戦慄の絆(1988)

原題はDead Ringers 瓜二つの者たち

 

1975年ニューヨークで開業していた一卵性双生児産婦人科

マーカス兄弟が共に診療室で死亡していたという

精神疾患、楽物離脱、自殺とみられているが原因は不明)

実際にあった事件をベースに創作

カナダ、トロント

少年時代のエリオットとビバリーの一卵性双生児のマントル兄弟は

同じ服装で身なりを整え、常にセックスについて話し合い

人間の性交を魚の性交と比較したり

人体模型を使って子宮や卵巣の仕組みを調べたりしています

ついには玄関に座っている女の子に「セックスしよう」

「これは実験なんだ」と提案し「くたばれ、変態ども!」と罵られます

性への興味が昂(こう)じすぎて、内臓側にいっちゃったという(笑)

(これをギャグとして受け止めるのはオマエだけ)

成長し共にケンブリッジ大学医学部に進学した

エリオットとビバリージェレミー・アイアンズ二役)

ふたりの優秀さは教授も認めるほどですが

ビバリーの発明した医療器具「マントル開口器」は

解剖で使うのはいいが、生きている人間の診察には使えないと釘を刺します

(実際でも兄弟に危険性を感じた教授は、ふたりを別々の病院に就職させたそう)

その後、兄弟はトロント不妊治療専門のクリニックを開業

この頃にはふたりの性格にはっきり差がでていて

兄のエリオットは社交的で営業能力に長け、女好き

弟のビバリーは内向的で40歳過ぎても童貞のまま

兄に依存している一方で、高い技術力と熱心な研究で

婦人科の名医として有名になります

ビバリーの評判を聞きつけたテレビドラマの人気女優

クレア(ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド)も不妊治療に来たひとり

クレアは子宮口は3つ、3つの小部屋があるという特殊な子宮の持ち主でした

(そのかわり妊娠はできない)

その話を聞いたエリオットはクレアの子宮に興味を持ち

ビバリーになりすまして彼女に会いに行きます

そして彼女の子宮がいかに芸術的で素晴らしいかを称え

見事彼女を落とします

翌日ビバリーが診察結果を伝えるためクレアを訪れると

突然抱きつかれてしまいます

クレアはいままでの乱れた生活を打ち明けると、ビバリーをベッドに誘い

(仕事や不妊のストレスから抗うつ剤睡眠薬を常用している)

ビバリーのほうもクレア(それとも子宮)を本気で愛してしまい

一緒に暮らすようになります

ジェレミー・アイアンズのひとり二役、全く違和感ないんですけど(笑)

いったいどうやって撮影したのでしょう

カメラはピーター・サシツキー

しかし、知人からビバリーが双子で「兄弟は入れ替わっている」と聞いたクレアは

兄弟と関係を持ったのかと怒り、ビバリーの元を去っていきます

寂しくて眠れなくなったビバリー

彼女の残した抗うつ剤睡眠薬を飲み、現実逃避するようになります

しばらくして偶然クレアと再会したヒバリーは、彼女に謝罪と助けを求めます

ふたりは再びベッドを共にし、関係は修復したものの

クレアがドラマ撮影のため、10週間もの間ロケで出張することになります

クレアがいない間、ヒバリーは

彼女が彼女のマネージャー(ホテルの部屋に電話したら彼が出たため)と

浮気していると思い込み錯乱

自分がデザインした医療器具(凶器)を金属作家に作らせ

その器具をライブ中継中の手術で使用し、患者が大量出血して大騒ぎ

ヒバリーはエリオットと彼の愛人ケイリー(ハイジ・フォン・パレスク)の前で

気を失ってしまいます

エリオットはビバリーの薬物中毒を治療をするため

クレアと別れるよう言い、弟を連れ戻し一緒に過ごします

しかしロケから帰ったクレアから電話をもらったビバリー

浮気が誤解だったと知り、早速彼女に会いに行き器具を見せると

「統合双生児を分離する器具」だと説明するのです

クレアはビバリーの様子がおかしいことに気付きますが

ビバリーは「また戻る兄の待つ部屋に帰ってしまいます

部屋に到着すると、エリオットがバスルームでずぶ濡れで倒れていました

ビバリーエリオットを診察台まで運ぶと

統合双生児の分離手術をすることを説明し

エリオット喜んでそれにうと言います

翌朝目を覚ましたビバリーは、腹を裂かれて死んでいる兄を見ます

急いでビバリーは荷造りをし、外に出てクレアに電話するものの何も話さない

ふたたび部屋に戻るとエリオットの死体に抱きつき

自らも息絶えるのでした

彼らにとって子宮とは、創造主であり宇宙

だからこそ飽くなき探求心を奮い立たせてきたのです

そこに子宮に3つの入り口と部屋を持つ女性が現れた

それは兄弟と女性が共有できるユートピア

でも弟の、嫉妬と独占欲が彼を狂わせてしまった

身体は一卵性双生児でも、精神(心)は統合双生児(シャム双生児

弟は兄と結合した心を肉体によって分離しようとしたものの失敗

(男性には創造元の子宮がない)

結局両方死んでしまったのです



 

【解説】ウィキペディアより

戦慄の絆』(せんりつのきずな 原題:Dead Ringers)は、1988年制作のカナダのサイコ・スリラー映画。デヴィッド・クローネンバーグ監督。ジェレミー・アイアンズ、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド出演。

一組の一卵性双生児の産婦人科医の兄弟が1人の美人女優に出会った事から、アイデンティティーの均衡性を崩して起こる悲劇を描く。双児の産婦人科医が共に診療室で死亡していたという、実際にあった事件からインスピレーションを得て製作された。

当初、原題は「Twins」とする予定だったが、同時期にアイヴァン・ライトマン監督の映画『ツインズ』が制作されており、ライトマン側からタイトル変更の要請があったため、英語で「瓜二つの者たち」を意味する現在のタイトルに変更となった[2]。

原作の小説(バリ・ウッド、ジャック・ギースランド著)は『双生児』の題名で早川書房から刊行され(Hayakawa novels、1979年11月)、のち『戦慄の絆』と改題されてハヤカワ文庫NVモダンホラー・セレクションから刊行された(1989年3月)。

2023年、全6話のシリーズとしてリメイクされ、Amazon Prime Videoで配信。主演のレイチェル・ワイズが製作総指揮も務める。