかしリズが仲介者のノーマに「テッドと会いたい」と電話しても

彼女は何も教えてくれず

テッドを探すどころか、投資家の上客を紹介されるリズ(笑)

 

エリオット医師の留守電に再びボビーから伝言

「リズの目玉をくり抜く」という予告が入り

ピーターは自作の自動シャッター付きのカメラを

クリニックの出入り口が撮影できる場所に取り付け

患者の出入りを撮影することにします

 

投資家の客との仕事を終え、ホテルを出てタクシーを拾うと

こちらを見ている金髪の女もタクシーに乗ります

リズは運転手に「まいて」と頼み、コロンバス広場で降り

(追われているのに車から降りる謎あるある)駅の地下道に逃げ込みます

金髪女もタクシーを降りリズを追いかけます

リズを乗せた運転手につかまり殴られて倒れます

さらにリズは電車のホーム黒人のチンピラたちに絡まれ

列車の中を逃げまどううち、剃刀を持った金髪女に捕まってしまいます

そのとき誰かが金髪女の顔にスプレーをかけ、金髪女は逃げてしまいます

リズを救ったのはピーターでした

リズのマンションに行き、ピーターは

金髪女はエリオット医師の患者で写真り現像に出した

患者名簿と照らし合わせたいと言います

 

リズはマリノ刑事に報告したほうがいいと言いますが

ピーターは友だちの家に泊まると嘘をついているので

名前は出さないで欲しいと頼みます

翌日、リズはマリノ刑事に「犯人はエリオットの患者」だと

「患者名簿を見たい」と頼みますが

マリノ刑事は捜査令状を取るに時間がかかり、すぐには難しい

 

ただし「イカれた容疑者が忍び込むのは勝手」

それが「違法行為」であることも念を押します

エリオット医師はリービィ医師を訪ね

ボビーから脅迫されていること、彼と連絡が取れないことを相談します

「警察に連絡しよう」と言うリービィ医師

しかしエリオット医師は「診察の予約がある」と帰ってしまい

不審に感じるリービィ医師

リズ出来上がった写真を見て、犯人がエリオットの患者だと確信します

ピーター「被害者の遺児の方が罪が軽い」と

自分が名簿を盗みに入ることを提案しますが

結局リズ患者を装い潜り込むことにします

このふたりの探偵ごっこがまたいい

 

事件以来剃刀で脅されレイプされそうになる夢を見るようになったと

下着姿になりリアルな語り口調でエリオット医師を誘惑するリズ

「妻帯者だから」と断るエリオット医師

「その気になったら来て」とリズがは隣のオフィスに入り

扉を閉めると患者名簿を探します

ひとり残され鏡の前でほくそ笑むエリオット医師

 

外で様子をうかがっていたピーターは、窓に金髪女を確認

リズを助けに行こうと走ると転んでしまい

コートを着た金髪女に口を塞がれ引き戻されます

リズは「クリス・クレメンス」という名のカードを見つけるとしまい込み

診察室に戻ると背後に剃刀を持った金髪女

コートの金髪女は窓越しに剃刀の金髪女を撃ち

倒れた拍子にエリオット医師のカツラとサングラスが外れ

彼は泣き出します

エリオット医師を撃ったのは、金髪女に変装し

リズの尾行を続けていた女性刑事ルースでした

ボビーはエリオット医師のもうひとりの人格で

性同一性障害の性的倒錯者で性転換手術を望んでいました

しかし主人格のエリオット医師が手術を拒んだことと

ケイト夫人から誘惑されたことに嫉妬し

ボビーはケイト夫人殺人という形でエリオットに報復したのです

その後リズとピーターは岸辺のカフェで再会

裁判で「決めての証人となるのが楽しみ」というリズ

ピーター父親が出張中だからうちに来れば」と誘い

ふたりは一緒に帰ることにします

(ピーターはまだ高校生なんですけど 笑)

精神病院の大部屋に寝かされているエリオット医師

そこに看護師がやってくると、いきなり看護師の首を絞め

大勢の患者が群がり見学するなか、彼女の白衣脱がせていくのでした

ピーターの家ではリズがシャワーを浴びていました

何者かが窓を割って忍び込み白いナースシューズを履いて剃刀を持

バスルームへ近づいて行きます

ピーターはコンピューターに集中していて気づきません

キャビネットに、金髪でサングラスのボビーが映り

リズの首を剃刀切り裂きます

リズは悲鳴をあげ、ピーターが駆けつけるとそれは夢でしたが

彼女は怯えたままでした

ラストはちょっと蛇足だった気がしますが

デ・パルマってこういう終わりかた好きですよね(笑)

 

 

【解説】映画.COM夫婦生活に不満を抱えるケイトは精神分析医エリオットのもとへ通っていた。そんな彼女が美術館で出会った男性との情事のあと、剃刀を手にした女性に惨殺される。現場に偶然居合わせたコールガールのリズは、警察から疑いの目を向けられ、街中で危険な目に遭いながらも、ケイトの息子ピーターと組んで真犯人を追うことに……。ニューヨークを舞台に繰り広げられる官能的なサイコ・サスペンス。

1980年製作/105分/アメリ
原題:Dressed to Kill