セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992)


「足が絡まっても踊り続ければいい
 
アル・パチーノのラストの名演説が感動的

この言霊に震えずにいれるでしょうか

 

 

高校3年のチャーリー(クリス・オドネル)裕福とは云えない家庭の育ちで

オレゴンから奨学金によって費用の高い名門校に通っています

良い大学に入学し立派な職業に就きたいと真摯に考えている真面目な青年

クリスマスに田舎の母に逢いに行く旅費のため

全盲になった退役軍人の世話係というバイトをすることにします

 

そんな矢先、学校で校長の高級車に

ペンキがかけられるという事件がおきました

目撃者はチャーリーと

理事長の息子ジョージ(フィリップ・シーモア・ホフマン)
 

校長に犯人を問われますが、同級生を密告するのは難しい

チャーリーに校長は「ハーバード大学への推薦を確約

週末の審議会まで答えを待つと提案します

 
 
そんな問題を抱えるチャーリーの、もうひとつの問題が

世話をすることになった大佐(アル・パチーノ)でした

バーボンをがぶ飲みしすぐに怒り出し、身内の子供にまでバカにされる

家族が旅行に行ったのをいいことに、チャーリーを連れてニューヨーク旅行

 

ファーストクラス、運転手つきリムジンをチャーター

高級ホテルに泊まり、高級レストランで食事をし

高級コールガールを用意してもらう

 

スケベで猥談ばかり、兄を訪ねて行ったときの食事会はヒヤヒヤもの

周囲に迷惑をかけることでしか、自分の存在意義を確認できないのです

 

そしてニューヨークでの全ての目的を達成したとき

大佐は自殺しようと頑なな決心をしていました

 

それを自分の命に代えても阻止しようとしたチャーリー

この純粋な苦学生の人間愛に、ついに大佐の心が動いたのです

そして審議会の日、大佐はリムジンの運転手と共にやってきて

チャーリーの隣の席に座ります

 

この迷惑クソ爺を大好きになる瞬間

アル・パチーノはやっぱりかっこいい!

そんな彼に神様は恋の予感というプレゼントをくれました

 

 

真の誠実さは、人間の心を変えることができる

そう信じさせてくれる名作

 

そしてチャーリーのような若者にこそ

私たち大人は手を差し伸べなければならないのです

 

フェラーリの運転とか私的にはいただけないシーンもあったのですが()

ぎりぎり「お気に入り」ということにしておきます

 


【解説】allcinemaより

気難しく人間嫌いな全盲の退役軍人と、心優しいエリート寄宿学校の苦学生との年齢差を越えた友情を描き出した感動作。A・パチーノの熱演(彼のまったく動かない“瞳”の演技に注目!)やC・オドネルのさわやかな演技は言うに及ばないが、「ミッドナイト・ラン」で男同士の奇妙な友情を軽快に見せてくれたM・ブレスト監督が、今度は打って変わってじっくりと人間愛を描き、コミカルなアクション映画が得意と思われていた監督の奥の深さを認識できる点も記憶しておきたい。尚、A・パチーノは七度目のノミネートにして遂にアカデミー主演賞受賞! G・アンウォーとタンゴを踊るシーンは絶品!(ゴールデン・グローブ賞でも作品賞、脚本賞、主演男優賞を受賞している)