コールガール(1971)

原題は「Klute」(クルート=主人公である警官の名前)

 

ジャンルとしてはサスペンスものですが

犯人探しのプロセスが単純で、種明かしもすぐにわかります

後半は悩める娼婦と孤独な警官の恋物語ですが、中途半端(笑)

だけど、クールと可愛いらしさが入り混じった

猫のような自然体のジェーン・フォンダ

彼女を見守るドナルド・サザーランドの包容力

このふたりがなんとも魅力的

特に夜のマーケットで買い物するシーンが秀逸で

サザーランドを見つめるフォンダの後姿を追うカメラ
見つからないよう果物をひとつくすねてバックにに入れると

「悪い子だね」というサザーランド(きゅん)

ニューヨークを撮らせたらこの人に叶うカメラマンはいない

カメラはゴードン・ウィリス

ペンシルベニアにある研究所の堅物研究員

トム・グルネマンが失踪する事件がおき

重役のケーブル(チャールズ・チオッフィ)は

トムの友人でもある警官(といっても会社が雇っている私設警察と思われる)

ジョン・クルート(ドナルド・サザーランド)に捜査を依頼します

唯一の手がかりはグルネマンがニューヨークのコールガール

リー・ダニエルズという女性に宛てた卑猥な手紙だけ

クルートはニューヨークで手紙を頼りにブリーを探します

ブリーは年に600~700人もの客をとる売れっ子コールガールでした

女優志望でもあり、精神分析医(ヴィヴィアン・ネイザン)の

カウンセリングに通っています

クルートは彼女に接触し、協力を願いますが

2年前にサディスティックなに殴られたこと認めるものの

グルネマンかどうか「覚えていない」断られてしまいます

そこでクルートはブリーを監視する為

同じアパート部屋を借り、ブリ―の電話を盗聴し尾行をはじめます

ブリーは売春をやめたいと思ってるものの

女優業のオーディションは受からない

仕事を終えて部屋に戻ると、部屋着でワインを飲み

ローソクに火を灯してくつろぐ日々

読んでいる本は「Linda Goodman’s Sun Signs」

(リンダ・グッドマンの太陽の兆候 1968)

リンダ・グッドマンとはアメリカの有名な占星術師で

スピリチュアルの先駆者

意外にも彼女が占い好き(夢見る乙女)なことがわかる演出

クルートの粘り強い説得でブリ―は彼を部屋に招き入れますが

色仕掛けでクルートを丸め込もうとします

その瞬間、クルートは彼女の部屋を覗き見ている人影を発見

後を追いますが見失ってしまいました

ブリ―は盗聴を知り、いったんはキレるものの

身の危険を感じ(よく脅迫電話がかかってくる)

クルートの捜査に協力することを約束をします

ブリーの元の情夫でポン引き

フランクロイ・シャイダー)に会いに行くと

ブリーを殴った変態売春婦ジェーン・マッケンナの客の

ダンバーという男だったことがわかります

しかしジェーン・マッケンナは自殺

彼女の同僚アーリン・ペイジ(ドロシー・トリスタン)は麻薬中毒なり

行方不明になったと教えられます

ふたりはアーリン・ペイジを見つけ出し

グルネマンの写真を見せると、ダンバーはグルネマンでないと言います

そのことをケーブルに報告すると

ケーブルは捜査を打ち切るよう命じたのでした

しかしその直後、アーリン・ペイジが川で遺体で発見されます

グルネマンは失踪

ジェーン・マッケンナが自殺

アーリン・ペイジは殺された

次に殺されるのはブリーかも知れない

グルネマンでないなら、手紙を書いたのは誰なのか

クルートが手紙のタイプを調べると、ケーブルのタイプライターと文字が一致

ケーブルが犯人だと確信します

アパートへ戻るとフランクがブリーと去ろうとしていました

クルートはフランクを叩き出しますが

ブリーにハサミで切りつけられてしまいます

クルートは出て行ってしまい

ブリーは孤独にさいなまれ、精神分析医を訪ねましたが不在

友人の裁縫工場の社長のところに逃げ(社長はすでに殺されている)

電話を待ちますが

そこにケーブルが現れ

グルネマンにジェーン・マッケンナへの虐待を偶然見られたこと

そのことを利用され、キャリアを脅かされるのではないかと思い

グルネマンと売春婦たちを殺しことを告白します

さらにアーリン・ペイジを襲った時の録音(スナッフテープ)を聞かせ

男の暴力、女の弱さ、売春婦の行く末に涙するブリー

そしてケーブルがブリーを抹殺しようとしたとき

クリートが駆け込んできて

ケーブルは窓を突き破り、飛び降りて死にます

アパートを明け渡し、クルートとNYを出ていこうとするブリー

(飼っていた猫をペットケースに入れて運んでいるのが好印象)

でも先は甘くない、そう判っているふたりがいい

ラストはブリーのカウンセラーへの語り口で終わります

「もうこの街には戻らないわ」

「いえ、解らない 来週には戻っているかも」

ちなみにエキストラとして

無名時代のシルヴェスター・スタローンが出演しているそうです

どこ?(笑)

 

 

【解説】ウィキペディアより

『コールガール』(原題:Klute)1971年制作のアメリカ合衆国のサスペンス映画。アラン・J・パクラ監督の出世作

主演のジェーン・フォンダが第44回アカデミー主演女優賞、第30回ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門)、第6回全米映画批評家協会賞主演女優賞、第37回ニューヨーク映画批評家協会賞 主演女優賞を受賞した。ロードショーの後、『ニューヨーク売春地帯』の邦題で公開された地域もあった。

ペンシルヴァニア州のある研究所の科学者が突如失踪した。それから数ヶ月後のニューヨーク、彼の失踪事件を調べていた刑事のジョン・クルートは、彼がコールガールに宛てた卑猥な手紙を頼りに独自の調査を始める。

受取人の友人で売れっ子のコールガール、ブリー・ダニエルズに協力を請うが、警察に怨みをもつ彼女に追い返され、クルートは彼女の自宅近くに部屋を借りて監視する。

クルートは監視を続けるうち、ブリーに対する恋が芽生えてきて、ブリーもいつしか彼を愛するようになる。しかし、ブリーに何者かの魔の手が迫る。